牢獄襲撃
「これより、作戦会議を始める。」ポールがそういうと、「失礼する。」突然、マーレイを含めた本土軍500名と海軍の3名が敵に見つからないようにしながら4日間をかけて移動してきた。そう、物資調達作戦を開始した直後に、増援を送ったのだ。
また、物資がそれと同時に、少量ながら送られてきたため作戦実行に支障がなくなった。
指揮権を一番役職の高いマーレイに移し、ポールがその補佐につく形で再度作戦会議が開始された。「遅れてしまって済まない。私達は、本国より救援に来たものです。」そういってから、今後の動きを確認した。「まず、私達は、民主同盟会に対して、これから作戦を開始する旨の連絡をする。そして、こちらは、全戦力を持って、国王陛下が監禁されている牢獄へ攻撃を仕掛ける。詳しく言うと、牢獄は、三方が陸地で一方の背面が海に面している。そこで、背面からタルクが陸地側を野砲で攻撃し、空いた穴から三方に分けた部隊を突入させる。背面は、崖のため砲撃以外はできない。が退路として使用する。国王陛下は、文武両道で知られている通り一般的な訓練内容なら出来る。そこで、王国特殊部隊員の半数がロープを降ろし退路を用意する。そして潜水艦に収容し、待機する。その間に他の部隊は、牢獄を制圧その後は、我々の主力の上陸支援に当たってくれ。」といった。
牢獄は、旧王国沿岸要塞を使用したもので、かつては、今回の戦争のきっかけになった西の大陸国家から我らの東の大陸を防衛するために建てられたが医師と煉瓦製の要塞は、もはや時代遅れとなり、現在では、刑務所として使用していたが内戦に伴い政治犯を収容する牢獄、つまりは、強制収容所として使用されている。
次の日未明、この膠着した状況は、動き始めた。解放同盟と民主同盟会本部及び秘密拠点から5000人の民兵があるだけの装備を身に着け監獄を目指し進軍を開始した。各地の民衆は、反抗こそしないものの臨時政府の圧政につかれており、この進軍を歓迎した。
進軍開始から2日後の夕方、収容所を包囲するように、5500人の兵隊が展開し、野砲陣地を構築、正門の前からあるだけの戦車を進軍させる準備を整えた。
18時を過ぎ、日が完全に沈み切ると、野砲陣地から一斉に砲撃を開始し、城壁を破壊した。それに応じて、海岸側からも砲撃をした。崩壊した正門からは、戦車部隊を突入させそこから中央に陣取っていた歩兵が突入 をした。敵は、対歩兵を想定しており、戦車という装甲兵力に対する対抗手段を殆ど持ち合わせておらず中央部では順調に作戦が遂行していた。その一方で、両脇の城壁に対する部隊は、装甲車を等しく分配し、それぞれ10台ずつその下に歩兵がつく。中央部の部隊が3000人で両脇に1000人ずつで展開している。
右側の城壁では、城壁の破壊に難航しており、城壁の最上部の通路を破壊はしたが通路が開かなかった為、城壁端の塔との撃ち合いとなっていたがこちら側は打ち下ろされる形となり、こちら側が打ち下ろしてきた5人の兵士を打ち殺す間に、10人が撃ち殺され40人の兵士が負傷する事態となってしまった。
その一方で左側の城壁では、野砲により、城壁が崩落し更には、塔の根元にも数発が命中し、そのまま倒壊した。事前攻撃に成功したため敵の初動攻撃に対する反撃はなく、がれきの山に、坂を作り、装甲車で攻撃その後方から、1000人の歩兵が続いた。
戦車と装甲車は、周辺の歩兵や仮設の施設を攻撃し、攻撃を潜り抜けた部隊を車両の陰から歩兵が射撃し、撃退した。
一両の中戦車が中央の砦の入口に突撃し、入り口には、木製の扉と鉄製の柵をおろしていたが二度の体当たりで、破壊された。
すると、後方から一台のトラックが猛スピードで突撃してきた車両がいた。そのトラックは、破壊された入り口前で停止すると、中から5名の特殊部隊が降車し、内部へと侵入していった。他の部隊員は、トラックに乗ったまま後方の城壁に向かって走った。後方の城壁は、潜水艦の砲撃によって穴が開いており、小さいながらも逃走経路としては、申し分がない程度には破壊できていた。ヒューと4名の部下は、ロープをしっかりと柱にしばりつけた後、下に垂らした。ロープには結び目がついており、上り下りがしやすくなっている。
右側に展開している部隊は、内部に侵入したことによって被害はなくなっていた。その為、砲撃をもう一度集中した。その為、城壁に人一人が立って歩けるほどの穴が開いたためそこから、一気になだれ込んだ。装甲車は、侵入できない為、全速力で正門側に移動し、救出後の援護の準備をするのだった。
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