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秘密の花園

その日の放課後、屋上には2年生の下宿人と胡桃沢先輩がいた。


「明日から登下校、ユーリは叶多とタビオと一緒に毎朝行くってさぁ~」


澤村亜久里がスマホを開いて言った。


「そう。一年の面倒事は一年だけで解決してほしいよ。僕らみたいに」


「えぇ~。俺、ユーリと帰りたかったなぁ」


「ここにもいるじゃないか、やらかし姫がね」


「……あれは駄目だ。胡桃」


男達の視線は隅に体育座りしている美少女に向けられていた。そこにはあからさまに落ち込んでいる胡桃沢桃子先輩がいる。


「わかってるもん。初めてみた人だったからつい威嚇しちゃったんだもん」


「もんもんって可愛子ぶってるの? その顔でぇ?」


「はぁ。次からは気を付けなよ。表だったことすると彩里さんに呪われるから。……亜久里、そんなに一緒に帰りたいなら2人より先に連れ去ればいいんじゃない?」


「それ、いい!」


「あいつは警戒するとよって来ない」


「星は黙って! うぅ」


「転校生待ってたもんねぇ。自分から拒否ってたけど」


「ああぁー! あぐりんも黙ってよ! 今弁明の余地を考えてんだから!」


胡桃沢桃子と言う女性はとてもめんどくさい性格をしている。つんとした悪役令嬢ヒールの様な性格だと進学クラス以外の生徒は思っている。が、実際は弱虫であまちゃんなお嬢様だ。それを知ってるのは進学クラスの一部だけ。だから、他の生徒からは嫌われてはいないが距離を置かれるのだ。


「一年もたって進歩が無いなんて可哀想に」


「らいちゃんの馬鹿馬鹿!」


彼女は酷くその事を気にしていて転校生とお友達になるのを夢見ていたのだが、悪役令嬢ヒールの性格を堂々とさらし、絶賛落ち込み中だ。


「小さくて可愛かったぁ。周ちゃんと二人で歩いてるのを見たの」


「周はお前と違って人見知りもしないし、元々の性格がいい」


「あれは天然記念物よ! 星だって、不思議くんじゃない!」


「悠莉ちゃんは叶多いわく、変人らしいよ」


「私の方が変人よ」


「お前はやらかし姫じゃん~」


もうっ! と彼女は声を荒あげるとキャーと可愛い子ぶって、ちゃっかり星羅を回収して屋上から出ていった。残されたニ人は空を見上げる。


「これだからお前は駄目なんだよ」


「らいちゃんには私の気持ちはわからない」 


「その台詞、桃は一年前にも言ってたけど反抗するパターンが決まってるよね」


「……その時らいちゃんは言ってた、僕が君の友達になるって。今は彼氏だけど」

 

「何気にそれ僕の黒歴史だから」


私は差し出された手を取った。あれから1年がたったのだ。私は何か変わった? ううん。何も変わってない。勝手に決めつけ自分の殻に籠って。


「うわっ。急に飛び付くな」


「ごめん。でも、私頑張るから!」


「がんばれ」


握りしめた彼の服からあの時と変わらない向日葵の香りがした。


「がんばる」


今度こそ差し出された手を取って、私達は家に帰った。変わるんだから! がんばるんだから! ってずっと言っていたら、さすがに呆れたみたいで程々にと念を押されてしまった。



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