第4話 「壁将のカイル」
投稿後に書き足していきます。2016年6月21日追記。
瞼が重く開かない。
体は金縛りにあったかのように身動き一つできず、指先が何かに触れるたびに激痛が体中を駆け巡る。
痛みを感じることで生きているという実感を得ると同時、苦痛に苦しむくらいならばいっその事死んでしまった方が楽なのではないかとすら思ってしまう。
ユイナは無事なのかを確かめたい。その一心で瞼を開け、苦痛に耐えつつ上半身を起こす。
今まで眠っていたのはベッドだったようだ。肌触りも良く綿のようで弾力があり沈み込む感覚は眠気を誘う。
「おわっ!?」
隣に視線を移せば下着姿でユイナも眠っていた。
慌てて目を逸らし、あたふたしていると自分も上半身裸で下半身は……。
履いていた。
そっと掛布団をユイナに被せ、周囲を見渡す。
窓のない小窓から月明かりが差し込み部屋の全体像が薄らと浮き彫りになる。
木造の建物なのだろう。よく磨かれたフローリングは月明かりを浴びて美しくも妖艶に輝いている。
床には綺麗に並べられた装備一式が纏められていることから、ここの主は几帳面な性格なのかな。
時間を確認すれば、時刻は午後8時を過ぎたところだった。
窓の外には樹木が生い茂り、室内に流れ込む風は新鮮で清浄な空気を運ぶ。
「あぅぅぅ。ここはどこ?」
ユイナはつらそうにこぼした。
誰かに問いかけたわけではなく、自然に出た言葉だったのかもしれない。
痛みのせいかまだ上体を起こすことはなく布団を肩までかけたままじっとしている。いやむしろこのまま寝ていてほしいと切に思う。
「俺もわからないけど、どうやら誰かに助けてもらったみたいだ。目が覚めたらここにいたってこと以上はここの家主が戻ってきたら聞いてみようと思っている」
ベッドに腰掛けたまま、現状を説明した。
そこで初めてユイナは俺の方を向いた。
瞳に映るのは上半身裸の俺。
何か勘違いしているんじゃないかと、思わせる不信感に眉を引くつかせる少女。
布団の中でもぞもぞと動いたかと思うとみるみる顔が赤くなっていく。
「いやいや、俺は何もしてないって!! 目が覚めたらこんなだったんだって!! 指一本触れてないから」
「なんで私も服を着てないって知ってるんで・す・か?」
墓穴を掘ったことに気が付くが、後の祭り。その場でひたすら土下座をする。
国王陛下のおなーりーと言わんばかりに必死に謝り続ける。
傍から見れば情けない光景に見えるが、誠意を
ガチャッ
ドアが唐突に開かれる。
「何をしているんだ?」
思わず、息を呑む。
ここが異世界であるということを分かったつもりになっていた。
(やっぱり、異世界なんだなぁ)
灰色の肌に白銀の髪、額には三つの黒角を覗かせる壮年の男が姿を見せた。
土下座から見上げるその様はまさに金剛力士のごとく、仁王立ちする迫力には畏怖を覚える。
地面に縫い付けられたかのように動けなくなった。
男はただ、不自然に床に跪いているのを不思議に思っているだけなのかもしれないが、表情は怒りの形相にしか見えない。
ユイナも顔を真っ赤にしていたことなぞ、見て取れないほど緊張の表情をしている。
「そう、怯えることはない。少しばかり手荒だったことは認めるが、これからのことを考えればあれでも生温いことは理解せよ。ユイナも起きてこられよ。まずは飯にでもしよう。話はそれからでも遅くはあるまい?」
(この男は何を言っている!?)
俺たちが戦ったのはゴブリンだったはず。まして勝つことはおろか、全く手も足も出ないまま敗北を期した。
この男がゴブリンをけしかけた本人だというのだろうか。
相対する男が放つ覇気のようなものには覚えがある。それは戦闘中に感じたのは間違いない。
現状では敵意もなければ、ユイナの名前を知っていたことからもエリヲールの関係者か。
理由は何かは聞かなければわからないが、殺そうと思えばいつでも殺せるのにそれをしないということは最初からそのつもりはなかったのだろう。
「言わねばわからぬか? お前たちと相見えたであろうゴブリンは我だ。と言っても分身体に過ぎぬがな。我の名はカイル。鉄壁の牙城を構え攻め入る者を殲滅することに躍起になっておればいつの間にやら『壁将』などと呼ばれるようになっていたな」
邪悪な笑みを浮かべながら、大げさに手招きをする。
「俺は天間天人。アマトと呼んでくれ。こっちは……ってもう知っていたな」
立ち上がって、自己紹介をする。
緊迫した空気は若干緩んだように感じる。
「な、何か着るものは……」
頬を赤らめたユイナは、呟いた。
「そういえば、お前たちの装備を脱がせたのだった。ひとまずこれを着ておけ」
そう言って二着魔法使いの着るようなローブを渡された。
(こいつがユイナを剥いたのか。ぐぬぬ……。うらやま……けしからん)
相変わらず顔を赤くしている少女は早く寄越せと目で訴えかけてくるが、まず先に一着はその場で羽織る。
流石にずっと裸なのも落ち着かない。
袖を通し、表面ははだけぬように紐で縛る。
もう一着はユイナに渡すと、そのまま布団へ潜りもごもごし、身なりを整え布団から這い出る。
二人はおそろいの漆黒のローブだ。
サイズは持ち主に合わせて繕われたせいか若干大きい。
ユイナに至ってはぶかぶかで、それはそれで可愛らしさを強調しているように見える。
テーブルの上には、粥とサラダ、鳥の丸焼き、スープと並ぶ。
「まずは、食べて英気を養うがよい」
「そうさせてらう。いただきます」
「いただきます」
よく考えてみるとこの世界に召喚されてから、まともに食べた初めての料理と呼べる食事だ。
調味料も使われているのだろう。しっかりとメリハリのある味付けがなされている。
空腹の為なのか、料理の腕が良いのか非常に美味である。
「おいしいですね。この粥にもひと手間加えているのがわかります、バジル……ハーブ系だとおおうんだけどなぁ」
「バジルというものが何なのかはわからんが、薬草を煎じて入れている。滋養強壮の効果があるからな」
どうやらこの男、なかなか料理の腕もいいようで、ユイナも興味津津といった具合だ。
心をつかむには『胃袋をつかんむこと』を、やってのけたのだ。
如何せん、俺は生まれてこの方料理なんてしたこともない。
一人暮らしを始めてから専らインスタント、即席麺、レトルトの類で済ませていたのがここにきて悔やまれる。こんなことならしっかり自炊していればよかった。
俄然料理に興味が出てきたところだったが、ひとまず目の前の料理を食べ終えることにした。
食事も終わりテーブルには、人数分の紅茶が並べられた。
料理の腕もなかなかだが、紅茶も卓上にあるにもかかわらず窓から流れ込むそよ風に乗って香りが鼻孔に届く。それだけで実に優雅な食後のひと時を演出するには事欠かない。
「何から話したものか……。まずは我のことから話そうか。地上から村にたどり着くためには必ずこの森を通らねばならない。故に我は単身森の警戒と監視を行っている。森の中にはモンスターの類が徘徊しているがゆえに侵入者も、それを突破して村に向かう輩も滅多におらぬが零ではないからな。誰かが門番を引き受けねばならなかった。そこでもともと国を守る騎士団の将軍たる我が適任と王よりこの任をまかされたのだ」
右手をそっと空を切ると、そこには二人がかりでも全く歯が立たなかったあのゴブリンが姿を現す。
「これは、我の魂の一部をコアにし原子を結合させて作り出した分身体であって昔の姿でもある」
「カイルはゴブリンなのか?」
「確かにゴブリンとして、この世界に生まれたのは事実だが、今は全く別の存在に昇華を果たした。もともとゴブリンという種族には知恵と呼ばれるものはほとんど備えてはいない。本能と欲求が行動理念と言ってもいいだろう。我はそんな種族の集団にいながらにして、疎外感を覚えた。画一化した社会には疎外感など持っているものはおらず、それを持つ我はイレギュラーだったのだ。そして、我は専ら単独行動をとるようになっていた。気が付けば、生まれた集団は滅び我だけが残された」
左手の指を鳴らすと、反対側に立つゴブリンより一回り大きく、浮き彫りになる筋肉は鋼のように強靭なゴブリンが姿を現した。
「生まれながらに、探求心が高かった我は力を求め世界を放浪したが所詮は弱小種族。知識、体力、武力、魔力をひたすら磨いたところで虫けらがドラゴンに勝てぬように些細なものでしかなった。子鬼将から伝説の子鬼に至ったがある人間との死闘で命を絶つことになった。その時、初めて限界を超えるなら種族間を超えるしかないという結論に至った。それから魂は天に召されることはなく身体を上位の個体へと作り変えた。それが、不武鬼となった我の顛末だ」
「分身だったとしたら、本体の力はあんなものじゃないってことだろ。そんなカイルを倒すほどの人間がこの世界にはいるってのか。それは人間のアドバンテージは他種族の能力を凌駕すると考えていいのか、それとも一部の強者により得られる一過性のものにすぎないのか……」
「人間という種族はすべてが優位というわけではあるまい。それは今のお前ならわかるのではないか? 我は奴に出会っていなければ、今もどこかでくすぶっているか……。否、朽ち果てていたであろうな。今になって思い返してみるがあれほどの人間はそうはいまい。」
過去を振り返っているのだろか、どこか懐かしくも儚さのようなものが見て取れる。
カイルを次代の高みへと導くこととなった人間に、興味が湧く。
今のままでは間違いなく、太刀打ちできないだろう。
それに、モンスターと戦闘をした。結果がたまたまカイルだったというのであればその関係者だったとして剣をまみえる事態になるのだろうか。
推測しても意味がないと思いつつもついつい考えてしまう。
カイルの分身と戦った時と同様に殺されかけることになるのだが、それもこの時点では知る由もなかった。
俺とユイナの装備をおもむろに指さすカイル。
真剣な表情になり室温が一気に下がったような気がした。
「お前たちと手合せして、感じたことを言おう。あの装備の本質が何もわかっていなかったようだな。無論、それを知ったからと言って何かが変わっていたとも思えんがな」
「仕掛けとだけ言われた……。『無理はしないように』とも」
ジルに言われたことはカイルとの戦闘のことを指して言ったのだとこの時に思い知った。
それもそのはず。無理をしなければならない状況など、五万とあるだろうがそれを敢えて口にする以上すぐにその場面に立ち会うとということ。
まさに、先が見えていないと的確に当てて見せることなどできはしない。
「装備というものは使用者の能力に応じて適したものへと、変えていくのが定説だと言われている。どれだけ、強靭な肉体があろうとも装備が貧弱では耐えられず瓦解してしまう。剣であれば素振りをするだけで摩擦で消えてなくなる何てことも珍しくはない。逆に能力に乏しいものが優れた装備を纏ったところで、成長を阻害すればいいほうだ。各上に勝てると勘違いをし、無残に死ぬなんてことにでもなれば取り返しはつかないからな。しかし、お前たちの装備に施された仕掛けというのはそのどちらにも該当しない」
「優れても、劣悪でもないってことか。いや、根本的に違う……」
「味わったのだろ? あの感覚を。あれは、主の精気と血を吸って成長する生きた装備だ。目には見えない細かい糸が主と装備を繋げエネルギーと血液を循環させる。一体となった状態であれば、まるで素肌のように研ぎ澄まされた感覚に繊細な動きが実現できると言われている。そして、主以外を認めない。盗賊が生きた装備に滅ぼされたという伝承もあるという」
「生きた装備はこの世界では珍しいものではないのか?」
俺は疑問を口にしてみる。
「我も実際に見るのは初めてだ。無機物に命を吹き込むなど常人のそれではないってことだ。古より伝わったような年代ものであれば時間経過により命が芽吹くことがあるとも謂われるが、そのようなものがやすやすと手に入ることなどあるまい。我も実際に作られた経緯まで把握はしておらぬが貴重なものなのは確かだ」
「いくら貴重だからと言って危うく殺されかけたんだぞ。そんな危険な装備を今後も纏うなんて、冗談じゃない」
「本心ではそうは思っておるまい。ユイナの考えていそうなことを代弁したといったところか。臆病を演じることはない、貪欲であれとはよく言ったものだ。これから先生き抜くためには、命への執着を意識することは避けて通れまい」
こちらの心の内を見透かすように、視線に射抜かれた。
先生に説教でもされている気分になる。実際に師匠がいれば、こんな風に諭されていたのだろうか。
「答えてやろう、装備はお前たちを主と認め、主を守るという意思が働き一体化を促進させた。どのみち主なき装備など存在意義などないからな。結果的にお前たちは装備と急速に一体化を果たした。要するに馴染んだということだ。そして、そのままでは失われた体力により数日は眠り続けることになっていただろう。それでは短縮された時間が無駄になってしまう。したがって装備を外してそこに並べておいたわけだ」
まるで、呪われた装備のような話だと思いはしたが自分の能力の成長に合わせて、その都度装備を新調しなければならない手間を考えれば、合理的であり金銭面でも節約できそうだ。
今現状で常に最強装備であり続けるというのであれば、常に鍛えている状態を持続しているともいえる。自分自身の鍛錬により強化できるのであれば、鍛冶といった専門知識も必要としない。
「どこまで、見据えていたのか……。結局のところ、全てジル達の掌の上で踊らされていたって事だろ。他人の思い通りに動かされていたことには、正直納得できないがモンスターの群れの中で起こりえたと思えば諦めもつく」
「でも、私の装備は母から受け取ったもので、お話を聞いた限りではマスターは母になるのではないですか?」
ユイナが言うことは尤もだ。装備に認められるかどうか以前に、持ち主がすでにいるのであれば条件にはそぐわないのではないだろうか。
「物には魂が宿る……。では答えになっていないか!? 我も個々の装備の性質まで熟知しているわけではないが、実の娘の為に繕った贈り物が命を奪う類であるはずがないと思わぬか。お前の装備もジルの物を仕立て直したものと聞いている。言わずもがな」
日本には『付喪神』『八百万の神』という言葉がある。全ての物には魂が宿るとか、100年使い続ければ命が芽吹くだとかどういったもので、一種の勿体ないおばけである。
何も日本に限った話ではなく、世界各地で伝承は多く伝わっており、それほど突拍子のない話には聞こえなかった。
「じゃあ、私の杖『レクフォール』もアマトの刀『ガルファール』も同様に生きた武器ってことになるのですか?」
ユイナはそのまま、立てかけられた相棒へと手を伸ばす。
そっと触れると淡く優しい光が立ち昇る。
受け取った時は何の変哲もない、一つの武器に過ぎなかった。
しかし、今ではまるで生まれたばかりの子供のように、はしゃいでいるかのようにさえ見える《…》。
「その通りだ。お前たちと巡り合った因果によってこの世界に生命を得た武器に該当する《……》。武器と防具どちらも魂を持つということにおいては同じだが、魂の有り様は若干異なる。防具に関してはいくつに分かれていたとしても全てが一つの魂から分配される。いわば集合体というわけだ。しかし武器は魂の分配は起こりえない。一対で使用される双剣を例に挙げれば、魂は一つではなく二つあることになる。何故かと問われれば我にはわからぬが、そういうものらしい」
確かに、魂がこの世に生まれること自体が奇跡に等しいというのに、防具の各パーツごとに魂が芽吹くとなるとその数は計り知れない。
ともなれば、双剣など一対で使用される武器ならばその希少性は類を見ないと言えるのではないか。
理由がわからない以上、もっと違った要因によるものであればその限りでもないが……。
「生きているってことは、会話をしたりすることも出来たりするって事か!?」
武器と会話をしたりする小説を読んだことがあった。なんだか楽しそうじゃないか。
「現状では難しいだろうな。生まれたばかりだということは、要は赤ん坊のようなものだ。言葉もろくに理解できていないだろう。次に会話に必要な声帯がないことがあげられる。ただしこれは有機生命体に限った話に過ぎない。ゴーレムの類でも知性があり会話ができたのだから、恐らく何らかの方法があるはずだ。あくまで現時点ではということだ。可能性は低くはないだろう」
「早くしゃべってみたいね。そう思うとなんだか今から楽しみ!! 今日から寝る前にお話を読んで聞かせてあげようかな」
まるで生まれたばかりの子供に言葉を教えるようなことを言うユイナ。
しかし、俺は覚えている……。
思いっきりフルスイングして、モンスターの頭を粉砕したことを。
言ったら、きっと殴られるから言わないけどね。
なかなかどうして、胆が据わっているというか、やるときは殺る《や》というか。
怒らせるとたぶん怖いタイプなんだよなぁ。
普段は猫被ってるんだよ、この娘。
「何?」
「いや……何も言ってないけど」
口に出てたっけ。マジで……。
真夜中と言っても差し支えのない時間となっていた。ずいぶん親切に教えてくれていたんだなと思いつつもよく吟味している自分がいた。
今後聞いた話は生きてくる。それを無駄にしない為にも頭の中のノートに内容を書き留めておくイメージ。これは大切なことだと思う。
計算するときに算盤をイメージしているようなもので、これがなかなか後々になって役に立つんだよね。
一目眠りしたというのに、眠気がじわじわ瞼へ侵攻してくる。
こいつは手ごわい。
ユイナもうとうとしていて、なんだかこてっといきそうな予感。
「いろいろ教えてもらって助かった。ありがとう」
「礼を言われるほどのことではない。我は役目を全うするだけだ。明日は朝食事を済ませたらお前たちを森の外まで送っていこう。モンスターは徘徊している事は言うまでもないが、距離はそれほど長くないが地形が入り組んでいるのでな。迷えば最悪野垂れ死にするかもしれぬ」
「頼みます」
樹海で迷子なんて、考えたくもない。コンパスがあったとしても森が入り組んでいれば道を知っている者を案内人に立てたほうが間違いはない。
「安心せよ。言っただろ、最初からそのつもりであったと。今日はもう休め。明日は早いぞ」
そこで思い出した。
当初は不可抗力とは言え、ユイナと同じベッドで寝ていたわけだがまた同じベッドってわけにはいかないだろう。
「ベッドなんだけど、もう一つない!? いや、布団だけでもあれば……」
「ベッドは一つだけだ。贅沢をいうものではないぞ」
「いや、そういうことじゃないんだ。年頃に男女が同じ寝床なんてまずいだろ!?」
「ふははは、おかしなことをいうな。人間の子供はそんな細かいことをいちいち気にするのか。我はお前たちに普段の寝床を貸すということは我は、どうすると思う? つべこべ言わずに年長者の言うことは聞くものだぞ。少なくとも今お前たちは野に放り出されない環境にいるのだから、しかと受け止めよ」
「そうまで言われれば、素直に好意に甘えさせてもらう」
さっきから静かだとは思っていたが、案の定隣ではユイナがテーブルに伏して寝息を立てている。
役得と思ってベッドへお姫様抱っこで連れていき落ちないぎりぎりまで離れて眠ることにする。
先に起きれば文句も言われないだろうと、服も着てるし大丈夫問題ない。
この考えが甘かったと知るのは、意外に早く判明する。
ここまで読んでいただきありがとうございます。