吾輩はポチである。
吾輩はポチである。
ご主人様と出会ってもう10年になる。
出会いはいつも雨の日。ご主人様が私を抱き締めて今の家に迎えいれれてくれた。
吾輩のためにお母さんとお父さんを説得してくれたのだ。
散歩につれていってくれなくなった時期もあった。
ご主人様に友達が出来たのだ。
でも、わがはいはお父さんと散歩に行く事ができた。
けんかをしたこともあった。
ご主人様が私に意地悪をしたのだ。
でも、ご主人様は仲直りをすることを覚えた。
ご主人様は、色々な遊びを覚えた。
ご主人様は勉強することを覚えた。
吾輩はそれを見る事ができた。それが幸せだった。
わがはいは死んだこともあった。
ご主人様はいのちの尊さを学ぶ事ができた。
今は冷たい土の中で、あるいは川の中で、ご主人様を見守っている。
ご主人様が大きくなった今でも見守っている。
ご主人様がその選択を間違えそうになったとき、
ご主人様に悪いことが降りかかったとき、
生きていたときと同じで、なにもしないけれど、ただそこに座っていた。
ご主人様がパパとママになったとき、吾輩はまた、生まれ変わろうと思っている。
だからご主人様、吾輩の名前をパスワードにするのはやめてください。
吾輩の事は忘れてください。
ご主人様が吾輩の事を忘れて前に進んだとき、吾輩はまた会いに行きます。
今度は、ご主人様のこどもが
私の新しいご主人様になるのです。