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冷たいお茶会2

「……確かにそうだな」

「えっ」

「すまない。君のいう通りだ。」


 震える手を見つめていた視線をレオン様に移すとそこには先ほどとは打って変わって少し穏やかになったレオン様の表情が目に入った。


「俺はあまりにも色んな人間から肩書きや地位でしか見てこられなかったからいつしか自分もそういうふうに人を見てしまっていたのかもしれない……」

「えっいや……でもレオン様の地位であればきっと少しでも取り入ろうとする人はいたはずなので……その……」


 思わずフォローしてしまった。だってすっごく寂しそうな目をするんだもん。あんなにイケメン極めた人が少し寂しそうにしてるんだよ!?放っておけっていう方が無理!


「君は……少し変わったようにみえる」

「え、そ、そうですか???そうかしら〜?」


 人が変わってるんです中身ばりっばりの日本人で〜す⭐︎転生2日目です⭐︎なんて言えない!バレちゃいけない!!この1ヶ月の間に大人の階段を登るようなことがあったのだと勘違いしてほしい。実際(入れ替わり)あったのだけど。

 

 相変わらず滝のように流れる冷や汗を纏いながらなんとか頭の中で軌道修正できないか考える。なんとか今までのキャラとブレすぎない程度に好意を寄せつつ違和感がないようにマイナスの好感度をゼロに戻す作業に全力を尽くさねば。


 ……でも、今までゲームのキャラだし、と思ってたけどレオン様が1人のちゃんと生きてる人間なんだということを実感してこちらも少し反省する。なにより不信感を先に抱かせたのはこちらなのに嫌いな人間の意見に対してもちゃんと素直に受け止めるこの人と真っ直ぐ向き合いたくなった。意を決して立ち上がり真っ直ぐレオン様の方を見る。


「そ、その。今までの私がやってきたことや不快な言動に関してはすみません。心から反省しています。……あなたに許していただこうとは思っておりません。責任を持ちます」

「……」

「あなたをお慕いする気持ちは今までとは変わりません。(ゆくゆくはヒロインとくっつけますけど。)ですが私もこれまでの振る舞いについて反省しております。今までの私は幼稚でした。どんな行為や程度であれ押し付けるのもアプローチだと。

 ですがそれは本当に好きな相手なのであればするべきではありませんでした。好きな人の嫌なことはしたくありません。」


 今はさっきみたいに言い捲し立てたりしなくていいから一度息をつく。


「あなたともう一度正面から向き合ってお付き合いしたいのです。お友達からはじめていただくことは可能でしょうか」


言い終えた途端私は心の中でガッツポーズした。よし、言いたいことは言えた。

 ほんとはゆっくり好感度をゼロに近づけようとしたけどレオン様につい暴言を吐いてしまって変にブチギレ処刑コースになるよりもう真正面から腹を割って話してお友達になろうよコースに軌道修正したのだ。

そしてソフィアとくっついてくれ。お願い。


「……」


 沈黙が長い、息が詰まりそう。そんなに長い間呼吸を止めることは難しい、私の尼さん能力を発動させないでほしい。


「君の言い分も一理ある、俺も確かに君を先入観で見ていて言っていることを無視していた」

「……えっと……?」


 一理ある?いや、二言目には求婚するストーカー令嬢ですけど!?レオン様なんかとんでもない勘違いをしてるんじゃないかと、とんでもない冷や汗パート2が出てきた。

 合っている。レオン様の認識はあっている。二言目には求婚して治癒能力というたまたま持ち合わせた力で婚約を迫るというダメ人間、悪役を極めた人間の認識であっている。


 まあ正直友達にはなりたくないと思うけど断罪されるのも嫌だし推し2人がいちゃいちゃしてるのも近くで見たい欲張り令嬢になってしまったため何がなんでも友達になってほしい。


「君なりに本気で好意を俺に伝えていてくれたことはわかった。他の女と一緒だと思って確かに君の話を半分も聞いていなかったのは俺も反省しよう」

「えっ」

「それに君みたいに正直に思いをぶつけてくる女性は初めてだったしな」

「はっ……!?」


 レオン様とんでもない方向に勘違いしてる……!?いやこれ絶対そうだ。とんでもないすれ違いが起きている。

 お友達作戦にするつもりがまさかの今までの好意は本気でそれを伝えるために今後は心入れ替えます作戦みたいになってしまっている――――!?


 持っていきたい方向にコトを運べず焦っていたがふと、好意を持ってると思ってもらったままなんとなーく過ごせば平穏に入学式まで過ごすことができるのでは?という考えが頭をよぎった。


 元々恋愛に興味がなさそうな人だし月1のお茶会をこなしていればそんなに悪い方向にはいかない……かも?

 むしろ今日変なことになってしまった分、これからのお茶会でまともな人間のふりをすればきっと学園生活もまともな生活になる……はず。


「では……その」

「君が過去に俺に過激なアプローチをしていた過去は確かに消えない。そして言葉ではなんとでも言える。君の今日の態度が俺の興味を惹きつけるための演技だとも疑ってすらいるんだ。もし今日のこの言葉が本気であると証明したいなら言葉ではなく行いで示すべきだ。

 ……そしてまた俺も未熟だったのは認めよう。

君が良ければまた関係を改めることを許してほしい」


 そう微笑んだレオン様の笑顔はまるで絵画の女神のようだった。もう心の中でスタンディングオベーション、なんなら拍手喝采までも聞こえる。人間美しすぎると性別を超越するらしい。待ってドキドキするから笑わないで。好きになりそう。オタクにはきついです。


 色んな安堵感からか、レオン様の慈悲深さを早速感じてしまったからか思わず声が震えそうになるがここは言葉で伝えなければ。

 

「はいっ……!ありがとうございます!」


 川田はるか……、じゃなかった。セレナ・ヴィクトリア、順調に断罪回避ルート進めそうです?

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