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オチのある短編集

同窓生

 日向でまどろんでいると同窓生に会った。

 彼は隣に座ると話しはじめた。

「同窓会、来なかったね」

 わたしは眠たくて無視した。

 それで諦めてくれれば良かったんだけど。

「ねえ、どうして来なかったの?」

 彼がしつこくするので、仕方なしに答える。

「行きたくなかったのよ。行く意味もないし」

「君はそういうタイプだよな」

「そんなことないわ。だいぶ前に一度だけ行ったのよ。でも、つまらなかったら、それっきり」

「君らしい」

「ようがないなら、あっちいってよ。眠たいんだから」

「いや、ようはあるんだよ。同窓会でたいへんなことがわかったんだ」

 わたしは眉をひそめた。

「たいへんなことって?」

「Aが死んだんだ」

「Aさんが?」

「ああ」

「それで?」

「それだけじゃない! Bも死んだんだ」

「ふうん」

「Cも生きちゃいない」

「へえ」

「なんでそんなに無関心でいられるんだ。同窓会に参加者がぜんぜんいなかった。調べてみるとみんな死んでるときた。俺は君も死んだかと思って」

「おあいにくさま」

「いや、生きていてくれて嬉しいよ。しかしこれは呪いなんじゃないか。こんなに同窓生が死んでるなんておかしいじゃないか」

「ぜんぜんおかしいことなんかないわよ」

「どうして? なにか知ってるの?」

「わたしが殺したのよ」

「なんだって!」

「冗談よ。あなたすっかりぼけちゃったのね」

「ぼけちゃいないよ!」

 わたしは目を閉じて同窓生のことを思い浮かべた。

 たしかに大勢死んでしまった。

「同窓生がみんな死んだって驚かないわ」

「なんでそんなこと言うのさ!」

「だって、わたしたち、百歳なのよ?」

 そう言って振り返ると同窓生はいなかった。

 ああ、彼も一昨年、亡くなったんだった。

 迎えに来てくれたのかしら。

 暖かい陽の光。

 子どもたちの笑い声。

 もう少しだけ待っていてね――あなた。

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