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序曲
とある会議室から出てきた2人の生徒は息を荒げて壁に手をついた。
「受付、間に合ってよかっただろ」
「梟夜くんだけ走ればよかったのよ。
足が疲れたわ。」
「なら、サロン行くか。」
桃花鳥は梟夜に返事を返さず、くる、と体の向きを変え、サロンの方へ歩き出す。
無駄な会話が増えてはきたものの、桃花鳥は相変わらず。
山藤桃花鳥と櫟梟夜。
音楽の才に秀で、その容姿、成績も人並みはずれた二人。
桃花鳥は型にはまった優等生で、かなりの負けず嫌い。
一方梟夜は頭のいい問題児で、毒舌で無神経無愛想。
そして彼もかなりの負けず嫌いだ。
しかしまあ、二人の間で主導権を握るのは常に桃花鳥。
梟夜はいつも桃花鳥と意見がぶつかりこそすれ、最後には桃花鳥を立てていた。
最近騒動を起こすことも少なくなってきた二人だったが、未だ音楽関係外となるといざこざが絶えない。
ペアを組んでまだ二ヶ月。
外は雨のやまない六月。
2人の前には、新たなイベントが待ち受けていた。