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転生したら絶滅寸前の希少種族でした。【WEB版】  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
第八章 〜十六歳のわたし、そして未来のわたし〜

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十六歳のわたし第1話



「とあ!」


 っと、ホットケーキをフライパンでひっくり返す。

 よし、なかなか上手く焼けたんではないでしょうか!


「ティナも来月には十七歳かぁ、早いものだね〜。はい、お皿。誕生日なにか欲しいものある?」

「ありがと、ナコナ。うーん、欲しいものね〜。別に今ないかな〜。温室ができてからは薬草系の生育も順調だから困ってないんだよね……。ちなみにロフォーラの方は大丈夫?」

「ああ、シィダとレネ? いやもうめちゃくちゃ面白いよ〜」

「そ、そう……」


 本日は定期的にロフォーラの野菜や果物を、ナコナが持ってきてくれる日。

 昨年ナコナはよりにもよってというか突然というか思いもよらぬというか、こっちとしては「なんで?」と疑問しか湧かない婚約をした。

 そりゃ、ナコナも結婚適齢期なので、婚約自体は喜ばしいことなのだけれど……。

 その相手が問題。

 なぜよりにもよってシィダさんなのか……。


「まあ、あんまり帰ってこないけどね。あいつも忙しいし」

「そうなんだ。……まあ、そうだよね……」


 思い返すと一年前、ナコナに突如結婚を申し込んだシィダさん。

 ナコナはそれに「自動販売魔法開発と婿入りならオーケー!」とこれまたとんでもない条件を取り付けた。

 自動販売魔法はシィダさんだけでなく、ギャガさん、レドさんも協力してくれて、霊脈から溢れる『原始魔力エアー』を利用する『魔法具』の開発に成功。

 ……まあ、こう言うのもなんだけど、モデルはもちろんわたしの前世の世界にあった自動販売機よね……。

 わたしが自販機のことを思い出しつつ、レドさんに提案して設計を考えてもらい、それを基にシィダさんが『原始魔力エアー』の引き方から刻み込む魔法陣や術式をあーだこーだと色々開発してくれたの。

 おかげでロフォーラとデイシュメールには、試験的にその『自動販売機魔法具』が設置してある。

 今のところ欲しいものを紙に書いた『注文書』と代金、または交換する野菜や果物などを箱の上に置いておく。

 その注文書とお金、または物資を受け取ったら相手方は物を送り返す……という感じ。

 でもまだ色々問題があるのよね。

 注文書に気づくのが遅くなると、いつまでも届かないとか、お金を先に送ってしまうとお金だけ持ち逃げされる可能性があるとか、転送できる量が箱の大きさに収まる分だけとか……。

 なので今のところ、ロフォーラとデイシュメールのみで運用されてるの。

 改善点は多い。

 前世の世界の自販機すごすぎる。

 なのでナコナは今もこうしてロフォーラで採れた野菜や果物を定期的に運んできてくれるし、シィダさんはロフォーラに“帰宅”するようになり、その都度レドさんと『自動販売魔法具』の改良を続けてくれているのだ。


「よし、次はっと……」

「あれ? まだなにか作るの?」

「ふふふふふふ」

「…………な、なに?」


 今日の朝食の準備は終わり!

 しかし、わたしはこれからどうしても作りたいもの……いえ、作らねばならないものがあるのよ!

 それはこれ!


「? な、なに? コレ? 肉の塊?」

「チャーシューよ!」

「ちゃーしゅーぅ?」


 説明しよう!

 焼豚チャーシューとは読んで字のごとく焼いた豚肉である。

 作り方は簡単。

 豚バラ肉を、にんにく(この世界ではジンジーヤという名前なんだけどね)、醤油、砂糖、お酒のタレに二時間ほど浸して味を染み込ませ、焼き色がつくまで焼く。

 ちなみに手順は逆でもいいわ。

 バラ肉を焼いて、そのあとタレの入ったお鍋で煮込む。

 その場合でも落し蓋などである程度蒸すと、香りも凝縮されるはずよ。

 そしてもう一つ。

 味付きゆで卵!

 こちらも作り方は簡単。

 表面が固まる程度の半熟ゆで卵を作っておき、殻を剥いたら醤油、砂糖、お酒で作ったタレに一晩漬け込むだけ!

 みりんがあると砂糖ほどあからさまな甘みではなく、上品なほんのりとした甘みが加わるのだけれど……みりんってお酒の一種なので作るのがなかなかに難しいのよね。

 まあ、いつか作れたらいいな、リストの一つ。

 ではなく、この二つといえば!


「実はパスタ以外に手頃な麺類を作れないか開発中なの!」

「はあ?」

「で、これはその試作品に加えられないかなーと思って作ってみたの!」

「はあ?」

「とりあえずこれだけでも食べられるから、味見がてら食べてみようかと思って」

「ふーん?」


 いや、まあ、自分でもホットケーキの横にチャーシューって……とは思うわよ?

 でもやっぱり食べたいじゃない?

 醤油が安定的に作れるようになったら……そりゃあ、ねえ?


「フフフフフフフ……」

「な、なんなのティナ、怖いんだけど」

「今から作るのが楽しみで……!」

「ふ、ふーん?」


 とにかく麺!

 今日は徹底的に麺を作るのに全てを賭ける!

 麺さえできればあとはお醤油と鶏ガラでスープを作って、このチャーシューと味付き卵を載せるの……!

 うふふふふ、うふふふふ!

 念願のラーメン!

 ここに来るまで長かった!

 主にダジズ豆加工が!

 お醤油が作れるともう他にも他にも作りたいものが山のように出てきて、脱線に次ぐ脱線!

 味噌も作りたいし、味噌が作れたらお味噌汁が作りたくなるのは必至!

 お豆腐!

 豆乳!

 豆腐ができたら豆腐ハンバーグ!

 おから!

 おからハンバーグ!

 ……あれ? ハンバーグ多いわね?

 豆乳クッキー!

 味噌付け! 味噌焼き! 味噌ダレ!

 ダジズ豆様、最高!

 そして満を持して、ついにきたわ!

 目指せ味噌ラーメン!


「……でも味噌おにぎりも……」

「は?」

「う、ううん、なんでもない」


 席について、ナコナと向かい合いながらいただきます!

 はあ、そういえばお米!

 デイシュメールは気候が暖かくて比較的乾燥してる方だから、お米の生育には向かないのよね。

 どちらかというとお米はロフォーラかな?

 でも、そもそも稲が見つからない。

 どこかにはあると信じたいんだけど……。


「あ、そういえばさ」

「うん?」

「モネが泊りに来たいって。今度連れてきていい? ティナに錬金術を教わりたいって言ってたよ」

「モネが?」


 きゅーん!

 胸キュンだよ〜!

 一年に一度会えるかどうかだけど、そっかー、そんなこと言ってるのか〜!

 んもぅ〜、仕方ないな〜!


「わたしは構わないけど、宿はいいの?」

「うん、まあ、最近泊りにくるのは亜人大陸からの軍人ばっかりだからね」

「……、……そっか……」


 いよいよなんだな、とフォークを持つ手が下がる。

『エデサ・クーラ』攻略戦だ。

 亜人大陸からも各種族が軍を派遣し、人間大陸の各国も騎士団を編成して連合軍を再結成する。

 それ自体は初めてではなく、十六年以上前の戦争でも『エデサ・クーラ』対『人間と亜人の連合軍』は幾度も衝突を繰り返していた。

 しかし今回は前回よりも厄介なことがある。

『意思持つ原始罰カグヤ』だ。

 人が増えればそれだけ『意思持つ原始罰カグヤ』に付け込まれる人も出やすい。

 レンゲくんたち幻獣族はそれをとても心配している。

 亜人たちは『聖女信仰』で『意思持つ原始罰カグヤ』に乗っ取られる可能性はあまりないと言われているけれど、問題は数が多い割にその辺がイマイチゆるい人間の騎士団たち。

 一年や二年では、やはり信仰心というのはなかなかに変えることができない。

 ただ、わたしはそれよりも心配なことがある。


「それはそうと、お父さん大丈夫かなぁ」

「この件が終わればリコさんに再プロポーズするって息巻いてたけど……父さんだしねぇ」


 去年、酔った勢いでリコさんにプロポーズまがいのことを言ったお父さん。

 リコさんはこの戦争が終わったあと、騎士団を退団すると発表した。

 年齢的に言うならまだ現役で働けそうだけれど、後進に任せて問題ないと判断したそうだ。

 前回デイシュメールに来た時は、ほんのり酔った顔で「マルコスのこともあるし……」と呟いていたのでもしかしてもしかするかもしれない!

 リコさんが真剣にお父さんとの未来を考えてくれていると知ったお父さんは、今度は酔っていない状態でリコさんに「今度はちゃんとプロポーズする!」と宣言した。

 が! しかし!

 お父さんである。

 恋愛方面に関してナコナより面倒くさい、あのお父さんだ。

 心配で心配でたまらないわ!


「ごちそうさま! さぁてと、やりますか!」

「お? 今日はまた気合い入ってるね〜。パスタ以外の麺だっけ?」

「うん!」


 食事を終えて、食器をナコナとともに洗い、食器棚に戻したあと腕まくりして小麦粉、塩、水を用意する。

 いくら引きこもり時代に料理はしていたとはいえ、手打ち麺は初めてだからまずはこれで試してみよう。

 麺類ってパスタみたいな作り方のイメージだけど、ラーメンの麺ってこれ以外になにか入れるのかしら?


「パスタじゃないからイリーブオイルは入れないの?」

「うん、とりあえずこれで試してみる。ダメなら卵とか、粉を変えてみたりするよ」

「へぇ〜。じゃあ味のイメージとかはもう固まってるんだ? 相変わらずすごいねぇ〜」

「いやぁ……」


 前世のラーメンの味が忘れられないのよ。

 国民食といっても過言ではないほど、定期的に食べたくなるものだからね!

 ……国民食といえば、お寿司も食べたいな〜。

 あとおでんかしら?

 うどんに蕎麦……蕎麦は確か蕎麦粉が必要なのよね。

 うーん、この世界に蕎麦粉なんてあるかなぁ?

 お米があればお寿司も夢じゃないのにな〜。

 いつか手に入れたいものだわ!


「てぃや!」

「こねるの代わろうか?」

「は、はあ、はあ……い、いいの?」

「う、うん」


 助かるわ!

 生地を作るのにこんなに力が必要なんて……。

 パスタの麺作りはいつもナコナやお父さんがやってたのよね。

 こんなに重労働だったんだ。

 二人ともすごいなぁ!


「このくらい?」

「うん」


 とりあえずはそのくらいかな。

 と、いうことで薄ーく伸ばして細〜く切っていく。

 イメージしてたのは縮れ麺なんだけど、そのまま切るとストレート麺になる。

 うーん、まずはこれで試してみよう。


「ナコナ、試食してもらっていいかな?」

「うんいいよ」

「よし! じゃあ作るね」


 というわけでスープ!

 鶏ガラスープに醤油を混ぜ、塩やお酒で味を整える。

 茹でた麺を湯切りし、お皿に入れたスープへ投入。

 味付きゆで卵と、チャーシューを載せれば完成!

 スープの味は悪くないけど、問題は麺よね。

 わたしも自分用に小さなお皿に少量取り分けて、と。


「ちょ、ちょっとティナ。試食はいいけど朝ご飯のあとにこの量はキツイんですけど」

「ご、ごめんごめん」


 作りすぎた?

 まあ、いいや。

 実食!


「……美味しい!」

「固い!」

「これなに? 不思議な味〜。ティナが作ってた黒い液体?」

「スープは悪くないけど麺が固すぎる! ストレート麺だからスープが絡まないし、コレジャナイ感しかない!」

「相変わらず理想高いな〜」


 そんなにすぐ上手くいくとは思ってなかったけど!

 やはり縮れ麺!

 どうやって作るのかしら?

 ええい! 作り直しよ!


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