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【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ、塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。  作者: 氷雨そら


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番外編 姉は推し活をしている(弟目線) 1

初期に回想のみ登場していた弟くん目線の番外編を2、3投稿してから2章開始予定です。




 ジークの姉である、メルシアは、本人の自覚はないが、可愛い系の美人だ。


 鼻が低いことを気にしているようだが、大きな瞳とそれを縁どる淡い茶色のまつ毛は人形のように長いし、プルンと艶やかな唇は赤い、ジークの姉メルシア。


 その造形に、少し低めかもしれないがその鼻が、可愛らしさを添えている。だがしかし。


「ランティス様がものすご~くカッコよかった話、聞く?」


 いつも、明るくて、領民思いで、メルセンヌ伯爵領を襲った災害の後、メルセンヌ伯爵家が領民のために切り詰めた生活をしている日々に文句もなかったメルシア。


 それどころか、何を思ったか「家計の一助になる!」と宣言し、メルシアは、王都で治癒師として働き始めた。


 メルシアと、ジークの父と母は、現在領地の復興のため王都には不在だ。

 だから、メルセンヌ伯爵家の辛うじて残っている王都の屋敷に姉は暮らしている。

 一方ジークは、王立騎士団の養成所の寮にいるため、あまり姉と会うことはない。


 本日は、久しぶりのメルセンヌ姉弟水入らずの食事のはずなのだが……。


(姉さんは、恋にでも落ちたのだろう)


 初めのうち、ジークは、姉の初恋を微笑ましく見ていた。

 しかし、フェイアード侯爵とメルシアとジークの父であるメルセンヌ伯爵は親友のはずなのに、メルシアとランティスは、出会いからして物騒だった。


「は? 孤児院の子どもと人攫いに襲われた?」


 メルシアが倒れたという連絡を受けたジークが、蒼白になりながら治癒院に駆け付けると、意外にも元気そうな姉が、あっけらかんと言った。

 その時には、事後処理は全部完了していて、現場責任者の能力の高さがうかがわれた。


 メルシアを直接助けてくれたのは、ベルトルト・シグナーだったと、ジークは聞いていた。

 その、ベルトルトを助けようと光魔法を酷使しすぎてメルシアは倒れてしまったらしい。


(無茶な魔法の使い方は、危険だってあれほど言っておいたのに……)


 だが、恩人の命がかかっていたのだ。

 人のいいメルシアが、見捨てるなんて出来るはずもない。たしかに、シグナー卿は、いい人だ。


 しかし、ジークの予想を覆し、メルシアが恋に落ちたらしい騎士は、身を挺して姉をかばったベルトルトではなくそのあとに風のように現れて、事件を解決して去っていったというランティスの方らしい。


「あのフェイアード卿……?」


 時々、隊長の業務の一環として寮生を指導しに来ることがあり、ジークは多少の面識がある。

 だが、笑ったところなど見たことがないし、指導も苛烈だ。

 フェイアード侯爵家の嫡男だが、どんな泥にまみれた訓練にも文句ひとつ言わずに、寮生と一緒に参加しているところは、確かに好感が持てるが……。


 そして、ジーク視点で見ても、金に近いオリーブイエローの瞳、白銀の煌めく髪、整った鼻筋と薄い唇。ランティスは、人外かと思うくらいの美貌を持っている。


「えっと、ベルトルト・シグナー卿ではなくて?」


 ベルトルトはランティスと騎士団での人気を二分する騎士だ。

 海のように青い瞳は、いつも穏やかに細められる。少したれ目で、優し気で、実際優しい美男だ。

 剣の腕は、王国騎士流の美しいもので、見ているだけで感嘆のため息が漏れそうだ。


 一方のランティスの剣は、実戦に重きを置いていて、型にはまらない。

 強さを求める人間には、認められているが、王国騎士の流儀に反する戦い方でも、「騎士としての誇りを持ちたいなら、まずは生き残れ」と指導することに、眉をひそめる騎士も多いという。


 姉が恋に落ちるなら、幸せが約束されるベルトルト・シグナーのような男に違いない、そう思っていたジークは、まさかの人選にひどく困惑したのだった。


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