その二
あれから数日が経とうとしていた。女の子の名前は中田 藍、かつて一緒によく遊んでいたらしい。その頃の約束を信じて、俺のとこまで来たのが、今回の件らしい。で、藍はというと…
「英治さん、起きてください、朝ごはんできましたよ?」
俺は藍に軽く揺すられた。だが、眠かった俺は、二度寝しようと深く布団をかぶった。
「もう…英治さん!」
藍は怒って布団を床に落とした。そのあとで俺の脇をくすぐりはじめた。
「わ、ちょ、藍さん、やめて…!」
「起きますか?起きませんか?」
藍は楽しそうにくすぐりを続けている。
「起きます、起きますからやめてください…!」
笑い疲れてぐったりしたまま、俺はイスに腰掛けた。
「今日の朝ごはんは、目玉焼きとお魚とお味噌汁とご飯です!」
「…、あの、藍さん、どうしたらこんな実験成果みたいな状態になるんですか?」
藍は料理を今までやっていなかったせいか、とてつもない物を作り出す。
「だ、大丈夫ですよ、味は確認しましたし…」
藍はしょんぼりしながら、フライパンなどを洗い始めた。
「いただきます…ん?うん、見た目はともかく…」
藍の料理は見た目こそ悪いものの、味は至って問題はなかった。
「ちゃんと上手くなりますから、しばらくはその見た目で…」
「作ってもらえるだけでも、ありがたいですよ、俺だったら適当に済ませるか、食べないですから…」
俺は藍が作った朝ごはんを残さず食べていった。