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MY song

オリオン。

作者: caem
掲載日:2017/12/25

勢いで書いてしまいました。

ド短編です。




「はぁぁぁ…………」


 吐き出されたため息は白く濁り、やがて、僅かばかりに私の躰を暖める。

 その一時だけで、幸せを感じてしまい、何気無く夜空を見上げるのだ。


 微かに輝く星が煌めき、あまり天体に詳しくない私でも()れは見てとれた。


 一番星。

 「宵の明星」として世間一般には知られている。

 視力が悪い私は、瞳をかっとこれでもかと謂わんばかりに見開き、その尊き輝きを見つめていた。


 全てを失ってしまった私は。


 家はもう、無い。

 理由は言いたくない。

 見棄てられたのだと思う。


 そう言えば、ここ数日。

 何も口にしていない。

 しかし、欲しようとも、辺りには食べられるようなものは何もなく。


 紛らわすようにして、じっと佇み、夜空を眺めているのだ。


 ただ静けさだけが心地好く、最早カラカラになった躰に澄み通るほどの冷気が押し寄せてきた。


 涙は自然と頬を伝い、落ちた矢先から凍りついてゆく。


 ゆっくりと、私は腰を下ろす。


 もう、疲れたなあ……。


 ぼんやりと、やさしかった日々が思い浮かぶ。


 おとうさん。

 いつも、ありがとう。

 何をしても叱ることなく、何度も何度もやさしく撫でてくれたね。


 おかあさん。

 いつも、ありがとう。

 悪いことをしたら、ちゃあんと叱ってくれたね。

 でも、ご飯はすごく温かくて美味しかったですよ。


 おねえちゃん。

 いつも、ありがとう。

 ずっと話し掛けてくれたよね。


 おにいちゃん。

 いつも、ありがとう。

 何処に行っても、我が儘な私を優しくリードしてくれたよね。


 おじいちゃん。

 いつも、ありがとう。

 膝の上、すごく温かくて。

 でも、もういないんですよね。

 また、会いたいなあ。





 ぼんやりと夜空を眺めながら、聞いた事のある星座が見えた。

 確か、私が産まれた時に。

 いや、私に名付けられた星座だ。


 規則正しく並べられたななつ星。

 綺麗だ、ね…………。



 いつか、歌ってくれた旋律(メロディー)が鳴り響き。

 私はそうっと眼を閉じる。


 静かな夜。

 聖なる夜。

 星は。

 光り。



 星を守る犬ではない。

 私は星を見るだけの犬だ。



 なれたら良いなあ。

 あの星に。

かつての飼い犬に。

祈りをこめて。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 感想失礼します。 切ないけれど、優しくて素敵な雰囲気ですね。感動しました。 星を眺めている時の、温かな静けさを思い出します(*°▽°) [一言] 動物たちが出てくる、心に訴えかけるような…
[良い点] 短いけど胸が締め付けられます……! なんていうか、考えさせられますね。短いからこそ、明記されていない部分の考察が捗る作品であります。 個人的にこういう話、大好きです! [気になる点] 本当…
[良い点] 拝読しました。 「私」の正体が解るまでは、普通に読み進めていっていたのですが、正体が解ってからは涙が零れました。 オリオン座は冬の星座。 私は星を見上げるのが好きで、よくオリオン座を探…
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