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六星高校妖怪研究部~ようこそ、妖研へ!~  作者: 望月おと
【ようこそ、妖怪研究部へ!】
14/22

狙われた我が家

 聖海が雷家に着いたときには、すでに九井以外の妖怪研究部全員が揃っていた。烏も同席している。本日は国会議事堂に似た雰囲気の会議室らしき部屋に通された。雷家には、いったい部屋がどれだけあるのだろうか……。


「遅いぞ、立花」

「すみません……。母と連絡が取れたので、部活後に一時帰宅します」

「家に【型】があるのか?」

「分かりませんが、祖母の遺品が家にあるので可能性としてはあるかなと……」

「ならば、俺も同行しよう」

「え? 部長がですか!?」

「ん? 俺が一緒に行っては不都合でもあるのか?」


 眉間にシワを寄せる部長に風見が口を挟んだ。


「勘はいいくせに、こういうことには龍ちゃん疎いんだから」

「なっ!? 颯志、何が言いたい?」

「お母さんに会いに行くのに、龍ちゃんを連れていったら『あら? 聖海ちゃんの彼氏?』ってなるだろ?」


 おどけて母役を演じる風見に影助と水守は笑い出し、部長は今にも湯気が出そうなほど顔を真っ赤に染めた。


「龍ちゃん、アンダースタンド?」

「あぁ。十分、理解した。だが、俺は行く」

「え!? どうしてですか!?」


 迷惑だと言わんばかりの表情をする聖海に不適な笑みを向け、部長は言った。


「俺は部長だ。お前が【妖術師】であることを見届けなければいけない。今のお前は、【妖力がある一般人】に過ぎない。鬼からしたら、良い獲物だ。鬼の目撃情報が上がった以上、餌を一人歩きさせるわけにはいかない」

「餌って、龍ちゃん……」

「いいな、立花。俺も同行する」


 聖海は首を縦に振る他なかった。複数の人間に襲われても太刀打ちできそうにないのに、相手が鬼では尚のこと。どう考えても勝ち目はない。部長の言う通り、餌がライオンの檻の中を堂々と歩いているようなものだ。


「鬼の詳細は、烏から報告してくれ」

「御意」


 烏は一歩前に出ると、妖研メンバーたちに向け、話し始めた。本日も漆黒の闇に似た黒衣を烏は纏っている。


「では、ご報告を。鬼の数は全部で三体。人形ひとがたをしている上、鬼特有の【臭い】が無いようです。そのため鬼の発見が遅れ、数名の命が食い荒らされました。幸いにも、【鬼化】は防げましたが、鬼たちが現世にいる以上、新たなる犠牲者が出る可能性は大いにあります。鬼たちは、現在この方角に──」


 スクリーンに写し出された地図を見て、聖海が声をあげた。赤くマークされたエリアに母が住む聖海の家が入っていたからだ。


「目撃情報は、立花の家近辺なのか!?」

「はい。ちょうど、目撃情報の点と点を結んだ中に私の家があります!」

「それって、つまり……」

「狙われてるのって、立花さんの家ってこと?」


 聖海の頭が真っ白になる。家には、母がいる。彼女もまた霊感の類いが全く無い人だ。鬼が現れても気づかないだろう。このままでは、母が──


「家に母がいます! 妖力も霊力もありません……」

「だとすれば、お前の祖母の遺品から妖力が放出されているのかもしれん」

「そんなことってあるんですか!?」

「あぁ、前例がある。亡くなった妖術師が残した遺品から僅かだが妖力が漏れだし、鬼たちは群がった。それで壊滅した妖術師の家も少なくない」

「急がないと!! 母が──」

「あぁ。俺と立花は現場へ向かう。水守とえーすけは、鬼たちが隠れていた場所の浄化に当たってくれ。森の精霊たちが調子を崩しているらしい。詳細は烏に聞いてくれ。風見は──」

「俺は火車の目撃情報をもう少し集めてみる。ちょっと気になることもあるし」

「わかった。では、それぞれ解散。いいか? 行動は、くれぐれも隠密に」

「了解」


 メンバーたちは散り散りに行動を開始した。聖海は部長と雷家を出て、駅へ向かった。


「鬼たちの行動から見て、やはり お前の祖母は妖術師で間違いないだろう。だが、ひとつ問題がある」

「問題、ですか?」


 突如、浮上した問題。一体、何が問題だと言うのか。聖海は検討もつかず、ただジッと部長の顔を見つめた。


「妖術師は、自分が死ぬまでに引継ぎを済ませておくものだ。【型】の流出を防ぐ為にも。……つまり、【型】 の隠し場所は受け継いだ者しか知らない。しかし、今回の場合……死人に口無し。最悪、見つからないって事も覚悟しておくんだな」


 流出を代々防いできたのだ。簡単に見つかる所に隠すとは思えない。出てこない確率の方が見つかる確率より、遥かに高いだろう。聖海は落胆した。部長はスッと前へ一歩踏み出した。


「やるだけやってから、落ち込め。……忘れたか? 【妖力は妖力に反応する】」

「あ!」

「とりあえず、行ってみよう。何か見つかるかもしれない。それに、お前の母親のことも気がかりだ」


 何事もなければいいが……。聖海は嫌な予感を振り切るように前を走る部長の背中を追いかけた。


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