第3話「伏線とは時として消したりします〜サブタイトル長っ〜」
怪奇! 爆弾空中爆発!! 校庭にいた生徒の証言では屋上から野球の話がどうとか・・・。
そんな見出しが新聞の一面を飾ったのは、あの事件があった次の日である。
無情なことに学校側は犯人も捕まったことだし、休みしになくてもいいでしょう。みたいなノリで今日もまた普通に学校がある。
「高校も酷いものね、あんな事があった生徒の精神的苦痛をこれっぽっちも知らないんだから」
「お前の口から精神的苦痛なんて言葉が出るとは、今日辺り雪降るな。赤い」
「その雪をあんたの血で染色してやろうかしら?」
ほらな。凶暴凶悪限りない。
世の学生諸君。妹が欲しいんだと思ってる奴。こいつを引き取らせてやる。一分で後悔するからな保証書付だぞ。
俺は朝食を食べ終わると、家から出て車庫に収納してあるマイバイク(自転車)にまたがり颯爽と走り出す。
あぁ、ちなみに俺の自転車を持っていったのは警察ではなく柳井さんのお仲間の加藤と言う人だったらしい。ちなみに柳井さんも警察の人ではなかった。
その辺の説明はめんどくさいので、ストーリーの途中辺りにでも出てくると思うので今はしない。
学校の自転車置き場にマイバイクを止め、教室へと向かう。途中何人かの後輩から挨拶をされ、さわやかに挨拶を返す。
そこ。気持ち悪いとか言わない。
「よぉ〜〜昨日は災難だったな」
「やめてくれ、昨日の事は思い出したくない」
思い出すだけでも残酷な記憶なのだよ。沢田少年。
「というか、創野お前昨日いたか?」
と俺の昨日の俺の存在を疑っているのは高園少年。二人合わせて田園都市というコンビ名なのだ。
「俺は高野だっつの! た・か・の!」
「たかその。の方が面白いぞ。二人揃って田園! ってヒットするかもよ」
「するか!」
と沢田、高野両名には不人気な仇名なのだ。俺が折角六十五秒も掛けて考えてやった仇名だったのに全くもう。
「それよりも、聞いたかよ? 創野」
「うちのクラスの行き過ぎた変態が捕まった事なら一年前に聞いた」
「んなの誰でも知ってるだろ。転校生だよ転校生」
全く今時の高校生つったら転校生くらいでギャーギャー騒ぐもんなんだよ、ったく転校生の一人や二人三人や四人や六人なんか普通だろう。
「何処の学校が一年間に六人も転校生来るんだよ」
と高野。
「俺が朝校長室の前通ったら、聞こえて来たんだって。転校生の話が。しかもな女だぜ女」
と沢田。
「ふ〜ん。まぁ男だったらお前等は騒がないわな」
「あったりまえだろ」
二人の声が見事に重なる息ピッタリ。やっぱりお前等二人揃って田園都市な。
「どうして、女だと断定できるんだよ?」
近くの席の奴が話を聞いていたのか聞いてくる。ちなみに奴の名前は斉藤だ。
「名前を聞いたんだよ。河上舞衣って女しかいないだろ」
それとだな、名前の説明について沢田にしろ高野にしろ斉藤にしろ苗字しか出ていない。これはあまり大した役目の奴ではないと言う事さ。
言うなればゲストキャラだな。
あれ? そういえば俺も苗字だけだよな? あれ、これって俺が主人公じゃないの!? 主人公俺だよ!! 俺!
「おい、沢田お前今何て言った?」
「だから、河上舞衣なんて名前は女以外ないだろう」
河上舞衣か。そういえばあの少女も舞衣って名前なんだよな。今こうしている間にもあの少女は犯罪者達を追っているのだろうか。
チャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。
「起立! 礼」
学級委員が号令を掛け、全員が立ち礼をして着席をする。担任で現代社会担当の浅野先生は転校生がいる事を、切り出し廊下にいるであろう転校生に向かって声を掛ける。
教室のドアが開けられ、一人の少女が入ってくる。
クラス中の(特に男子)がどよめく。女子にしても所々で囁き声が聞こえてくる。
その転校生は、三日前に出会い昨日再会したあの少女によく似ていた。本当によく似ていた。まるで本人かと思えるくらいよく似ていた。
「・・・河上舞衣です」
短い自己紹介の後、舞衣・・・さんは俺の席から丁度反対側の廊下側の一番後ろの席に着席する。
担任の話が終わり一時間目の授業までの短い休み時間に、クラス中のほとんどの女子が舞衣・・・さんの席の周りに集まる。
「高野、創野。俺達も行くぞ!」
「おぉ!!」
「勝手に行け」
アホな高野と沢田を見送ってから、俺は窓へと視線を移した。
正直よく分からなかった。どうしてあの少女が俺の学校に転校生としてくるのか。
「創野君は興味ないの?」
「そう言う悠子さんは?」
俺に話しかけてきたのは、生徒会副会長で俺もよく話をする橘悠子さん。クラスの学級委員も兼ねていて、結構可愛い。
「話はしてみたいけど、あれじゃあ話せそうもないしね」
「それが賢明だな」
「えっ?」
「ん?」
「創野君まるで、河上さんと話したことあるような口振りだね? 会った事あるの?」
悠子さんは一見天然そうで鈍そうな外見だが、結構鋭かったりもする。
「会ったと言うか。何と言うか」
一時間目の始業のチャイムの音に救われた。悠子さんから逃げるように自分の席へと着席する。
一時間目から数学で数学が壊滅的な俺にしてみれば、朝から鬱病にでもなりそうだ。
因数分解だが二次方程式だか関数だかを右から左へと聞き流しひたすら睡魔と戦っていた時間は過ぎて行き、休み時間になる。
休み時間になるとまた女子が集団で向かうのかと思ったがそうではなかった。恐らくさっきの休み時間に思い知ったのだろう。河上舞衣という少女の性格を。きっとどんな質問にも無言だったんだろうな。
女子では悠子さんだけが、男子は沢田と高野の田園コンビが連合軍を組み舞衣・・・さんに戦いを挑んでいた。
次の休み時間には撃沈しているだろうに。
そう思っていた俺は次の休み時間も三人で舞衣・・・さんの机の周囲に集まって行ったのには以外だった。
三時間目の休み時間もまた三人で集まっていた。他の女子はもう興味がなさそうだし、男子は話したくても話し掛けられないと言った奴がほとんどだ。
と言う訳で俺もどんな話をしているのか興味があり、グループの中に入れてもらう事にした。
「何の話をしてるんだ?」
「えっとね私達の紹介だよ」
「そうそう。お前もやっと来たか」
「曹操といえば三国志だな」
悠子さんはともかくうるさいぞ。そこの田園コンビ。
「さっきね創野君と河上さんが知り合いかなって話しをしてたんだよ」
「・・・・知り合い」
「やっぱり知り合いなんだ〜」
いきなり田園コンビに羽交い絞めにされ、教室の隅へと拉致られた。
「創野くぅ〜ん。知り合いってどういう事かな〜ん? 河上さんねぇ〜さっきの一言が最初に話した言葉なんだよぉ?」
「そうそう。さっきまでずっと無言だったし」
「曹操と言えば三国志だな。うん。では俺はこれで」
逃げようとする俺を田園コンビは掴んで放そうとしない。
「僕達仲間だったよねぇ? 彼女いない同盟の仲間だったよねぇ?」
「そうそう。裏切り行為は万死に値する」
「曹操と言えば三国志だな。というか俺はそんな同盟に参加した覚えは・・・」
「彼女いないのは強制参加の同盟なのだよ、曹操君」
「そうのそうの」
「創野と言えば、俺だな。じゃ、そういう訳で」
にこやかな笑みを浮かべ。俺は二人から脱出に成功する。後は休み時間が終わるまで逃げ切ってやる。
「まてぇ!! 死刑囚め!」
「うちくびじゃぁぁぁ!!」
随分酷い言われようだなおぃ。
昼休みは学生食堂いわゆる学食で舞衣・・・さんを入れた五人で食べた。田園コンビもちゃっかりと一緒だったりもする。
午後の授業も平凡に過ぎていき、田園コンビは仲良く掃除当番なので俺だけ先にさっさと帰ることにする。
階段を降りる俺の制服の襟を誰かが掴み、あやうく窒息死しそうになる。
「おぃぃぃぃ!! 死ぬって窒息死するって!!」
「・・・あの子、誘拐される」
「真顔で冗談は止めてくれ。特に舞衣・・・さんは」
「・・・誘拐される」
「マジか?」
静かに首を縦に振る。
「・・・多分」
「あの子って田園コンビか?」
首を横に振る。
「じゃあ、悠子さんか」
首を縦に振る。
と言う訳で、俺と舞衣・・・さんは悠子さんを尾行する事にした。
悠子さんは友達何人かと一緒に下校しており、無事自分の家まで帰った。
「悠子さん帰っちゃったぞ?」
「・・・・」
もしかしたらこの後外出した際に、誘拐されるのかも知れないと思い、悠子さんの家の周りを張り込む事にした。
それにしても、悠子さんの家ってお金持ちだったんだな。凄い豪邸だ。敷地も広そうだし。
夕方になり、辺りが暗くなっても悠子さんは家から出て来なかった。
「舞衣さん。食べ物買ってきたよ」
「・・・・?」
「あんぱん。張り込みにはこれでしょ」
牛乳も渡し、二人で電信柱の影に隠れあんぱんを頬張る。絵的にはかなり怪しく見えるのではないだろうか。
「七時少し前か。いくらなんでもこれ以上は」
「・・・来た」
悠子さんが、家の玄関というか門から出てきた。どうやら買い物にでも行くみたいだった。買い物袋を提げている。
悠子さんの後を尾行する、怪しい高校生二名。通報されはしないだろうか。
そんな気苦労をしながら、悠子さんの後を歩き出して少しして悠子さんの近くにワゴン車が止まった。
どうやら運転手が道を聞いてるらしかった。俺がほっとため息をついたのも束の間、いきなりワゴン車の後ろのドアが開き何人かの男が悠子さんを取り囲んだ。
「創野!!」
「あぁ、わかってる!」
走りながら、地面に落ちていた太い木を拾い上げ、それを振り回しながら男達に襲い掛かる。
男達に囲まれていた悠子さんの手を掴み、その場から逃げる。
「走って!!」
どうやら男達は、追ってくるよりも失敗したのでその場から逃げようと車に乗り込んだ。
俺はそこまでを見届け、後はすべて舞衣さんに委ねて悠子さんを連れて走った。
「大丈夫?」
「・・・怖かった。でも創野君が助けに来てくれて。ありがとう」
「お礼なら俺じゃなく、あいつに言ってやって」
後ろを振り返ると舞衣さんが立っていた。悠子さんは舞衣に抱きついた。
「ありがとう。ありがとう河上さん」
近くのスーパーで醤油を買い、悠子さんを家まで送っていく。
「警察に届けなくていいの?」
「大丈夫。あいつらなら今頃捕まってるよ。なぁ?」
「・・・うん」
悠子さんの家の玄関と言うか門の前で別れる際に悠子さんが言った。
「河上さんの事舞衣さんって呼んでいいかな?」
「・・・舞衣でいい」
「じゃあ、私の事は悠子って呼んで」
舞衣さんは照れた頬を赤くして首を縦に振った。
この事件を機会に舞衣と悠子さんはいつも一緒にいるようになった。ちなみに田園コンビの二人も加えての五人でいる事が学校では当たり前のような事になる。
「ねぇ舞衣は球技大会何出るの?」
「・・・悠子と同じのでいい」
「そう? 私はソフトボールに出ようかと思ってるんだ。舞衣はソフトボールでいいの?」
「いい」
球技大会か。そういえば来月の頭にあるんだもんな。今年は何に出ようかね。
「創野君は何出るの?」
「サッカーかな。どうせ田園コンビも同じだろうしね」
「田園コンビってひとくくりにするな!」
「そうだそうだ」
うるさいぞ脇役コンビ。
そういえば、今の舞衣は学校の制服を着ている。いや、学校なのだから当たり前だろと思う方思い出してください。舞衣の登場の時夏も近いのにコートを着込んでとか書いていたような気がするが、あれって伏線じゃなかったの!?
てゆうか夏も近いって今何月なんだよ。
「今は六月だ」
「梅雨の季節だな」
なんかもう滅茶苦茶だなおぃ。
そんなこんなで意気揚々と球技大会に向けて練習を開始するのだった! 体育の時間にな。




