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Re:Create The World  作者: 波浮湊 椿
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日常の崩壊への道

ある初春の夜の夢で変な景色を見る。その景色広がる空間で一般中学生東山和海が神託により神に新型ウイルスによって機能しなくなってしまった世界の秩序や安寧を守ることを任され、和海の『日常』が崩れかけていくそんな第一話

最近こんなニュースを耳にした。



『えぇ...続いてのニュースです。アフリカで新型ウィルスによる大規模なパンデミックが、アフリカ大陸中央部の貧困地域で拡大しているとWHO世界保健機関が先程発表し、「この規模の拡大は想定外で、ここには人員を派遣するのも難しく収束の目処が立たない。要するに我々にはどうすることもできない」とコメントしており、世界に見捨てられた形になっています。』



対処できないとはふざけているのか?

日本はこんなにも落ち着いき、ほとんど流行っていないというのに...

きっと対処が面倒や、貧困地域に金を投じたところでなんの利益にもならないからだろうと中学生3年の僕、東山和海とうやまかずみは思った。



それと同時に「僕になにかできたらいいな」と強く自分の無力さを痛感した。

なぜならこの地球上には僕と同年代の人たちはSNSなどで環境や政治、デモなどで声を上げておりそれはまあ凄く世間に多大なる影響を示しており、積極的に活動しており、訴え続けることで変えているのである。



でも自分はそんなことをしても無駄だ。



SNSでなにか訴えようものならきっと『何だ、優等生気取りか?』とか『言葉だけならなんとでも言える』などボロボロに叩かれネットのおもちゃにされ、自分の行った事に対し責め立て、息が苦しくなることがおおよそイメージ出来るからだ。



そして自分がもっと『優しい人間』ならなと思っては、嫌悪して自己完結し、くだらない妄想を終えるのである。



そんな普通の日常が流れ、続いた。



だがある日いつも通り大好きなオープンワールドRPGを終え、床につき眠ると夢に落ちたはずが自分の知らないとても明るい空間で意識が覚醒した。



呆気にとられ、呆然と立ち尽くしていると後ろから声がした。



「お主になら救える」



振り返ると巫女服のようだが赤白ではなく青白の巫女服もどきを着た少女が立っていた。




僕は状況が飲み込めないので、目の前の少女に尋ねる。




「あ、あのここはどこで、あなたは誰なんでしょうか?」



少女には聞こえなかったのか少女は続けて言う。




「わらわの思いお主に託そう」




そう言うと少女は白く美しくまばゆい光を放ち視界が真っ白になる。気がつくとそこは、自分の知っている天井だった。




「んぅ...もう朝か。ってもう7時30分⁉」




僕はすぐにベッドから起き上がり、速攻で着替える。

着替え終えるとすぐにダイニングに向かい、席につく。間もなく母さんが朝食を出してくれる。




「おはよう和海」


「おはよう。いただきます。」




出されたパンを強引に口放おり込み、コーンポタージュでぱんをやわらかくし飲み込み食事を終える。




「ごちそうさまでした」




朝食を早々と終えると洗面台に向かい、顔を洗い、歯を磨く。磨き終え自分の部屋に稲妻のごとく走り駆け込む。登校用のカバンに教材を詰め、玄関に急ぐ。




玄関に着くやいなや座り込み靴下と靴を履く。今日こそ靴下履きから靴履きの自己ベストを出すべくスマホでストップウォッチを計り始める。無駄な動きをなくし、靴下を履くために神経を集中させる。こんにゃくのように足を靴下に滑り込ませる。



いいぞ順調だ。



両足に靴下を通し終える。そしてウサイン・ボルトも驚く速さでまたたく間に両足に靴を入れる。履き終えた

ので、ストップウォッチを止める。




記録は32.768秒。

自分の持つ31.259秒に迫る好タイムとなった。




「クッソ!あと少し」




何がいけなかったのか、考えてみる。思い当たるふしはない。

あれは本当に完璧だったと思ったのに...。

納得はできなかったが時間は待ってくれない。時が有限である以上自分のクソみたいな思いとは裏腹に進んでしまう。往生際が悪いと思いながらもタイムアタックを終え、家を出る。




「行ってきます」



挨拶をし、家を出る。

学校は、あと少しで卒業なので消化試合にも等しい。だが楽しいので登校する。

歩き出すと夢のことが頭によぎる。あれは一体何だったのだろうか?

考えるも、答えが出そうにないので、『思いを託そう』というのは真に受けず頭の片隅に置き、軽快に走り出す。


それから2日くらい立っただろうか。また僕は就寝前のルーティーンとなっているオープンワールドRPGを終え、ベッドに身を投げ目を閉じる。

目の前が異様に明るい。一瞬死んだのかと頭にそんな思考が頭をよぎる。

恐る恐る目を開けてみる。

そこは既視感のある空間だった。既視感はあるがどこかはわからない。

頭の回転率を上げ、思い出してみる。

考えついたのは、2日前の夢の中だった。


「おいおいまたここかよ。僕はなんて妄想がすごいんだろう。何があったらこんなパラレルワールドが想像出来るのだろう。」


自分の夢?の内容を振り返り自嘲する。



「パラレルワールドとは失敬な。」


「はッ?」



振り返るとそこにはまた既視感のある光景が広がっていた。

この少女どこかで見たことあるような...



「僕は疲れているのか?変な女の子まで出てきたぞ。」



目の錯覚を疑いたい。

というかこの容姿、前に夢に出てきたような。


「あなたは誰なんですか?」


「あれ名乗ってなかったかの?まぁ良い。我が名はアマビエ。日本の神じゃな。」


「はッ?神?アマビエってあの疫病がどうたらな神ですよね?」


「どうたらとは何じゃ...。ん゛んッ。いかにも。疫病退散じゃな。というかお主何も考えていなかったじゃろ?」


「何をでしょう?」


「『何をでしょう?』じゃなくて世界を救う話じゃ。」


「え、なんですかそれ?」


「前に伝えなかったかの?」


「何も知りません。」


「嘘じゃろ。大事なところが飛んでいるじゃと。夢を使ってやるんじゃなかったかの...。まぁいい、これからお主にはアフリカに行ってもらう。」


「急に何言ってるんですか⁉というかなぜアフリカ?仮に行って僕に何が出来るんですか?」


「聞いて驚くなかれ。お主は神託に選ばれたのじゃ。お主は神の力を扱う素質が候補者の中でも特に高かったのじゃ。」


「待ってください。話に追いつけません。神託?神の力?なんですかそれ?」


「聞きたいことが山程あるようじゃが、この空間がそろそろ崩れる。アフリカに来てから、説明するので乞うご期待じゃ。んじゃアフリカで。」



だんだん視界が暗くなっていく。頭の整理が追いつかない文字通りのてんてこ舞いだ。

視界が真っ暗になってゆき、意識が遠のいていく。ノンレム睡眠だ...。



目元に柔らかなぬくもりを感じ目を覚ます。

いつもと違い、今日は急がなくていいと思うと気が楽でゆっくりとYシャツにアイロンをかける。

きれいに干しておいた学ランを手に取り、学ランの下を着る。着終えて、リビングに向かう。

椅子に学ランをかけ、椅子につく。出される朝食はいつもより高めの生食パンと僕の好きなカルパッチョ、オニオンスープ、ギリシャヨーグルトが並べられる。


「いただきます。」


いつもより優雅な朝を過ごせている。こんなに余裕を持って朝食をとるのはいつぶりだろうか。

生食パンは舌の上で溶けるような食感でカルパッチョはサーモンとソースが絶妙に絡んでいて、食のショパンのようだ。オニオンスープは淡路島産タマネギの甘みが強く感じられ、生食パンとの相性もいい。ギリシャヨーグルトはいつもは入れないはちみつに冷凍ミックスベリーを入れ、見た目に高級感を出し食卓に彩りを持たせている。



悠長に優雅な朝食を取り、洗面台に向かう。顔を洗い、髪を整え、歯を磨く。

学ランを着て、学校に向かう。

今日は3月9日...そう卒業式である。



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