草の陰より永遠に
伝えたい言葉は届かない。
感謝も、謝罪も、愛してるも。
苦しいな、受け取ることしかできないなんて。
あの人もあの人も、時間の止まった私の身体に話しかけてくれる。
こんなことになってから始めて気がついた。
自分が恵まれていたのだと思えば思うほどに、もっとあの人達と一緒にいたかったと感じて、もう止まっているはずの胸がぎゅっと苦しくなった。
先に逝ってごめん。
ありがとう愛をくれて。
届くことのない言葉は私より一足早く空に登る。
愛してる。
会えなくても永遠に。
言葉は空へ消えても思いはそこに残っているような気がした。
否、そうで思わなくては死んでも死に切れなかったというだけか。
さようなら愛しい人、たとえこの心が空へ消えようともあなたのことを愛してる。
生まれ変わったら必ずあなたの下へいく。
だから少しだけ待っていて。
時間が経つのは早いもので、あなたの黒い髪は霜を乗せ、透き通るような白い肌はその白さを増し死人のよう、手は枯れ木のように細くなり、かつては地を蹴って歩いた足も今や車椅子なしでは歩けぬようになってしまっていた。
それでも私にはあなたがすぐにわかる。
あなたが最後まで幸せでありますように…。
草の陰より私はあなたを見守ります。