1日目「ヤクルトとマミーって何が違うの?」
「あっ…やっちゃった…」
また始まった…
飲食店(回転寿司)でのバイト仲間の加奈さんは
シフトに入ると必ず何かしらのミスをする。
恐らく洗米済みの米を補充中に床に袋ごと
「ズドーン!!」
とかだろう。
「木村くんどうしよう…」
そしてこんな感じで毎回僕に泣きついてくる。
なんでこんなに平気で異性に泣きつけるのだろうか…
まぁ多少はね?同級生僕ら2人しかいないからいいんだけど…
そして…
「どうかしたの!?って言うセリフをもう何百回も聞いている…みたいな顔してるよ。木村くん。」
こんな感じで店長すらも加奈さんの失敗には慣れている。
「あの店長…勘で人の心読むのそろそろやめてもらえません?てか店長の勘って全然当たらないじゃないですか。」
「何を言っている!いつも当たっているではないか!この前だって柳さん(加奈さん)がまたミスするんじゃないかっていう感情を読み取ったじゃないか!」
「いやだって、日常茶飯事なのにそんなドヤ顔されても…」
またこの会話かよ…。ん?何か忘れてるような…
「店長…!すみません…!お米の分は給料から引いて下さい…!」
あっそうだった、加奈さんお米ひっくり返してたんだった。
「大丈夫、大丈夫。これくらいなら給料引く必要も無いよ。」と店長は加奈さんを慰めた。あんた器でけーな。
「はぁ〜…またやっちゃった…。」
「元気出しなよ。店長も大丈夫って言ってたんだしさ。」
バイトが終わったら必ず落ち込む。 うんうん、いつも通りだ!
ところで僕は実はバイト代は貯金する派の人間である。買いたいものも特に無いし、いつでも使えるようにね。
え?なんでかって?
なんで今その話をしたのって?
それは…
「ほらココア買ってきたから元気出して」
「わぁ〜ありがとう!木村くん!」
加奈さんを慰める為にジュースだのお菓子だの買ってあげるためだよ!
あ〜出費が重なる〜。
一、二回ならなんて事ないけど僕と加奈さんはシフトがほぼ同じだからほぼ毎日こんな生活。
150円の飲み物+120円の飲み物×一ヶ月分で単純計算一月3750円の出費、wow!学生には辛過ぎるぜ!
その為に貯金をしてるから小遣いにはまだ余裕がある。あとで漫画でも買おっと。
「木村くん。本屋に行かない?面白そうなのがあったら買おうかなって。」
なんたる偶然、まぁ1人で行くよりかはマシかな。
「いいよ。一緒に行こうか」
「うん!」
そのまま僕らは本屋に足を運んだ(徒歩30分)
相変わらず遠いな…
僕らは疲れた足を無理やり動かして店に入った。
「おっ、あったあったワン○ースの最新巻!」
僕はさっさと会計を済ませて加奈さんの買い物に付き合う事にした
「加奈さん、面白そうなのあった?」
「う〜ん…あったにはあったけど…。」
「良かったじゃん。どんなの?」
「これなんだけど…」
「ドラゴンポール」
「KAMABOKO」
なんだ?このパクってそうでパクってないようなタイトルは…
「へ、へ〜。そんな本あるんだ〜。加奈さんはどっちを買うの?」
「両方欲しいんだけど…最近ピンチだからさ…どっちかに絞らないといけないんだ…。」
いや〜…どっちもクオリティ同レベルにしか思えないし…あれでしょ?どっちの漫画も主人公の「腹減った〜」から始まる系でしょ?もうそういう系の漫画は起承転結大体おんなじ説出ちゃってるよ、もうどっちでもイイじゃん、どうせおんなじようなもんだよ。
「木村くんならどっちが良いと思う?」
え?それ僕に振ります?どうせどっちも同じじゃん…もうそれ「ヤクルトかマミーどっちが良い?」レベルの質問だよ?
もうどっちでも良いよぉ。
「…じゃあ…「KAMABOKO」で…」
「う〜ん、じゃあドラゴンポールにしよっと!」
ハイ出たここまでテンプレ〜。回答者の意見ガン無視するやつぅ〜。
怒っちゃうよ?我キレるよ?
全国の巻き込まれキャラ代表してキレちゃうよ?
「じゃあ会計済ませてくるねぇー。」
そう言って加奈さんはレジに向かった。
まぁお互い目的は果たせたしいいか。
そんな事を思いながら僕らは店を出た。
「じゃあね木村くん。また明日。」
「うん。じゃあまた明日。明日はミスしないように気をつけてよ。」
「分かってるって!」
そう言って加奈さんは僕の帰り道の反対側へと走っていった。
どうせ明日もミスをする。加奈さんへの僕の気持ちはそんな感情しか抱いてない。
でも明日はまた明日は…と毎日、期待しちゃったりして…。
僕は加奈さんの帰り道の反対側を歩いて行った
自分の家へ歩いて行く。
500…400…300m、と近づいて行く。
ゆっくり休もう…。明日もまた頑張れるように…
「明日はクリームパンと…コーヒー牛乳かな。」
投稿頻度は割と適当です。
気が向いたら読む感覚でいいので楽しんでもらえたらなと思います。