準備
ゆっくりと進行しているので何卒お付き合いください。
『レベルアップしました』
『スキルを覚えました』
スライムを倒して倒れているリクの頭の中に機械音が響いてくる。
Lv.5
名前:リク
性別:男
種族:人間
体力:50/60
攻撃力:18
防御力:78
敏捷力:47
知力:18
魔力:5
神力:0
<魔法> なし
<スキル> 鑑定LV.1 魔神の力LV.1 魔の吸収LV.1
分裂LV.1
<称号> 転生者 炎神の眷属 魔神の後継者
ワオッ!
自分のパラメーターに驚いた。
スライム一匹でレベルが一気に5まで上がったぞ。
他のパラメーターも倍近く上がってる。スキルは…。
なんだこれ?
スキルの欄を見ると、すべてのスキルにレベルがついていた。そして吸収の前に魔の文字がついている。
あれ?さっきまではなかったのに。
効果を見てみる。
スキル 魔の吸収:効果 触れた相手の力を自分の力としてすべて吸収する。(死んだ相手にも効果は適用できる)
そうか。だからスキルの欄にスライムの分裂が加わったのか。でも魔って……。
自分がだんだん規格外になっているのではと心配する。
まぁ、魔神の文字がついてないだけマシか。
エルギスには一匹だけでいいと言われていたが、狩りを続けた。最初は避けていたゴブリンも案外、楽に狩れたのでスライムと両方を狩っていく。リクは日が沈む頃、やっと自分の家に帰る。
「エルギス様〜!ただいま戻りました〜!」
初めての狩りを無事に終え、元気にドアを開ける。
「おお〜。リク。初めての狩りはどうじゃった?」
「はい!とても良かったです!」
自分の眷属であり息子であるリクの表情を見て、エルギスの顔に笑みが浮かぶ。
「狩りも順調に進んで!」
「そうかそうか」
エルギスは嬉しそうに机の上のお茶を飲み、
「レベルが17まで上がりました!」
盛大に吹き出した。
「ゴホッ、リク、お主今なんと言った?」
あまりにも予想だにしてなかった発言にもう一度聞いてしまう。
「今日一日でレベルが17まで上がったんです!」
エルギスは驚いた。いくら一日中狩りを続けてもレベルが10ケタ以上も上がるなんて聞いたことがなかったからだ。
ちなみにリクのパラメーターは現在こうなっていた。
Lv.17
名前:リク
性別:男
種族:人間
体力:175/185
攻撃力:124
防御力:117
敏捷力:89
知力:55
魔力:42
神力:0
<魔法> なし
<スキル> 鑑定LV.1 魔神の力LV.1 魔の吸収LV.1
分裂LV.1 盗人LV.1 剣術LV.1
<技スキル> ソードスラッシュ
<称号> 転生者 炎神の眷属 魔神の後継者
「…………………………」
リクの発言にエルギスは押し黙る。まさかここまで上がるとは思ってもみなかったからだ。
「…エルギス様?」
エルギスはそこで自分が何も反応してないことに気づく。
「お?おぉ、リクや、よう頑張ったの」
「!、はい!」
エルギスには褒められ、嬉しそうにするリク。エルギスのことを尊敬しているだけに、褒められることが何よりもリクにとっては嬉しいことだ。
「のう、リク?」
「はい?」
そこでエルギスは話題を振る。
「明日、儂とダンジョンに潜ってみんか?」
「ダンジョン⁉︎」
すげー!ダンジョンといえば、高価な宝物にいろいろな不思議、それに魔物の巣窟でもある。正直、行ってみたい。
前世では、数々の漫画やラノベを読んでいたリク。その中にはもちろんファンタジー系もある。ダンジョンで暴れる強い主人公はリクにとっては憧れである。
「ぜひお願いします!」
迷いなく決意する。
「よし、では明日の朝に出るからの。今日は早めに寝とくのだぞ」
「了解です」
食事と風呂を済ませ、リクは自分の部屋のベッドについた。
「明日、楽しみだな〜」
まるで遠足に行く子供のような発言。そんなつぶやきに一人で苦笑する。だが形は違えど、こんな楽しい日々、前世ではありえない。
リクにとって今は宝物を開け続けている気分なのだ。
「早く強くならないと」
エルギス様を守れるようになるために。
決意を胸に気持ちを高めるリク。
だが、明日がつらい闘いになることを彼は知らない。
次の話で初ヒロイン登場です。