ツライもの。(重)
遺伝子に刻み込まれているのでしょうか?
絶えられないほど恐怖を感じるもの。
丸い模様。
食堂の給水器の傍のキレイにトレイに納まったギュウギュウ詰めのコップ。電話器のプツプツ並んだ穴。回転寿司の平に並んだイクラ。緩衝材のぶつぶつ。コンピューターの基盤の穴、穴、穴、穴。赤と緑のダーツ版。鳥除けの・・・ナニ?名前恐くて確認もできない。
巨大なもの。
星座。実物は恐ろしくて直視できない。小学校までは大丈夫だったのに、大好きだったのに・・・。日本地図。世界地図。・・・の局地的拡大版。天気予報の、やはり日本地図。デフォルメされていても恐くて目をつぶっちゃう。もっと拡大されていてクッキリした四国とか、能登半島とか・・・。目が回って気が遠くなりそう。喉がカラカラになって床や足元を見てやり過ごす。ぎゅっと握った掌がジメッとなっている。そして宇宙が恐い。果てしない大きさが耐えられない。アニメの背景に描かれているCGでも・・・実はダメ。特に・・・、
小学校の理科の教科書の、星座のページ。
普通の町が、家並みが、小さく小さく枠の下に書かれていて、対照的な大きさで、地平線から半分出ているオリオン座。せめて白鳥座のように真上にあったら、真上なら避けられるのに。さそり座やオリオン座は気付きやすくて目に入りやすい。それがリアルに説明されているから、忘れようとしても、現実の、実際の運転中に目に入りやすい。・・・だから夜のドライブはキライ。
規則正しいもの。
クモの複眼の電子顕微鏡写真。当然、電子顕微鏡など覗けない。恐い。勇気がない。また、小学校の時のハナシ。顕微鏡に置かれたビレパラートの上の玉ねぎスライス。あれから植物にしばらく触れなくなった。今でも花びらはダメ。ぞわっ。もっとダメなものは文字にもできない。漢字は表現するものの形を上手に表しすぎ。
機械編みのニット。スエットスーツの細かい編み目。絞り染めの模様。松かさのような病気の金魚。パイナップルの外皮。
でも、やっぱり、・・・一番辛いのは、元々好きなものがダメになること。
ピアノの音が好き。今も好き。ただ、中途半端に上手い奏者のピアノが辛い・・・。
自分の為にも、聞く人の為にも弾いていない。そしてそれに気付いてもいない。
そういうピアノから感じるものは、メトロノームと楽譜のルールだけ。
虚しい行為が一番辛い。




