戦闘
オッス、オラはリク、僕は今、神エルギス様のもとで強くなるために修行中です。で今日が初めての戦闘なんだけど…。
超アクロバティックなスライムに追いかけられていた。
「ひぎゃあーーーーーーーーーーーーーーー‼︎」
背後には次から次へと木に飛び乗って追いかけてくるスライムがいる。
なんなんだ⁉︎あのスライムは!
ちなみに僕は一人、ここにはエルギス様はいない。エルギス様にはスライムかゴブリンを一体倒したら家に戻って来いと言われた。方法はなんでもいいとのこと。うぅー。ゴブリンはちょっと怖いからスライムからにしよう。
スライムを探している途中に見るゴブリンを避け、なんとか一匹のスライムを見つける。
いや、別に怖いわけじゃないけどビビるじゃん。
よっしゃやってやる、て思った瞬間飛びかかってきたのだからさ。
けどこのまま木々を抜ければ追いかけられない。
全力で走っている僕の前にスライムが飛んで道を防がれた。
「な⁉︎」
スライムが嬉しそうに震える。
くそ!やるしかない!
するといきなりスライムが体当たりしてくる。間一髪で横に避ける。僕の反応が遅れた分、スライムが次のモーションに入っていた。
「チョウシに乗るな!」
リクは腰に差している短剣を抜き放つ。
本当は直剣があるからそっちが良かったけどまだ早いと言って貸してくれなかった。
代わりに短剣を貸してくれた。まあ、何もないよりより増しだ。
飛んでくるスライムに短剣を振り下ろす。
真上から勢いのついた短剣がスライムを真っ二つに両断する。しかし、スライムは両断されながらもすぐにお互いの断裂部分からくっついていく。
「うっ、やっぱり物理攻撃は効かないか」
じゃあどうすればいい?短剣での物理攻撃が効かないのだったら素手で攻撃したって意味ないだろうし。
リクはいつの間にか選択肢を無くされていた。
エルギス様みたいな魔法があればいいけど魔法はまだ覚えてない。
「てあれ⁉︎スライムは!」
考えているうちにスライムを見失ってしまった。
「どこにーーー」
あたりを警戒して周りを見渡すと突然、身体が苦しくなってくる。
「う!なんだこれ……」
急いでパラメーターを見る。
Lv.1
名前:リク
性別:男
種族:人間
体力:20/30
攻撃力:4
防御力:25
敏捷力:10
知力:17
魔力:0
神力:0
<魔法> なし
<スキル> 鑑定 魔神の力
<称号> 転生者 炎神の眷属 魔神の後継者
なんで体力が減ってるんだよ。
体力を見ると10も減っていた。一体なぜ!
身体を見てみると、背中の服の上からスライムが張り付いていた。
「こいつ!」
急いでスライムを引き離し、距離ををとる。
たぶんさっきのはスライムのスキルだろ。体力は残り20。早くこいつを倒さないと。
『 スキル:魔神の力発動 』
頭の中に機械音が響く。パラメーターをもう一度見ると、
Lv.1
名前:リク
性別:男
種族:人間
体力:20/30
攻撃力:4
防御力:25
敏捷力:10
知力:17
魔力:0
神力:0
<魔法> なし
<スキル> 鑑定 吸収
<称号> 転生者 炎神の眷属 魔神の後継者
これは……。
スキルの欄に今までなかったスキルが存在していた。
そうか。きっと魔神の力の効果でスライムのスキルをコピーできたんだ。
スキル 吸収:効果 相手の体力、またはスキルを一つ吸収する。(触れなければスキルは発動しない)
あぶねぇー。もしこれで吸収されたのがスキルの方だったら魔神の力が吸収されたかもしれない。
魔神の力なんて名前の付いたスキルは正直遠慮したいが強力だから失いたくない。
それよりも今はこいつだ。
スライムは体当たりのモーションに入っている。だが吸収があればこいつの体力を全部吸い取って倒すことができる。
チャンスはあいつの攻撃を避けた隙をつく。
僕の顔めがけてスライムが飛んでくる。
速い!
この体当たりもなんとかかわす。
よし!今だ。
後ろを振り返るとーーー
ーーースライムがモーションにはいってた。
なんで⁉︎
スライムはリクが避けることを察知し、目標を後ろの木にしていたのだ。
あいつもカウンター狙いか!
スライムは木に張り付いたまま体当たりのモーションに入り、飛ぶ。
だんだんとスライムが大きくなってくる。
リクは右の拳をスライムに向けて、全力で放つ。
「うおぉぉーーーーーーーーー‼︎」
リクの拳とスライムのスピードの乗った体がぶつかり、リクの腕が悲鳴をあげる。
お、重い。スライムは木の上から落ちてくる分、体当たりの威力が上がってるんだ。
けど…
押し戻されそうになったがスライムの動きが止まる。
今だ!
『スキル:吸収発動』
スキルを発動するとスライムの体が小さくなり、消滅した。
それと同時に僕は倒れた。
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!勝った〜〜〜〜〜〜‼︎」
魔物と初めて戦闘を終えたにしては非常にまのびとした声を出すのだった。
初めての戦闘。