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お姉ちゃん

「本当に心配したのよ! 多恵さんから聞いてたけど、昨日来たばっかりだし、迷子になるかもしれないでしょ。帰ってきてくれてよかったぁ‼」


小走りで富田荘に帰ると泣きそうな勢いで抱き付かれ心配をかけてしまって申し訳ないなぁとしみじみ感じた。正治さんも多恵さんもそんな叔母さんを見て、心配し過ぎと宥めてくれたが軽率な行動だったのは確かだ。


「一ヶ月の間はユーリ一人歩き禁し。誰でもいいから二人以上で行動すること!」


過保護なまでの心配症である。私は前科があるので素直に頷いた。


その後、元気を取り戻した叔母さんは私を連れて近くの服屋さんに連れていった。ここで制服を買うらしい。私は身長が150㎝未満なので中々サイズが見つからなかったのですが、なんとか購入することが出来ました。

なんともベタな白と紺のセーラー服。前はブレザーだったので新鮮。でも、結構恥ずかしい。


「さっきは取り乱しちゃって、ごめんね~。にしても、似合うねぇ、制服。私もまだまだいけるかしら?」


「叔母さん痛い」


頭をグリグリされた。痛い。


次に叔母さんが向かったのは朝もいった、相田高校だ。職員室で担任の花巻先生と学校の事について教えてもらう。叔母さんは図書室に行ってしまったので、花巻先生と二人きりだ。


「高梨さんはここの暮らしに馴れたかい? あ、昨日来たばっかりなんだよね? あー、僕としたことが……。僕は先生失格です」


「そんなことで先生失格になんてならないので落ち着いてください」


はは、そうだねと頼りなく笑う花巻先生。凄くネガティブ思考見たい。でも、こういう雰囲気が生徒との距離感何かを掴み易いんだろうな。


なんでも、クラスは3クラス。1つ目は中高生の進学科クラス、2つ目は中高生普通科クラス、最後に小等学部となっているらしい。私はもちろん、普通科クラスである。教室も1階に並んで3つあり、芸術教科は全クラス一緒に行うらしい。何故なら、纏まった生徒がいるのが高等部だけであるからだそうだ。


「じゃあ、明日からよろしくね高梨さん」


「よろしくお願いします」


すっと背筋を伸ばして職員室からでると、鹿倉くんに教えてもらった道をたどって図書室に向かった。年上が年下に学年を越えて勉強を教える。とてもいい環境だと思う。


「てか、なんで彩里がいるんだよ」


「え~、叶多ちゃんは彩里ちゃんが来てくれて嬉しくないの~。嘘つきだな~」


「いーや、あんたらが本当に子供達に勉強を教えてるとはねぇ。以外だわー」


ぽんぽん。ぼうっと図書室の中を覗いていたら誰かに肩を叩かれた。振り向くとそこには天使が居ました。


「朝ぶりですね、ユーリさん。大丈夫だったですか?」


「うん。心配してくれてありがとうね」


鹿倉くん、両手に学習教材を抱えて何処からかやった来た。図書委員って言っていたから、中に入るのだろうけど……はぁ。入りたくない。私はすっと素早く深呼吸するとドアにてをかけた。


「ドアを開けましょうか」


「ありがとうございます」


鹿倉くんはすぐに照れるな。こっちが恥ずかしい。火照る顔を見られないように図書室の扉を開けた。


朝は人一人いなかった図書室がまるで、塾にでもなったみたいだ。


「あ、ユーリ終わった? ここは図書室よ~。ばか達が率先して教えるの」


叔母さんは回りをよく見ている。多くの視線がこちらに向いたからか、お誂え向けの笑顔が張り付く。そんな私に気付いた叔母さんが少し悲しそうに笑った。


「え、ユーリ。もしかして、鹿倉さんちの坊っちゃんともういい仲なのねぇ。叔母さん妬けちゃう」


それでも自分を崩さないのはさすが叔母さんだと思う。私はちらっと隣にいた鹿倉くんは思った通り顔を真っ赤にしながら、図書委員の仕事を始めている。


「叔母さん。中学生からしたら、私はただの年上ですよ。からかうのは止めてください」


「ふふっ。そう思ってるのはユーリだけかもよ?」


「彩里ちゃんは何時も美人だもんね~」


だまらっしゃいと来栖さんのほっぺが伸ばされる。くぃと私のスカートを掴むとにぱっと弾ける笑顔を向ける小さな女の子。2つ結びがトレードマーク。


「お姉ちゃん! 向こうで一緒に絵本読もう?」


これはどうしたらいいの? 叔母さんに視線で訴えると行きなさいと返された。小さいこの子の相手をするのは久し振りだ。


「うん。行こっか」


「うん!」


小さい手が私を図書室の奥にある畳に連れていく。そこは勉強会をしている所とは別世界。絵本が上から下までびっしりと本棚に押し詰められている。


「はなねぇ、いっつもかなちゃんが一緒に絵本読んでくれるの! でも、テストが近くなると構ってくれないから寂しいの。だから、お姉さんが来てくれて嬉しいの」


そっか、お兄さん達がテストの時は一人で寂しいの我慢してたんだね。はなちゃんが持ってきた絵本の後ろに叶多と子供の字で書かれていたのを私は見逃さなかった。絵本を読んでくれるのかなちゃんか。



「叔母さん帰るけど、叶多と旅人と帰ってるのよー。もう少しで勉強会終わるから」


叔母さんは私がうんともすんとも言い終わる前にさっさと帰っていった。はなちゃんは疲れたのか私の膝の上で眠って閉まった。たまに勉強会に参加してる子もちょくちょくこっちを覗きにきた。私はぎこちない笑みを浮かべて乗り過ごした。


「はな寝ちゃいました?」


本棚からちょこんと顔をだす鹿倉くん。そろそろ勉強会も終わる頃らしく、こっちの様子を見に来たようだ。


「すみません、はなが迷惑かけて。後は僕が面倒見るので、ユーリさんは二人と一緒に帰って大丈夫です」


膝の上で寝ていたはなちゃんを優しく起こす。その手付きはまるでお兄ちゃんの様だ。お兄ちゃん? と目を擦りながらむくりと起き上がったはなちゃんを見て確信。


「可愛い妹さんだね。羨ましいな」


「はい! 凄く可愛いです!」


お兄ちゃんは妹をおぶさって勉強会の方へ歩き出したのでついていく。そこには机の上を片付けたり、床の掃除をしていた。勉強会は終わったのか。片付けを終えた子から次々に帰宅して行く。私もこの子達に続きたい。


「あの……」


中々近付きずらいが叔母さんと約束したので霧島さんに声をかける。


「ちぇっ! わかってるつの! 一緒に帰るんだろ!」


「うわぁー、叶多ちゃん感じ悪~。少しは優しくしてあげたらぁ?」


「変人と帰りたくないのは当たり前なのでは?」


二人が氷ずいた。あれ? 私、変なこといったかな?

私は両腕を二人に抱えこまれる用にして校外へと連れ出された。


「はぁ! お前あの時起きてたのかよ?」


「叶多ちゃんがいちいち五月蝿いからでしょ~」


「いえ、霧島さんに変人と言われた所しか覚えてません」


あ、俺大丈夫? なんて急に笑顔になった来栖さん。反対に絶望の淵に立たされたような霧島さん。表情筋が弱いんだろうな。

正反対の表情をした二人の後ろをとぼとぼとついていった。


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