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吾輩はポチである。

作者: 林集一


吾輩はポチである。

 

 ご主人様と出会ってもう10年になる。

 

 出会いはいつも雨の日。ご主人様が私を抱き締めて今の家に迎えいれれてくれた。

 

 吾輩のためにお母さんとお父さんを説得してくれたのだ。


 

 散歩につれていってくれなくなった時期もあった。

 

 ご主人様に友達が出来たのだ。

 

 でも、わがはいはお父さんと散歩に行く事ができた。


 

 けんかをしたこともあった。

 

 ご主人様が私に意地悪をしたのだ。

 

 でも、ご主人様は仲直りをすることを覚えた。


 

 ご主人様は、色々な遊びを覚えた。

 


 ご主人様は勉強することを覚えた。

 


 吾輩はそれを見る事ができた。それが幸せだった。

 



 わがはいは死んだこともあった。

 

 ご主人様はいのちの尊さを学ぶ事ができた。


 

 今は冷たい土の中で、あるいは川の中で、ご主人様を見守っている。

 


 ご主人様が大きくなった今でも見守っている。

 


 ご主人様がその選択を間違えそうになったとき、

 


 ご主人様に悪いことが降りかかったとき、

 


 生きていたときと同じで、なにもしないけれど、ただそこに座っていた。

 

ご主人様がパパとママになったとき、吾輩はまた、生まれ変わろうと思っている。


 

 だからご主人様、吾輩の名前をパスワードにするのはやめてください。

 


 吾輩の事は忘れてください。


 

 ご主人様が吾輩の事を忘れて前に進んだとき、吾輩はまた会いに行きます。

 


 今度は、ご主人様のこどもが

 


 私の新しいご主人様になるのです。 



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― 新着の感想 ―
[良い点] 私が飼っていた犬も、こんなことを思っているのでしょうかね? [一言] ところで、パスワードの件は、どうしてわかったのでしょうか? 誰にもばれないと確信していたのに
[良い点] 愛犬の想い、良いですね。 犬とは特に恩義を感じる生き物らしいですから尚更。
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