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塩対応婚約者の裏側 6



「えっと、でも、その言い方だと、ずーっと、私のことが好きだったみたいに聞こえてしまいますよ?」

「事実だ」

「えっ? だって、最後に会ったのは、幼いあの時で……。もう一度お会いしたのは、ベルトルト様に助けられたあの時ですよね?」


 長い沈黙が、訪れる。


 おそらく、まだランティスには、言えていないことがある。さすがに、メルシアにすら、そのことは察せられる。


「くっ。そんな目で見ないでくれ! メルシアのことが、ひと目見たくて、騎士になったなんて、引かれても当然だ!」

「えっ」


 事実、フェイアード侯爵家は、王の剣と呼ばれ、代々優秀な騎士を輩出している。

 だが、嫡男であるランティスは、騎士になることを義務付けられてはいなかった。


 それほど、誰かと争うことが好きではなかったランティスは、このままフェイアード侯爵家の後継者教育を受け、侯爵家を継ぐつもりだった。


 もちろん当時から、後継者教育の一環として指導を受けていた剣の腕は天才肌で、騎士にならないことを周囲に惜しまれるほどだったが。


 けれど、三年前、未曾有の大災害が、メルセンヌ伯爵家に襲い掛かった日、ランティスは騎士になることを決めた。


『どうして、気が変わった』


 当時、現役の騎士団長だった父は、ランティスを止めようとはしなかった。


『初恋のため、でしょうか』

『お前から、そんな言葉を聞くとはな。やっぱり、俺の息子といったところか』

『……俺は、あなたみたいに、母上を国王陛下から攫うほどの度胸はありませんよ』


 ランティスの父は、国王の側妃に選ばれた伯爵家の令嬢を、大恋愛と決闘と、数々の武功で自分のものにした。

 そのことは、すごいと素直に思う。だが、真面目で言葉数の少ないランティスには、真似はできそうにないと、そう思っていた。


「………あの日までは」

「え?」


 そのまま、黙ってしまったランティスに、メルシアは小さく首を傾げた。


 それにしても、情報過多で、混乱してしまう。


「遠くから、君を見ていたなんて言ったら、怖がられてしまうかな?」

「…………え?」


 騎士になったランティスは、周囲の反対を押し切って、当時生還者が少ない魔獣との激戦地だったメルセンヌ伯爵領への赴任を志願した。


 

似たもの同士( ^ω^ )


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