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SAMURAI―侍ー  作者: megu
8/11

白竜海賊団

夜も明けきらぬ内に、6人は港にたどり着いた。

「港から西へ八キロの小島にリョウキはいる」という、レイの証言が虚偽ではないかという心配もあったが、港の漁業関係者の話を聞いたところ、どうやら本当のようだ。


ただ、やはり殺人鬼が巣食う島などに立ち寄る船はなく、漁船も避けて通るらしい。


場所が分かっていても足がないのではどうしようもない。一同は足止めを食ってしまった。


アヤメ「参ったわねえ…」


秋山「完全な閉鎖領域らしいな。奴等自身はそこらの船を強奪して島へ行ったんだろう」


シュラギ「俺らも船ぶんどるか」


レオ「いや、駄目だろう…」


牙とマヤは、進むに進めないこの状況にいささかシュンとしていた。


秋山「大丈夫だ。何とかなるって」


秋山は2人の頭を少々乱暴にワシャワシャと撫でた。


シュラギ「しかし実際どうするかな…リョウキの島に行くには、何とかして船を手に入れるしかねえぞ」


そうぼやいていた時だった。どこからともなく現れ、秋山たちに話しかけてくる男がいた。


男「お前たち、リョウキの島に行きたいのか?」


アヤメ「え?そうだけど…」


その男は、短めの金髪に、白を基調としたジャケット、腰にはいかつい剣を装備していた。


表情は端正かつ穏やかであり、物腰も柔らかかった。

男は抑揚の少ない声で言う。


男「俺の船に乗せてやる」


アヤメ「えっ?いいの!?」


男「ああ」


男はアヤメの問いに答え、さらにこう付け加えた。


男「俺の名はフレア」


アヤメは、フレアという名に覚えがあった。


フレアと名乗る男に案内され、一同は港から少し離れた入り江のような場所にやって来た。


入り江にはかなり大型の船が停泊していた。その船の見た目から全員が悟った。


レオ「これ海賊船じゃねえか?」


フレア「…まあな」


淡々と答えるフレアに、「まあな、じゃねえよ!!そんな船乗れるか!!」とレオはツッコミ炸裂である。


だが、その海賊旗を目にしたアヤメが声をあげる。


アヤメ「この船…白竜海賊団(はくりゅうかいぞくだん)じゃない?」


白竜海賊団…海賊でありながら強盗、略奪行為を一切せず、戦争、災害、殺人など、様々な理由で行き場を失った者たちにとっての拠り所となる組織である。更に船長のフレア・ドラグレッダーは、戦いを好まず、決して人を殺さない異端の海賊である。海賊旗には、海賊のシンボルであるドクロマークはなく、変わりに白い竜のシルエットが描かれている。


フレア「タツヤ!!レイズ!!客人をリョウキの島まで乗せていく!!出港の準備をしてくれ」


フレアが2人の人物の名を呼ぶと、少年が2人顔を出した。


レイズ「客人てのはそいつらか?」


タツヤ「何であんな島にわざわざ行かなきゃいけないんだよ」


フレア「彼らはリョウキを倒しに行くらしい」


レイズ「なっ…」


タツヤ「まじかよ…」


一瞬で目の色が変わった2人は、他の船員に指示し、船を出す準備を始めた。


フレア「さあ、乗ってくれ」


シュラギ「お…おう」


アヤメ「ありがとう…」


一同は戸惑いながらも船に乗り込んだ。どうやら、信用しても大丈夫なようだ。


夜明けとともに、船は出港した。その間にアヤメは、島へ行く理由と、ここまでの経緯をフレアに話した。


フレア「なるほど…そういう事か…」


事のあらましを理解したフレアはゆっくりと頷いた。


牙「リョウキは、拙者にとって憎むべき敵。協力いただき感謝する」


牙はフレアに、深々とお辞儀をした。


マヤ「あ…ありがとうございますフレアさん」


マヤも牙に続けて頭を下げた。


フレア「礼を言いたいのはこっちだ。この船にもリョウキの被害を受けた者は多い」


レオ「リョウキってのは何者なんだ?」


アヤメ「近年勢力を拡大し、強大なシンジケートを設立しつつある殺人鬼ね」


マヤ「アヤメさん?」


秋山「知ってるのか?」


アヤメ「大まかな情報はね。奴の能力も現在の居場所も知らなかったからあんまり役に立たないと思って黙ってたんだけど…」


秋山「でも、名前を知ってただけでもすげえな」


シュラギ「秋山、アヤメの情報網をなめるなよ」


フレア「見えてきた」


フレアの言う方向に、小さな島影が見える。あれがリョウキの島である。


牙「リョウキ…」


―――――――――――――――――――――――――――――


―リョウキの島ー


男「リョウキ、島の近くに白竜海賊団の船が来てるぜ」


部下と見られる男の報告をそいつは落ち着いた様子で聞いていた。


リョウキ「ほお…退屈しのぎにはなるかな…」

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