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彼が本性出しました。

えっと…正直いろいろつかめなくなってます(;一_一)

とりあえず、見てみてください!

放課後の図書室に、人はそう多くはない。勉強している人、読書をしている人、本を選んでいる人。人がいないわけではない。けれど、宗教などとおよそ学生が手に取らないであろう本たちが置かれている場所にいる人はゼロと言っても過言ではないのだ。しかも、なぜかこの学校の図書室には、普通の勉強スペースとは別にもう一つ小さな勉強スペースが設けられており、それは宗教関係の戸棚の後ろにおよそ隠れるように佇んでいる。

「あ、そこ計算ミスしてる」

 だからこそ、一か月前に有名となった千花と徹が一緒にいても誰も注目などしないのだ。

「え?」

「ほら、そこ」

 綺麗な指がノートを指す。単純な掛け算のミス。

「本当だ」

「そういうのもったいない」

「そうだね。…気を付けます」

「それ終わったら、この問題な」

「…」

「何?」

「…いや、なんでも」

 そう言い、千花はまたノートとにらめっこを始めた。

頭の中では分かっている。「なんでもない」わけがない。それでも、今の状況を理解できず、問うことすらできない。

「何か質問がある人?」そう問われて質問できるのは、その問題が何か理解できた人だけなのだ。その問題自体理解できない人はわからないところがどこなのか分からない。強いて言うならその問題自体が分からないのである。

 千花は問題を見つめながらほんの2時間ほど前に交わした会話を思い出していた。小さなため息と一緒に。

「放課後でいい?」

「えっと…?」

「勉強」

「……」

「勉強教えてほしいって言ってたって、敦からメールが入ったんだけど…」

「え?」

「…違った?」

「……違わない…かな?」

「じゃあ、放課後な」

 授業中に交わされた短い会話。困ったように眉を下げた徹を見ていられなくて思わず首を振った。

その会話が原因で今に至っているのだ。もちろん、大元の原因は、お昼に交わした敦との会話なのだけれど。

 図書室の人気がない一角で、2人で並んで座っている。心臓の音が聞こえてしまうのではないかと思うくらい大きかった。

「あ、あの…」

「何?できた?」

「あ、問題はまだ…」

「そんなに難しくはないと思うんだけど…」

「…すみません」

「…で?」

「え?」

「だから、何?」

「あ、あのね。…瀧山くん、部活はいいの?今、夏の大会に向けて忙しくなってきてる時期でしょう?」

「…」

「智絵ちゃんとか藤沢くんとか2年生なのにエースで活躍するんだって。…瀧山くんは練習は大丈夫?」

 少しの沈黙。

気のせいか、徹の機嫌が悪くなった気がした。

「ど、どうかした?」

「あんた、本当に俺の事どうでもいいんだな」

「…え?…なんでそうなるの?」

「俺、将棋部」

「…」

「…」

「…え?だ、だって、スポーツ万能なのに」

「ま、時々助っ人として行くことはあるけどね。野球部とか、バスケ部とか」

「…」

「あ、ちなみに、うちの将棋部は大会とかに参加してない。だから、夏の大会とかないから」

「……えっと、なんで将棋部?」

「将棋楽しいぜ?」

「…」

「疑問は解決?」

「……え…っと。…あ、敦くんと本当に仲いいよね!」

「何、急に」

「いや、ほら。敦くんに頼まれたから私に教えてくれてるんだよね。…大会がないからって部活がないわけじゃないでしょう?それなのに、私に勉強教えてくれ…」

 千花の言葉は途中で途切れた。

徹の表情がなくなる。

「何それ」

 低い声。その声だけで、背筋が伸びた。

女の子たちからの陰口も聞いた。睨まれもした。それでも、この一か月で、おそらく今この時が一番怖いと感じている。

「俺、あんたに好きだって言ったよね?」

 今この状況で、「好き」だとは言われていない、とはさすがに言えなかった。初めて聞かされた本人からの「好き」の言葉に赤くなることもできない。

「…」

「もういいや」

「え?」

「もういい」

 急に出てきた言葉に、千花は動揺した。そして、動揺していることにさらに動揺した。

だって、「もういい」と解放してくれる。

なのに、どうして「嫌だ」と言ってしまいたくなるのだろう。

「……何が?」

 聞きたくないのに、口は勝手に動いていた。

しかし、予想とは反して、徹は笑った。

 いつもの優しい笑みではなく、どこか危ない雰囲気を漂わせた大人の笑み。

「敦に言われて、この一か月伊藤に好かれるようにやってきたけど、もういい」

「…」

「好かれなくていいよ。そのかわり、惚れさせるから」

 片頬を上げた。

左手を掴まれる。徹が口づけた。可愛いリップ音。

 一瞬遅れて、千花の頬が、耳が赤く染まった。その様子を徹は楽しそうに見ている。

見惚れるほど綺麗な顔。先ほどより顔が近くにあった。驚き、俯く。

我に返ったように、拡がるノートや教科書を仕舞い始めた。

「あれ?勉強は?」

 笑いながら尋ねる。

「身の危険を感じるので、帰ります」

「じゃあ、明日はこの続きからな」

「…もう、ここには来ません。瀧山くんの協力もいりません」

「あれ?なんで敬語?」

「…」

「ま、いいや。身の危険って、正解だしね」

「…」

「…でも、俺は待ってるから。明日も、SHR終わりにここに集合」

「…ま、待ってても私は…」

「来るまで待ってる」

 そして、徹は困ったような表情を浮かべた。

きっと、知っている。千花がそれに弱いことを。

「…来ません!」

 力強く言った筈のそれは、微かに徹の耳に入るだけだった。




どうだろう?とりあえずベタな展開ではあると思うのですが…。

もうしばらくお付き合いください!


評価、感想等何かあれば遠慮なく押したり、書いちゃったりしてください。

春樹亮をお願いします!!

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