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転生したら絶滅寸前の希少種族でした。【WEB版】  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
第八章 〜十六歳のわたし、そして未来のわたし〜

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十六歳のわたし第2話



「うえっ、苦しい……」

「ご、ごめーん」

「全然反省してないでしょ! んもーう! あたしもうロフォーラに帰るからね!」

「わ、わかったよ〜。ありがとう!」


 のんびり表で昼寝していたシシオルさんを引きずり起こし、ロフォーラに転移していくナコナを見送る。

 ちょっと試食させすぎてしまった、えへ。

 だって、ナコナの麺打ちスキルがすごいんだもん。


「さて」


 すごすぎで、麺がたくさんできてしまったわ。

 スープは使い切っちゃったから、また作らないと。

 とはいえ醤油味のラーメンばっかりじゃ飽きるしなぁ。

 ……やはり味噌ラーメンに挑戦してみる?

 でもこの麺じゃ、理想の味噌ラーメンは作れないのよね〜。


「ティナ、なにしてるの?」

「レンゲくん」


 食堂で後片付けと、この山のような麺の消費方法を思案していたらレンゲくんが入ってきた。

 あ、そうだ。

 理想の麺作り、次回はレンゲくんに手伝ってもらお〜う。

 レヴィレウス様は生地が消えそうだもん。

 でも、やっぱりまずは作りすぎた試作麺の消費が先よね。

 うーむ、どうしたらいいものかしら?


「ふーん、新しい料理の試作品かぁ。ティナは料理に関しての向上心がいつもすごいよね」

「そ、そうかなぁー」


 前世の味の再現をしているだけなんだけど……。

 まあ、レンゲくんに褒められるのは悪い気はしない。

 相変わらずマフラーで口元は隠れているけど、目元が楽しそう。

 ……いや、うん。

 マフラー様には本当に頭が上がらないわ。

 レンゲくんが素顔を晒したままだとわたし、なんだかますます好きになってしまいそうなんだもん。

 話しているだけで緊張したり、ドキドキしたり、気分が高揚したり……困ってる。

 額の珠霊石が『暁の輝石』にならないように、これ以上好きにならないようにしなきゃいけないのに……。

 あーあ、なんでわたし、珠霊人なんかに生まれてしまったのかしら。

 いや、今こうしてレンゲくんが側にいてくれるのは、わたしが珠霊人だったおかげでもあるんだけど。

『暁の輝石』がなぁ……。


「………………」


 一つだけ、なんでも願いの叶う奇跡の石。

 でもわたしの願いって、立派な錬金薬師になることぐらいなのよね。

 そしてそれは、自分の努力でなさねばならない!

 いや、まあ、そりゃ……レンゲくんと両思いになれたらな〜とは、今でも思うけど……そうなると額の珠霊石が『暁の輝石』になるかもしれなくて?

 あ、いやいや!

 そもそもそんなものに頼って両思いになっても仕方ないでしょ!

原喰星スグラ』を消してほしい、と祈れば『原喰星スグラ』は消えるかもしれないけど……レンゲくんいわく、『原喰星スグラ』を消すと祈っても「ろくな形で叶うとは思わない」らしいから怖すぎて祈れないよね。

 うーん……。

『暁の輝石』……本当になんて厄介なのかしら。


「あ、そうだ。はいこれ、頼まれてた『レビノスの泉』の水」

「あ! ありがとう!」

「なにに使うの?」

「もちろん! 万能治療薬の開発よ!」

「えぇ……」


 瓶に詰めて持ってきてもらった、幻獣大陸クリアレウス様の居住地にあるレビノスの泉は、大量の良質な『原始魔力エアー』を含んでいる。

 これに以前アリシスさんからもらった『イブの花』。

 デイシュメールの中にレドさんが温室を作ってくれたおかげで、すくすく育成が成功したのよね。

 去年、『エデサ・クーラ』が魔物を放り込んできた時に城壁が破壊され、厩舎なんかも壊された時はもうダメだろうと諦めたけど……温室は無傷だったので助かった。

 魔物は本能的に人の多いところを目指す。

 それで助かったのだろう、とのことだ。

 まあ、でもそれ以来心配になって、四階にも温室を作ってもらったの。

 貴重な薬草などは全部そちらに移動させ、更に成育を進めていった結果、ついに! ついに『イブの花』が花を咲かせた!

 花が咲けば、薬の材料として使うことができる。

 三種の花……リリス、デュアナ、ソランの花の遺伝子が入っていると言われる『イブの花』。

 これを水で混ぜ合わせ、薬に錬成すればできるかもしれない。

 未だかつて誰も誰も正しいレシピを発見できていない『万能治療薬』が!

 そりゃ、今のわたしは『原始星ステラ』がある。

 お父さんの右腕を取り戻すことはできたわ。

 でも、それと錬金薬師としての高みを目指すのは別な話!

 わたしは錬金薬師ティナリスとして、人間大陸に名を轟かせたいのよ。

 アリシスさんの孫としても、錬金薬師としても、それがわたしの今の目標!

 それがお祖母ちゃんへの……恩返しになるはず!


「でもティナ、もうそれっぽい薬の開発は成功したんでしょ?」

「『上級治療薬プラス5』ね。あれは作り方が特殊なのよ」

「聖魔法、だっけ」

「そう!」


『上級治療薬プラス5』は、錬成する際の注ぐ魔力に聖魔法を使用したの。

 聖魔法はそもそも使える人間が少ない属性の魔法。

 もっと言うと、今の『原始魔力エアー』が澱んだ人間大陸では魔法そのものが使いづらい。

 それに、錬金薬師は魔法を使える人が、いないので……そう、つまり……『上級治療薬プラス5』もわたしにしか作れないレシピなのだ。

『効果プラス5』のおかげで、どうやらその性能は『万能治療薬』級になるらしいけれど、普通の錬金薬師が作れない薬なのではレシピが確立したとは言えない。

 錬金薬師の世界としては『その人個人にしか作れない』ものではなく『誰でも作れるレシピ』の方が重要。

 そりゃ、世界でその錬金薬師一人にしか作れないオリジナルレシピがあるっていうのは、強みよ?

 そういうオリジナルレシピ持ちの錬金薬師は、国家錬金薬師ばかりだもの。

 むしろ一つでもオリジナルレシピがあれば国家錬金薬師になれる、と言われているほど。

 アリシスさんの『腐卵石病特効薬』とか、リコさんの『原始魔力銃エアー・ガン』高密度なんちゃらとか。

 でもねぇ……。


「わたしは別にどこかの国の国民ってわけでもないから、国家錬金薬師にはなれないし、国家錬金薬師とか興味もないし……材料を集めるのが大変なオリジナルレシピを大量発注されてもぶっちゃけ困るし」

「魔力回復薬は?」

「あれは……作りすぎたらわたしの種族がバレそうだし……」

「そうなんだ?」


 悩ましいのよ!

 でも、レシピが確立されていない『万能治療薬』のレシピを確立させることができたなら!

 アリシスさんに負けない錬金薬師として有名になれる! はず!

 見ていてください、お祖母ちゃん!

 わたし、必ずや人間大陸に『()()()()ティナリス』として名を馳せてみせますよ!

 戦争さえ終われば『エデサ・クーラ』に狙われることもなくなるはずだし!

 というか、幻獣のみんなに護衛されてる今なら有名になって狙われてもレンゲくんが守ってくれ——。


「……………………」

「ん? ティナ?」


 カーーー。

 と、顔が熱くなる。

 や、やだなぁ、わたしってばなに考えてるの。

 最近調子に乗りすぎ?

 レンゲくんが守ってくれるのが当たり前のような言い方じゃない。

 頰を両手で包むととても熱い顔。

 は、恥ずかしい〜。


「どうしたの?」

「ひょえっ。な、なんでもないよ」

「でも顔が赤いよ? 具合が悪いなら……」

「ち、ちがうよ……」


 やばい。

 気をつけないと呂律が回らなくなりそう。

 そんなに心配そうに覗き込まれると、恥ずかしくてうまく話せないよう!

 ああぁ、ほら〜、そんな眉を下げて見つめられたら頭がゆでだこみたいになる〜!


「た、ただ、あの、レ、レンゲくんに守ってもらうのが当たり前みたいになってるなーって思っちゃって……」

「はあ?」

「ご、ごめん……」


 だ、だめだ。

 頭がポカポカする。

 変に緊張して、湯気が出そう。

 わたしってばなに言ってるんだろう。

 やだなぁ!


「どうして謝るの? ティナにとって僕が君を守る存在になってるなら嬉しいよ」

「っ」

「……僕は壊すことしかできないと思ってた。でも、ティナにとって僕は……そういう存在なんだね……」

「……あ、う……」


 目元だけだけど、とても嬉しそうに微笑まれる。

 あ、あわわわわ!

 うーあー! ダメ! マフラー様がいても直視できない!

 レンゲくんが今日もかっこいいよ〜!



「…………ねーぇ、ジリル、わらわたちなに見せられてるのかしらん」

「考えたら終わりよン、ミラージェ」


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