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その三
「今日休みだし、藍さんの服とか、買いに行きませんか?」
「そ、そんな、住まわせてもらってる上に服とかもなんて…」
「いや、というか買いに行きますよ」
「き、強制ですか…」
藍は俺のとこにほとんど何も持たずに来たせいか、いろいろな物がなかった。パジャマ、普段着、布団、生活用品など、全くなかった。仕方がないのでパジャマには俺の服を、普段着があの時着ていた物しか無いと言うので、出かける時に着替えるようにこまめに洗濯するようにした。布団はお客用のが一つあったので、干して使っている。しかし、この間、間違って寝ぼけた俺が藍のパジャマ代わりだった服を洗ってしまい、寝る前になって
「英治さん、パジャマがどこにも無いんですが…」
「あ、間違って洗濯…!?」
振り返った先に下着姿の藍がいた時は、流石に注意した。
「藍さん、行きますよー」
「はーい!」
二人揃って外にいくのは、今日が初めてで、ちょっとだけ、ぎこちなく、並んで歩き始めた。