01-この場所のルール
気づけば地獄だった。
小学校の頃、座禅を体験した寺の天井に描かれていた光景と同じだった。
だから、ここは地獄だ。
周りは崖で、煮えたぎった溶岩が下を流れている。
向こうに鬼がいて、その向こうには扉がある。
熱いし、暑い。
鬼はこちらに気づき、近づいてくる。
鬼の足元の地面が崩れ、鬼は崖から転がり落ちた。そしてそれは溶岩に沈んでいった。
そうかと思うと、同じ姿の同じ形の同じ顔の鬼が扉から出てきた。
黒人の顔が同じに見えるのだから鬼の顔の区別ができるわけもない。
ただ、同じ鬼だと思った。
ここは地獄だし、鬼が死んで天国に行くわけもなく、地獄に戻ってきのだろう。
さてどうしようか。
ここが仮に地獄としよう。
どうすればいいかもわからんが、まずは鬼と話をしてみよう。
ここは不快な場所だ。あの扉の向こうにとりあえず行くべきだろう。
私は歩き始めた。
ちょっと歩いたところで、もろくも足元の地面が崩れてしまった。
落ちている、溶岩が迫ってくる。
ああ、死ぬ。いや、もう死んでいるだろう、地獄なのだから。
ここは、さっき気づいた場所だ。
さっきの鬼と同じだろう、ここでは溶岩に落ちても死ぬことはない。
ただ、決められた場所に戻ってくるのだ。
やはり私は死んでいて、ここは地獄なんだろう。
私はさっきとは違う道を選んで歩き始めた。