くじら島のメル
むかし、むかしのおはなし。
くじらのような島がありました。
その島の人たちは魔法使いだったのです。
6才の女の子メルにはお仕事があります。
くじらの島の船着き場その守り人なのでした。
船着き場では漁師の人が忙しそうに働きます。
メルはあいさつをして堤防に登り船を見ます。
大きな船、小さな船、笑顔いっぱいの船。
虹色の海を越えて今日も大漁だと喜んで。
メルはみんなが笑うと嬉しかった。
飼い猫のルルが言いました。
「メルのお父さん、遅いね。」
メルは言います。
「お父さんはもっと遠くに行ってるンだよ。」
「淋しい?」
「お父さんもお仕事で、メルもお仕事なの。」
メルは同じだから大丈夫だと言いました。
ルルはメルと離れない、そう心に誓いました。
メルは魔法を唱えます。
「チューリップ!!」
魚に花が咲きフワフワ飛んで行く。
急いで、急いで、みんなのところへ。
くじらの島の人たちは笑顔で花を追いかけます。
メルの魔法は花を咲かすだけじゃない。
みんなを笑顔に咲かせます。
メルは今日も船着き場にいます。