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異次元図書館の司書  作者: ハル
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名無しの本

「何も書かれていない……?」


普通、本の表紙にはタイトルの代わりに名前が表記されている。例えば、地球の本なら【地球】と書かれているが、男が気がついた本の表紙には何も書かれていなかった。

少し考える。すると、男は【名無しの本】という単語が頭の中に浮かんだ。

つまり、新しくうまれた世界という事だ。


普段、歴史に影響をすることを感じられている司書官は暇を紛らわせるために、人の記憶を使い疑似体験を通しているが、【名無しの本】だと調査の方が優先され、【名有りの本】にすると司書官としての評価が上がる。


【名無し】から【名有り】にするのは、その世界が生き物が生息し、どんな文化であるかなどを記録し提出することで評議会の審議により、正式に認定されると晴れて【名有り】になる。


【名無し】と【名有り】の違いは、その本自体が持つ未来とは違う未来に成りかわるそんな時に編集し、正しい道に直すか否かである。【名無し】の場合、崩壊しないはずの未来が崩壊する、そんな事は珍しくはない。


ただし、司書官には未来が分からずその出来事が正しい道か否かのみしか分からない。


司書官の仕事は、正しい未来を維持する事、そして新しい世界を調査する事だ。

男は早速、調査を行うつもりだ。

だが、他にも異次元図書館が存在し司書官もいる。調査書の提出は早い者勝ち。つまりは司書官同士が会うと必ずと言っていいほど、戦闘になる。

実際、世界に入ると言っても、転生という形なので、調査対象の世界で死んでも男自体の存在が消滅するわけではなく、転生時に使用する肉体が消滅するだけで死ねば自動的に自分の管理する図書館へ転送される。

感覚で言えば、対戦ゲームで死んでもいいや、と思うのと同じである。


「さて、行きますか」


男ははじめての調査に胸を躍らせた。


本を開くと、光に包まれた。その後、先程までいた男の姿がなく、ただ何も書かれていない本が落ちているだけだった。


◆◇◆◇◆◇


「ぅう〜ん」


薄暗い部屋で眼を覚ました。周りを見渡すと、ベットと本が数冊積み上がっているだけで、かなり質素な部屋だった。牢屋で、自分は囚人が奴隷に転生したのかと焦ったが牢屋にしては、鉄格子もなく監視されているという感じがなかった。石で作られた扉があるが取っ手の部分がなく、どうやら外側から開ける様式のようだ。


どうやら、軟禁されているようだ。だが、人の気配は感じられない。ただ気配を消している可能性があるが、そこまでして徳があるのかと思うとやはり、部屋の近くには人がいないのだろう。


次に、自分の服装をチェックする。すると、見慣れたズボンではなく、薄汚れたワンピースだった。


「え……」

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