反省会
「あっーーーーー断罪回避ー!!!これで多分入学のタイミングで険悪な雰囲気にならなさそうで安心ね……!」
しかも友情作戦はかなり好感触っぽさそうでこのままだと多分入学式の出会いを特等席で見れそう。ぐふふ…。思わず相変わらず気味の悪い笑みを浮かべている自覚はあるがあの美形カップルの出会いを見れるというだけでも何杯でもご飯はいける。
推しとの直接対面に気付かぬうちにかなりの体力を消費していた私はスイミングの飛び込みのようにベッドにダイブ。もうお嬢様とか知らん。私は水泳選手になるぞ。
そんな様子をダルケルとニーナはなんとも言えない表情で見てくる。
「そうですかねぇ?」
「……うーん」
思ったよりも2人の表情は良くない。え、なに?
「どうしたの……?やっぱまだ好感度上げた方がいい……?」
「いや、公爵様かなりお嬢様に気を許しているように見えたので…………友情どころかもしかしたら……」
「……え!?」
あれが?どう見てもこれからは対等にお互いを尊重し合いましょうみたいな流れじゃなかった?
そんな意図はないあれは友情だと言い張ると2人はさらに淡々と思いを述べる。
「そもそもあの方が女性に対してあんなに優しい表情するのは初めて見ました。」
「そうです。いつも女性に対しては笑顔を見せることなく一時期は仮面公爵とまで言われてたレオン様がお嬢様に……」
「え!そうなの!?」
……あ、言われてみれば確かにそんなシーンあったかも……?ゲームのプレイ中ヒロインとの絡み以外あまり見たくなくてパーティーでのレオン単体のパートはやや飛ばし気味でプレイしてたことに今更になって気づいてしまった。
「記憶喪失になってお忘れかもしれませんがレオン様は女嫌いで有名なんですよ。それもカンペで出せばよかったですね」
「はっ……そういえばあのカンペなんだったの!?」
「お嬢様のアシストになるかと」
「後出しすぎて何もアシストされてなかったけど?」
そうでしたっけねぇと悪びれずに主人に向かって言っちゃうあたり彼は将来大物になりそうだ。
とりあえず今後もへまをしないようにカンペというなのセレナの解説を挟んでもらったほうがいいかもしれない。まさか元のセレナ婚約者から離れないメンヘラまでだとは思ってなかった。まじで恥ずかしすぎる。もう何も聞かないほうが今後のためかもしれない。
「女嫌いか……」
「あのルックスで公爵家の長男ですしね。しかも魔力量もかなり多いそうですよ、国1番の魔法使いのソアン様にも目にかけられているとか」
ハイスペック過ぎるだろレオン様。そして他のキャラとくっつける気あるのかゲーム開発者は。1人を寵愛しすぎだ。設定もりもりすぎて攻略対象実質1人でしょこれ。
……というかレオン様ルートばっかやってて他の攻略対象がぼんやりしてるんだけど大丈夫だよね……?内容あまり覚えてないからストーリーに何か影響あるとかないよね
大丈夫、王子様がいるのは覚えてる。名前は覚えてないけど王子様なんて1人しかいないわけだからすぐにわかるはず。王子ルートは友達がやってたけど確か皇太子妃になりたくてヒロインに何かしら危害を加えて断罪ルートだった……はず。
なんとなくだけど私は死亡エンドだった気がするんだよなぁ。ベッドに寝転がって天井を見ながらなんとなーく王子ルートについて思い出す。
やっぱ怖いから王子とは関わらないでおこう。そもそもゲームではセレナからアプローチしていやいや王子も関わってたストーリーだったはず。こちらから話しかけなければ全然問題ない。そもそも伯爵令嬢なんて王子は興味がないだろう。
うん、王子は気にしなくていい。確か攻略対象はレオン様を含めた4人だったのでレオン様と王子様は覚えているので残りの攻略対象は2人になるがやはり思い出せない。パッケージもうちょっと見ておけばよかった。
でも公爵と王子でかぶるはずない……から、魔法使い?とか騎士になるのかな……いや、教師とかの線も……。ゲームによってはサイコパス?ヤンデレ枠で暗殺者とかいるから油断できないな……
攻略対象すらふわふわした頭の中ではたと気付く。
もう少しちゃんとプレイしておくべきだったのは……?これ、後々に響いたりしないよね……?例えば攻略対象同士の接触とか……。なんとなく血の気が引くような思いを感じながら、まあでもあまり男性と関わらずにすればきっと変な方向にはいかないはず、とめちゃくちゃ大雑把な結論をだして今日はもう寝ようと諦める。
とりあえず困った時は諦めて寝るに限る。
正直断罪されるのは怖いし、推しとヒロインさえくっつけばいいからそこしか考えてなかったけど……。普通に魔法が使える世界はすごく楽しみなので入学式までのこの1年間、入学に向けて頑張るぞと気持ちを入れ替えて私は眠りにつくのだった。
――攻略対象を把握していなかったこと、レオン様が私に興味を持っていないとタカを括ったことを後悔するのをこの時の私はまだ知らない。