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SAMURAI―侍ー  作者: megu
2/11

秋山秀春

その数十分後、一行は"竜神党"の本拠地に到着した。そこは、かつて団地だったのかマンションの廃墟が4棟建っている。


その中心の中庭に、"竜神党"のメンバーが200人程たむろしていた。この場所自体が閉鎖的な空間であり、さらに周りの建物が、武器を隠すのにうってつけの環境と言えよう。


アヤメたちは、連中の死角に上手く入り、様子を伺う。


「集まってやがるなあ」


シュラギは微かに高揚したような口調で言う。


「銃を持っている者もいるな。刀のみの我々は部が悪いか…」


牙は冷静に観察する。すかさずシュラギが口を挟む。


「何だよ牙。ビビってんのか?」


「まさか」と牙。


レオはアヤメに「早く攻め込ませろ」とせがむ。アヤメはそれに対して「ちょっと待ちなさい。本当にあんたたちは血の気が多いんだから…」と呆れ顔。


アヤメは皆を取りまとめ、作戦を説明する。


「いい?連中に気付かれないように移動して、四方から"竜神党"を囲むように陣形を組む。私達は4人いるからちょうどいいわ」


アヤメはそう言うと、皆に小型の無線機を手渡した。


「これで合図したら一斉に出撃するわよ。くれぐれも勝手な行動はしないでね。特にレオ」


「何だよ」


「焦って1人で飛び込んだりしないでよ」


「ちっ…分かってるよ」


アヤメの指摘にレオは不機嫌な顔をする。


その後4人はアヤメの作戦通り、四方から"竜神党"を囲むように陣形を組んだ。


アヤメが無線で連絡を取る。


「皆、持ち場についた?」


「おう。ついたぜ」


「うむ」


「準備OKだ」


それを聞き、アヤメは微かに笑みを浮かべ、皆に指示を出す。


「いいわ。じゃあ合図したら一斉に行くわよ」


「よし…」


シュラギは拳を握り、気合いを入れ、他メンバーは刀の鯉口を切る。


アヤメはタイミングを計り、皆に合図する。


「3…2…1…Go!!」


合図と同時に、4人は一斉に飛び出した。


「な…何だ!?」


突然の奇襲に慌てる"竜神党"のメンバー。


「こいつら、サムライどもか!!」


「構わねえ!!撃て!!」


狙撃手は銃を構え、先ず牙に向けて一斉に射撃した。

ところがどうだろう。放たれた弾丸は一発も牙には当たらず、それどころか細切れになって地面に落ちているではないか!!


「な…弾丸を斬りやがった!?」


牙は軽いため息をつき、こう言い放つ。

「いきなり銃を使うとは…どうやら戦いにおける礼儀を知らんらしい」


言い終えると同時に、牙は狙撃手を銃ごと斬り払った。


「が…」


「こ…こいつはまさか…」


十一郎(きばじゅういちろう)。剣術の名門、牙一族の当主。斬鉄流(ざんてつりゅう)の使い手で自慢の刀で何でも斬ってしまう。ついた通り名は"斬鉄の牙"。アヤメ、シュラギとは中学からの付き合い。


牙の戦いっぷりを見たレオは…


「ちっ…あれくらい俺もできるっての…」


と、その時背後から刀を持った男が切りかかる。


しかしレオはそれを紙一重でかわし、目にも止まらぬ速さで敵を切り裂いた。


「まとめて来いよ…ちまちましたのは好きじゃねえ」


大門 レオ。アヤメに強さを見込まれ、サムライの事務所に入った少年。優れた動体視力と俊敏さで敵の攻めを制し、確実に仕留める。精神的に未熟であり、団体行動に難あり。


「くそっ…ぶっ潰すぞ!!」


"竜神党"のメンバーの1人が、士気を上げようと叫ぶ。


が、次の瞬間顔を物凄い力でわしづかみにされた。


「ぐう…」


「誰が何を潰すって?」


シュラギだった。目を大きく見開き、肉食獣を思わせる歯をぎらつかせて笑うその顔は、狂喜に満ちあふれていた。


シュラギは男を放り投げると、手当たり次第に敵を殴りだした。


「何だこいつは…」


「素手で俺達をどうにか出来るとでも…」


シュラギに刃が降り下ろされる。が、シュラギは刃、素手で受け止め、そして叩き折った。


「な…何だと…」


更に、シュラギに殴られた相手は、たちまち噴血して吹っ飛んだ。


「おらおらどうした!!かかって来やがれ!!」


シュラギ・ムハンマド。喧嘩っ早い、中東から来た暴れん坊。帯刀してはいるものの、ほとんど使う事はなく、鍛え上げた剛腕を振るい武装した敵もパンチ一発で撃破する。その事から手刀のシュラギという異名を持つ。アヤメとは幼馴染みであり、現在は恋人。


「皆!!相手は200人いるから最低1人50人は倒してよ!!」


アヤメは皆に指示を出しながら確実に敵を斬っていく。


「50人!?そんなもん一瞬で片付いちまうよ!!」


とシュラギ。確かに、戦闘を開始して30秒も経っていないというのに、既に半分以上が地に伏していた。


「張り切り過ぎよ!!あんたたち!!」


「アヤメが一番倒してるじゃねえか!!」


西村アヤメ。サムライの事務所を束ねる司令塔。そのリーダーシップもさることながら、剣術も牙を凌ぐ程の腕前を誇る。統率力、戦力、知力を兼ね備えた、才色兼備のリーダーである。現在、恋人のシュラギと同棲中。


「サムライどもか…これ程とはな」


"竜神党"のリーダー格の男がつぶやく。


「おい。例の物を用意しろ。奴等で威力を試してやる」


「はい!」


連中の動きが変わったのを、アヤメは敏感に察知した。


「様子がおかしい…何かする気ね」


それから程なくして、"何か"が現れた。


「な…」


「何だあれは」


牙とシュラギがほぼ同時に言う。


それは、この世のどの生き物とも似つかない、巨大な怪物だった。


四足歩行に、長い首、そしてまぶたのないむき出しの目の間には、体に対して縦に裂けた大きな口があり、そこから気色の悪い触手が何本も這い出るかのようにうねっていた。


「何よあれ…」


さすがのアヤメもこれには血の気が引いた。


「これが例の兵器か…面白え…」


レオはニヤリと笑うと、その怪物に向かって走りだした。


「ちょうど人間相手には飽きてたところだったんだ!!」


が、牙は何かを感じ取り叫んだ。


「待てレオ!!」


「ああ!?何でだよ!!」


「何かがおかしい!一旦離れろ!!」


その直後、怪物の口が大きく開き、その中心に光が集束しだした。


「なっ…!!」


「全員避けろおおお!!」


集束した光は勢いよく放射され、地面を大きく抉った。


「皆大丈夫!?」


煙が立ち込める中、アヤメが叫ぶ。


「ああ…」


「何とかな」


牙とシュラギが応答する。レオは、驚愕しきった様子て言った。


「何だアイツ…ビーム撃ちやがった…怪獣映画じゃねえんだぞ!!」


皆が動揺する中、リーダー格の男が声を張り上げる。


「どうだサムライ!!これが我々の手に入れた新兵器だ!!これがある限り我々は無敵だ!!」


「野郎…調子に乗りやがって…」


シュラギが悔しそうに唸る。


「でも、あの兵器の威力は本物よ」


…と、そこに誰かが近づいて来た。


「あんたは…」


アヤメは驚いた表情で彼を見た。そう。彼こそが5人目のメンバーである。


「苦戦してるっぽいなあ」


彼はそう言うと、怪物の方を見て、

「あのデカブツを斬ればいいんだな?」


と、何ら動じず話す。


レオは間髪を入れず叫ぶ。


「てめえ、遅れて来といて偉そうに…!!」


アヤメは猛るレオを制止し、彼に言った。


「頼んだわよ。秋山」


「おう!!」


そう言うと秋山と呼ばれる彼は、鍔のない刀を抜き、怪物に向かって走った。


「何だアイツは…」


「奴等の仲間か!?」


連中が驚くのも無理はない。彼はかなり変わった外見をしていた。


雪のような真っ白い髪、赤く光る目、そしてその表情は、シュラギ以上に獰猛な顔つきをしていた。


「何でもいい!!やっちまえ!!」


連中は、秋山に一斉に飛びかかる。


すると、リーダー格の男は彼を知っているのか、明らかに動揺しながら叫ぶ。


「待て!!お前らの敵う相手じゃ…」


が、一足遅く、秋山に攻撃しようとした男たちは、1人残らず、一瞬で切り伏せられた。


「な、何だこいつ!!メチャクチャ強え!!」


驚愕する部下にリーダー格の男は言う。


「そりゃそうだろうよ…こいつは…」


秋山秀春(あきやまひではる)。アヤメに誘われてサムライの事務所に入った。最近事務所に入った新入りながら、せの実力は折り紙つき。今や事務所の突起戦力となっている。


「くそ…撃て!!」


再び怪物の口に光が集い、秋山に向けて撃たれ…


る前に、怪物の体に斬撃が走る。


「なっ…」


「さすがに一撃じゃ無理か」


そう言うと秋山は、跳躍し、怪物の頭を狙って刀を振るう。


「うおらあああああああああ!!!!」


その斬撃は、怪物の頭を直撃し、数秒後集束した光が弾け飛び、大きな爆発が起こった…


…燃え盛る怪物の残骸には生き物らしき骨は一切なく、変わりに機械式の部品が火の影に見え隠れした。


「どうやらロボットの一種だったようだな。2撃目をなかなか撃たなかったのはエネルギー充填のためか」


牙が落ち着いて分析する。


「当たり前だ。あんな生き物いてたまるか」


シュラギが安心したような口調で言う。

後ろでは、爆発に巻き込まれたのか、黒焦げになったレオが秋山に文句を言っていた。


「だいたいお前はな…」


「だから謝ってるだろ。それにほら、ウルトラマンだって結構街破壊してるだろ?派手に戦うとこうなるんだって」


「やかましいわ!!」


その更に向こうで、捕らえたリーダー格の男をアヤメが問い詰めていた。


「あの機械の怪物…どこから手に入れたの?まさかあんたらが作った訳じゃないでしょ?」


「当たり前だ」とリーダー格の男。


「貰ったんだよ…ある人からな…」


「ある人?誰?」


「てめえも恐らく知ってるだろうぜ…」


男の口から出た名前は…


※次回からキャラの台詞に名前をふっておきます。


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