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悪戯と黄昏の刻に・第一紀(異能者の戦い)  作者: 嶋 秀
第二章(リアル世界篇(伝説の魔術師リヴ・レヴ(詩音)を中心としたルキフェルとの戦い))
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第24話(訓練)


AUSTR国にて、莉空の訓練を実施することにしたリヴ・レヴ。


レヴと妖気の魔術師との間には、因縁の繋がりが有った様だ。


 莉空と詩音は、デュオ・カイ・ローガムから夕食の接待を受けた。


 夕食後、デュオは予定通りレヴの説教を始める。

 詩音はレヴと入れ替わる。

 「レヴはどうして連絡を入れてくれないのですか? 僕の名前で飲食した時に......」

 「ごめんなさい、私っておバカなので」

 エヘッと笑いながら、レヴはカワイイ顔をしてみせる。

 『可愛いなあ~レヴさん』

 傍から様子を見ている莉空もそう思う程、自身のカワイイ顔を熟知しているレヴ。


 しかし、デュオにはアッサリ無視され、

 「そういう答えを求めているのではありません」

 「はい......」

 ちょっと怒られて、表情を戻すレヴ。

 「ツケで飲み食いしても構わないって、言ってありますよね?」

 「......はい」

 今度は、しょんぼりする。

 「でも、日時と場所と金額だけは連絡をしてくれないと。 メールがある時代だから、簡単に出来る筈ですよ」

 「私、人間のハイテク機器苦手で......」

 「端末使えるのも、メール出来るのも知っています。 嘘をついても、直ぐバレます」

 「ううう......え~ん」

 泣き始めるレヴ。

 『やっぱり、レヴ目茶苦茶カワイイ。 ウソ泣きに乗っちゃおうかなあ〜』

 デュオですらそう思わせる程に得意のウソ泣きであるが、付き合いの長いデュオには通じない。


 「レヴ。 そんなに連絡が面倒なのですか?」

 「いや、そういう訳じゃないけど......」

 イチイチ億劫だということもあるのだが、ルキフェルとの戦い絡みも多いので、連絡をしないだけであったレヴ。

 アールヴなので、人間と異なる感覚の部分があるのも致し方無い。

 「弟子達を貴方の戦いに巻き込みたくないのはわかりますが、流石に知らない店やホテルからの請求は、対応しきれないので、今後はお願いしますね」

 「はい、わっかりました......」

 「って言っても、これからは詩音が居るから、そういうことも無くなってしまうのでしょう。 それも少し寂しいですね」

 「......」

 ここまで言われると、流石に真剣な表情のまま黙るレヴ。


 「レヴ。 僕達はみんな貴方に感謝しているのです。 多くの者が、中年と呼ばれる年齢迄すら生き残れない異能者達ですが、僕を含めた貴方の弟子は、ほぼみんな生き残っています」

 デュオはここまで話すと、ワインセラーから白ワインを華麗に取り出して、グラスに注いで一杯だけ飲み干す。


 「全て師匠であるレヴのお蔭です。 レヴから教わった強力な魔術と、その後数年間に渡るルキフェルとの戦いでの実地訓練の効果で、異能者の戦いの数あるピンチも、楽に乗り越えることが出来ているのです」

 「だから、現実世界では出来るだけ協力したいと思っています。 弟子達は異能者なので、ほぼ全員が成功者」

 「困っている時、レヴの場合は殆どが金欠でしょうけど、遠慮なく言ってください。 それが師弟関係が切れていない証であり、永遠の麗しの美少女である貴方との絆。 その絆を死ぬまで維持したいと弟子達は思っているのですから」

 話を聞いていた莉空は、師弟の絆に感激して号泣。

 レヴは、少し恥ずかしそうな表情にも見えた。


 「説教はここまで。 詩音ありがとう、協力してくれて。 いつもだったら、話の途中で魔術使って逃げ出されちゃうから」

 デュオは漸く言いたいことをレヴに全部言えて、スッキリした様子であった。



 レヴは意外と恥ずかしがり屋だったのだ。

 感謝の言葉とかは、あまり聞きたくない。

 彼女は自身と人間の『時の流れ』の感覚が大きく異なることを理解している。

 ただ、普段どうしても忘れてしまう部分でもある。

 感謝の言葉を受けると、恥ずかしさもあって、その後何十年も会わなくなってしまい、その言葉が今生の別れの最後の言葉になってしまうことが多かったのだ。

 長い旅をしている者だけが受ける特別な感覚。

 そうした別れを何万回と繰り返してきた者だからこそ、今回の様な場面を避けたがっていたのであった。



 暫く経ってから、

 「借金の返済っていう訳では無いけど」

 レヴはそう切り出すと、一本の聖剣を取り出して、テーブルの上に置いた。

 「デュオにこれを貸し出しておくよ。 あくまで貸すだけね」

 聖剣グラムテイン。

 「これは、レヴの持っている剣の中でも......」

 「最も強い聖剣だと思う。 現在の私の弟子で使いこなせるのは、デュオかシェーロンか、どちらかだろうからね」

 「良いのですか? 本当に」

 「莉空の訓練を付けて貰うのだし、色々迷惑も掛けているし」

 鞘から取り出して、剣を確認するデュオ。

 すると、レヴの魔術で最終的にデュオに取り込まれた、元聖騎士でルキフェル三賢者だったジャン・フォン・ダーグラムの亡霊が、聖剣に激しく反応する。

 その影響で、デュオの右腕が激しく震えだす。

 「聖騎士が、この剣に反応していますよ。 物凄く」

 「へー。 亡霊にもまだ意思が有るんだね。 本当に不思議」

 現実世界にも、レヴですら理解出来ない出来事がまだまだ有るのだ。


 「ところでレヴがこの剣を私に貸すってことは、討伐に参加せよと?」

 「いえ、そこまでは求めて無いわ。 みんな若い頃と違って、多くの人間達に対して責任の有る立場だから」 

 「......レヴが、弟子のことを気遣って、こんなマジメな言い方をするなんて驚きですね」

 「えー、そこを突っ込むの?」

 レヴが不満そうに、両頬を膨らます。

 『今までレヴって、弟子達とどういう会話をしてきたの?』

 詩音も心配になる程の言われよう。


 「真面目な話に戻しますが、それ程にルキフェルが力を増しているってことですか?」

 「真面目な話を壊そうとしたのは、デュオの方でしょ?」

 レヴは、ちょっとムッとしながら、

 「私にも色々有ってね~。 らしくないことをした影響で、討伐も止まっちゃったから。 迷惑掛けるかもしれないけど、ゴメンね」

 莉空と詩音には、全く意味がわからない言い方をしたレヴ。

 約20年ぶりに再会したデュオにも、レヴの言った『らしくないこと』については、理解出来なかった。

 「それって、8年位前のレヴが肉体を失った?出来事についてですか?」

 デュオは一応質問してみた。

 多分、はぐらかして答えてはくれないだろう。

 そう思いながら。

 「詩音や莉空にも関係することだけど、詳しいことは時期が来たら話すわ」

 レヴは、珍しく質問にきちんと答えた。

 でも、デュオと詩音、莉空はこうも思った。

 『時期って、100年後? もしかしたら1000年後?』

と。


 

 その後は、莉空の訓練の話となった。

 レヴの話だと、本来莉空は『異能者の聖剣士』になる筈だったらしい。

 ただレヴの予想外の、とある行動で、神々達が創った設定は大きく狂ったとレヴは予測していた。

 「そういうことだと、母が僕の為に魔力を移した時とは、状況が変わったってことですよね?」

 「私にも、エリンがどういう未来を見た結果、莉空に魔力を移す決断をしたのか、全くわからないの」

 「だから、その未来が変わったのか、変わっていないのか、それもわからない」

 「......」

 「ひとまず、今後の戦いの為に、莉空に剣のスキルを学ばせようと思って。 聖剣士候補様だからね」

 「私の実力では無いですが、聖騎士の亡霊が聖剣グラムテインを振るいたがっています。 時間の許す限り、訓練をつけましょう」

 デュオはその様に話すと、夜も更けてきたことから、一同を離れの客室に案内し、

 「滞在中、自由に使ってください。 それではまた明日、おやすみなさい」

と言って、本宅に戻って行った。


 『どれぐらい、ここに滞在するの?』 

 詩音がレヴに確認する。

 『大学の夏休みが終わる迄かな?』

 『聖月には、語学留学って言ってきたけど、既にバレているよね?』

 『神獣が居るからね。 あのは神々達が知っていることを把握出来る能力があるの。 未来は見えないけど』

 レヴは詩音に答えると、

 『あとは任せたわ』

と言って、詩音と入れ替わって、眠りに就いた。


 「莉空に確認したいのだけど」

 「なに?」

 「私とレヴの相違点って、もう殆ど無いと思うのだけど」

 「外見はほぼ一緒だけど、瞳の色が違うんだよね。 詩音は黒色に近いダークブラウンだけど、レヴは珍しい色のダークパープル。 それと胸の大きさが全く違うよ」

 「私、そんなに胸大きい方じゃないけど?」

 「レヴは少し膨らみが有る程度だから」

 「莉空、そういうところはしっかり見ているのね。 ムッツリ」

 詩音はそう言って笑った。



 翌日から莉空の訓練を開始したレヴ。

 デュオの予定に合わせて、パラレル世界へ移動する。

 「さあ、始めましょうか?」

 レヴは、莉空とデュオに訓練開始の合図をする。

 デュオの右腕は、聖剣グラムテインを手にすると、明らかに別人のものに変化した。

 しかも、暗黒屍蝋的な暗い色に。

 莉空も名剣ヴィーティングを手にして相対する。

 お互い、防御魔術をかけてから。


 基本的には、莉空がデュオに斬り掛かる形式で行う。

 思い切って聖剣目掛けて、名剣を打ち込む莉空。

 しかし、デュオの右腕を支配するジャン・ダーグラムの亡霊は、聖剣を殆ど動かすことすらせず、簡単に莉空の名剣を弾き飛ばす。

 「まあ、最初はこんなものでしょう。 打ち合いにすらならないよね」

 レヴは感想を述べてから、莉空にもう一度相対する様に指示する。

 これを繰り返す莉空。

 「適当じゃなくて、一振り一振り集中してね」

 レヴはその様にアドバイスしながら、続けさせる。

 名剣を受け取ってから、毎日の様に素振りを続けてきた莉空。

 部屋で素振りする時は、狭いので、詩音も聖月も蒼空も少しビビるほどであり、危ない場面も時々あった。

 以後、訓練中はドアに『訓練中』の札を出すようにしていた。

 だから、打ち込む太刀筋はそれ程悪くない。

 「莉空君、まあまあですね。 『筋は良い』って言ってますよ」

 デュオは、ダーグラムの感想を代弁する。


 『ダーグラムって、いつの時代の聖騎士なの?』

 脳内で詩音がレヴに質問する。

 『人間の西暦で1700年代の異能者だよ』

 『300年以上前なの?』

 『そうよ。 ルキフェルは全員が死人っていう訳じゃないけど、この間のア・ウローラやダーグラムは死亡する瞬間に、ルキフェルに堕ちた者達だから、暗黒屍蝋なんだよ。 そうなると基本、寿命は無い』

 『生者も居るの?』

 『居るわよ。 これから戦うことになるだろうけど、生者の方が暗黒屍蝋より強いからね。 元々の異能者の力に加えて、闇のパワーも供給されているので......』


 その後も、莉空の訓練は続く。

 聖剣と名剣を使った訓練の為、レヴは万が一に備えて、ずっと待機しているので、詩音は出番が無く、レヴの中に居る状態であった。

 『訓練中のレヴは凛々しいよね。 普段はそういう感じあまりしないけど』

 『訓練中だけっていう評価はおかしいわ。 それにもう、私は詩音で詩音は私なのだから、その言い方は自己否定しているのと同じよ』

 そんな会話をしているうちに、莉空とデュオはだいぶ疲れが見えてきた。

 「疲れたでしょ? 今日は、終わりにしようか?」

 レヴが2人に声をかけて訓練を打ち切りにする。


 現実世界に戻ると、夕食をレヴが作り始めていた。

 「レヴが作ってくれるんですね」

 デュオが少し羨ましそうに、莉空に話し掛ける。

 「デュオも食べる? お腹壊しても文句言わないのなら」

 「是非お願いします」

ということで、3人分となった。

 魔術を使っているのかと思ったら、殆ど使っていないようだ。

 「レヴさん、ありがとうございます」 

 莉空が感謝の言葉を述べると、

 「詩音の激マズ料理を食べたら、明日以降の訓練に影響するし、私も苦しむからね」

 理由を説明する。

 『そんな〜。 激マズだなんて......』

 『あの〜、みんなの感想、私把握していますからね。 私もそう思うし』

 ガックリする詩音。


 出来た料理は、

 野菜たっぷりのクリームスープと御手製ハンバーグ

であった。

 「いただきます」 

 「召し上がれ」

 莉空とデュオが食べ始める。

 詩音もレヴと入れ替わって、一口。

 「美味しい〜」

 3人が口を揃える。

 「でしょ? 伊達に3000年も生きて無いわよ」

 レヴが共有モードで、鼻高々に答える。

 「あれ? 入れ替わってないのに、詩音のままでレヴは話せるのですか?」

 「イチイチ入れ替わらなくても、私は喋れるよ。 逆は出来ないけど」

 「そうなんですね~」

 莉空が感心していると、少し恥ずかしそうな表情になった。

 その様子を見て、レヴは、

 「もちろん、詩音と感覚を共有している時もあるわよ。 なかなか最後の一歩を踏み出さない、貴方達2人の態度もね。 でもそんなに恥ずかしがらなくてもイイの。 私もこういう体になった以上、人間の心の変化や感情とかも少し知っておきたいと思うから」


 レヴは純粋なアールヴから、人間と少し融合したアールヴになったことをキッカケに、人間について少し知る気になっていた。

 そして、8年間詩音と過ごしてきた結果、アールヴが滅んだ理由も概ね分かる様になっていた。


 「レヴも随分変わりましたね」 

 デュオ・ローガムが莉空を少し羨ましそうに見つめながら、話し掛ける。

 「8年前に何があって、現在の状況になったのかは知りませんが、普段は一人で過ごすことを好んでいたのに、今はそうでは無い。 それだけでも大きな変化と言えますからね」


 戦いの無い時や弟子の居ない時は、魔術で変装して、人間世界の片隅で生きてきたレヴ。

 聖蹟遺物のコレクションの為に、研究者の様な仕事を出来るだけ探して。

 どうしても欲しい遺物がある時は、権力者に近付く為に、寵姫に化けたり、将軍や廷臣に変装することもあったが、それ以外は一般の庶民として溶け込んで生きてきたのは意外な事実であった。

 『人間の歴史を大きく変えてしまうようなことは、魔術師として、アールヴ・エルフとして、してはならない』

 特別な力を持つ者として、そのことに気を使っている。

 料理が出来るのも、料理人なら食いっぱぐれないからと、あらゆる時代で色々な国の料理人をしてきたからでも有る。

 3000年近くを一人で生き抜いてくるというのは、伝説の魔術師であっても、なかなかの苦労続きで有ったのだ。


 「寿命が長いっていうのも、本当に大変なのよ。 私は魔術師だから、流石に屋根無し飯無しの生活にまで落ちぶれることは無かったけど、金無し貧乏はいつものことだから」 

 レヴは自嘲気味に過去の自身の生活ぶりを少し述懐する。

 「昔は、弟子のところを訪問するのも、本当に大変だった。 訓練が終わってから二度と会えないまま、次に訪問したら亡くなっているなんてザラ。 だから、良い時代になったわよ。 会おうと思えば2日あれば行けるからね」 



 その後、莉空の訓練は時間のある限り行われた。

 デュオが居ない時は、素振りを中心に。

 魔術を使う訓練も継続して。

 レヴの訓練は楽では無い。

 命のやり取りをする世界だから、一定レベルに達した後の方が、より厳しくなった。

 ただ、そのお蔭で、異能者の戦いが終わったこの1年の間に、莉空の能力は大きく上昇した。


 「『妖気の魔術師』デュオ・ローガム。 莉空の訓練をつけて頂き、本当にありがとう。 数々の心遣いにリヴ・レヴ、深く御礼申し上げる」

 「レヴ、急にどうしたのです? 改まって」

 デュオは久しぶりに会えた師匠と過ごせる日々が、間もなく終了することに、寂しさを覚えていた。

 次はいつ会えるのか?

 もう二度と会えないかもしれないのであるから......

 「最後に、スペシャルゲストを迎えて、莉空の訓練の総仕上げをする。 明日午後から実施」

 そう言うと、レヴは全員を現実世界に戻すのであった。




 その頃、聖月と蒼空はAUSTR国に到着し、詩音を探していた。

 自身が目指す存在であるリヴ・レヴ。

 彼女のやっていることが気になって、来てしまったのだ。

 詩音の魔力を探知することで、居場所を探す予定だったのだが、詩音の魔力が全く見つからなかった。

 「蒼空、なんで詩音の魔力を探知出来ないの?」

 「うーん。 僕にも探知出来ないんだよね」

 「どうしようか? 行く場所聞いてないし......」

 「おそらく、ずっとリヴ・レヴのままなのでは? だから探知出来ないんだよ」

 蒼空が状況を推測して答える。

 「ということは......」

 「リヴ・レヴを魔力探知で探すのは無理だよ。 そんな甘い相手じゃないから」

 「莉空の魔力は? あの子にも魔力が宿っているでしょ?」

 聖月が蒼空に質問する。

 「アイツの魔力は弱いので、難しいかな? 普段は魔力を使わないし」

 神獣は難しい旨を答えながら、他の方法を考えてみる。


 『この国にも異能者の魔術師が居た筈。 確か『妖気の魔術師』』

 異名の由来は、ルキフェル討伐戦の結果、ルキフェルに堕ちた元聖騎士の化物と一体化してしまい、妖気を宿しているからである。

 「妖気を探すか......」

 蒼空の呟きを聖月は聞き逃さず、

 「妖気?」

 「うん。 この国にはベテランの異能者の魔術師が居るんだよ。 詳しいことは全くわからないけど、『妖気の魔術師』と呼ばれている。 神出鬼没でしかもルキフェルに堕ちた聖騎士と一体化し、非常に強いから、異能者の戦いでも彼の姿を見掛けた話は全く聞かない。 魔術で突如真後ろに出没されて、聖騎士の亡霊の魔剣に瞬殺されるらしいからね」

 「もしかして、現在最強の異能者?」

 「その通り。 そして、リヴ・レヴの弟子だと言われているけど、彼と繋がりのある異能者は誰も居ないから、神々達も把握しきれていない。 神々達ですらよくわからないってことは、彼は闇の力も上手く利用しているのだろうね。 リヴ・レヴと同じ様に」

 「そんな大物の所在わかるの?」

 「そういう時は、これさ」

 神獣(蒼空)は、AUSTR国の経済関係の書籍や雑誌を聖月に渡す。

 「男の異能者は、必ず成功者。 AUSTR国の大富豪の中に、彼は居るよ。 だから、そっちから探そう」

 聖月は蒼空に渡された資料を調べる。

 すると、一人の男が浮上した。

 「ねえ、蒼空。 この人じゃない?」

 「年齢58歳なのに、見た目は30歳いかないくらいのイケメン。 しかも独身で家族が居ない」

 「35年くらい前から急速に事業拡大して、大成功か〜。 確かにその可能性が高いね」

 「蒼空、行こうよ。 きっとこの人のところに、レヴと莉空は居る」

 聖月はそう言うと、颯爽と立ち上がる。

 そして、蒼空を抱き抱えて、自身の未来の為にも、一歩ずつ進むのであった。 

 

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