テンプレートを応用しよう
1、2話では、テンプレートを使ったレビューの書き方を解説してきた。
けれど、こんな不安を覚えた方もいるのではないだろうか。
「テンプレートなんか使って書いたレビューって没個性的では?」
ここではそんな心配性な方のために、テンプレートを応用したレビューの書き方を二種類ご紹介する。
ア.○○視点型
イ.パロディ型
順番に解説していこう。
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ア.○○視点型
これは誰かの視点に立ってレビュー書くという手法だ。そんな風に説明されても訳が分からないと思うので、実例を見ていただこう。いつものように『桃太郎』へのレビューだ。
「おい、お前! こんなところで何やってんだよ! 早く逃げないと危ないぜ!?
どうしたんだよ、そんなとぼけた顔して! ……まさか何が起こったのか知らないのか!? とんでもない奴がうちのアジトに攻めてきたんだよ! 確か「桃太郎」とかいう名前だったはずだ!
「悪い鬼たちめ! 村人から奪った宝物を返せ!」とか言ってさ。その強いのなんのって。うちの大将も押され気味だ! このままじゃ負けちまう! 巻き込まれねえ内に早くずらかろうぜ!
あーあ……。何でこんなことになっちまったんだか。やっぱり悪いことはするもんじゃねえな」
このレビューはモブ鬼の視点に立っている。「緊急事態が発生したことを同僚に伝えている」という状況を想定して書いたものだ。
もちろん原作にはこんなシーンはないので、全て想像の産物である。二次創作をするような気持ちと言えば分かりやすいか。
誰の視点で書くのかは自由だ。今回のようにモブでもいいし、主役の桃太郎でも、桃を拾ったおばあさんでも構わない。役になりきって空想の翼を広げてみよう。
でも、忘れてはいけないのはテンプレートのステップ一、「作品の内容紹介」を視点の主にさせること。
今回の例なら
「とんでもない奴がうちのアジトに攻めてきたんだよ!」
→戦闘が発生する話である。
「確か「桃太郎」とかいう名前だったはずだ!」
→主役の名前。
「悪い鬼たちめ! 村人から奪った宝物を返せ!」
→主役が何を目的として行動しているのか。
「やっぱり悪いことはするもんじゃねえな」
→テーマは勧善懲悪。
このように、視点の主の口を借りて作品内容を伝えよう。「主役は誰?」「その目的は?」「どんな結末が予想される?」辺りを意識するといい。
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イ.パロディ型
何かのパロディの形を取ったレビュー。実例を挙げよう。
「「画面の前の皆様こんにちは! 早速本日の商品をご紹介しましょう!」
「これは……お団子ですか?」
「ただの団子ではありません! おばあさんの手作りきび団子です! なんと、どんな動物とでもたちどころに仲良くなれてしまうという優れものなのです!」
「それはすごい! では、この可愛らしい犬さんに一つあげてみましょう。……ああ! 仲間になりたそうな目でこちらを見ています!」
「かつてある英雄が、この団子によって生み出された絆を武器に、悪い鬼を動物たちと退治したという伝説もあるんですよ」
「なるほど、歴史ある食べ物なんですね」
「気になる方はお早めにお電話ください! 今から三十分間、オペレーターを増員してお待ちしております!」」
もう何のパロディか分かっただろう。通販番組である。
『桃太郎』には「きび団子」という印象的なアイテムが登場するので、今回はそれを主軸としたレビューにしてみた。もちろん「作品の内容」の解説は忘れてはいけない。
先ほど「○○視点型」でも解説したように、どのようなパロディにするのかは自由だ。皆様も、ぜひユニークなパロディを考え出していただきたい。
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「○○視点型」でも「パロディ型」でも、テンプレートのステップ二、三の「その作品を一文でまとめると?」「最後に一言」は特に盛り込む必要はないが、別に入れても構わない。レビューの雰囲気や自分の技量と相談しよう。




