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ダブルデート編5

「ノア様はとても女性から好かれやすいんですね」

シアー様は少しだけ苦笑いを浮かべながら答えた。


「我が弟ながら、あの顔立ちに魔力量も年齢にしては多いし将来有望なのよ……でもね、あの子自身を本当に好きだった子はいなかったのよ」

その言葉に、私は思わず目を見開いた。

「え……?」

シアー様は神妙な表情を浮かべ、少しだけ笑みを零した。


「みんな、あの子の見た目や頭の良さ、いわゆる“ハイスペック”なところに惹かれてただけで、心から愛してたわけじゃなかったのよ。私も止められる時は止めたけど、あの子を好きな子は多かったわ」

「そうなんですね……」

 聞いてて耳が痛い、転生する前のセレナもレオン様に対して似たような状態だったはずだから他人事には思えない。


「だから、あの日のノアを見た時は、何がなんでもわけを聞かねば!って思ったのよ」


「あの日?」

ノア様に気に入られた素振りはあったけど、ノア様にとってそんなに大きな出来事だったのだろうか。シアー様とアーサー様が顔を見合わせて、楽しそうに微笑んだ。


「パーティーの日、ノアはすごく楽しそうに帰ってきてね。最初は聞いてもはぐらかされたけど、普段仏頂面なあの子が嬉しそうにしてると気になるでしょ?」


「た、確かに」


私も、もしノア様がそんなに嬉しそうだったら、つい構いたくなるかもしれない。あの人の近寄りがたい雰囲気が、ほんの少し和らいでいたら、放っておけない気持ちになるのも当然だ。


「だからあの子の部屋にまでついていって話聞くまで出ていかないしあなたも出て行かせないから!って言ったのよ」

「え、ノア様に……?」

 思わず顔が少し引き攣る。あの人にそんなこと言える血筋ほんとすごいな。

 

「そこはほら、シアーは姉だから」

「は、はあ……」

「そしたらあの子渋々女に口説かれてたら変な女が乱入してきて止めてくれたって言ったの」

「変な女?もしかしてなくても」

「「あなたのこと」」

「ですよね」


 おもしれー女じゃなくて変な女だった。うん、合ってる。密かに傷つきながら続きを話したくてしょうがないと言った顔のお姉様の言葉に耳を向ける。


「変な女の子って言っちゃったけどノアってばすごく嬉しそうでこっちまで嬉しくなっちゃったの。男の子でも女の子でもノアのことを助ける子がいるのが嬉しくなっちゃって」

「俺も翌日ノアに会ったけど柄にもなく浮かれてたよな」

「そうなの。だからその女の子に会いたくてノアに今回のダブルデート頼んだんだ〜!ノアはオススメよ!ほんと最初は愛想悪いしかなり人選ぶけど1回懐くととことん甘いから」


 なかなか親戚らしく辛辣な言葉を並べつつもニコニコと上機嫌そうである。婚約者殿もそんなシアー様を見て満足している。無言の惚気である。私でなきゃ見逃しちゃうね。


 確かにノア様は最初私にもかなりの言い草だったけど気に入ったそぶりを見せてからはずっと口説かれているような気がする。


「だってノアは昔ね、」

「勝手に過去の話をするのはやめてくれるか?」


 ダンっと効果音をつくレベルでテーブルに勢いよく食事が置かれる。トレーに置かれている料理を見るともはや料理のチョイスもセンスがいい。

 

「わ!ありがとうございます!すごく美味しそう」

「さすがノア!私の好みよくわかってるわね?」

「俺のも。我が弟よ!」

「うるさい」


 ぶっきらぼうだけどきっと家族だからこそ心を許しているからこそのこの態度なんだろう。そう思うと少し心の奥がくすぐったくなる。

やはり彼は見た目通り女性から好かれやすいらしい。セレナは有名な悪女でレオン様しか追いかけていなかったからモテるモテないがいまいちわかってないし、川田はるかだった頃も恋愛経験ゼロだったから苦労はわからない。

 けど、今日だってわかりにくい優しさが伝わってくる素敵な方だ。思わずノア様を見つめていると隣から生暖かい視線が二つほど感じる。


「セレナちゃんったらノアを熱く見つめちゃって〜初々してくてこっちがドキドキしちゃう!」


 きゃー!と可愛らしく声を上げながら両手で頬を添えて、足をばたつかせるシアー様は相当乙女らしい。


「こいつは気にしなくていい、これで良かったか?」

 さりげなく必要なものを目の前に並べてくれており、食べ物もパスタを選んでくれていた。見た目が見たことがないソースなのはこの世界の独特なものだろうか?凝視してしまったがなんとなくノア様が気になるそぶりを見せたのでハッと我に帰る。


「ありがとうございます!美味しそうです!」

「……っ」

 食欲につられにっこりと笑顔を受けると思わずノア様に顔を背けられてしまった。

 思わずショックを受ける。今の私ってそんなに悪女顔してたのかな……。手を頬に添えて心配になっているとシアー様が笑い出した。


「ノアってば照れちゃって」

「今のはすごく恋人っぽかったな」

「なっ、こいび……!?」


 恋人!?私とノア様が!?ないないない!こんな美形と1秒でも付き合うってなったら全ての徳を使い切ることになってしまう!


「多分これを選ぶ時もセレナちゃんの好みを考えながら頼んだと思うよ」

「ノアってばそう言うところほんと抜け目ないんだから〜」

「セレナちゃんがお礼言った時も笑顔が可愛くてつい驚いちゃったんだよね〜?モテてはいるけど初恋はまだだもんね?あ!今か〜」

「勝手に話を作るな」


 顔を背けて表情までは見えないが否定するノア様の耳は赤い。全ての血液がそこに集中してるのかと思ってしまうほど赤くなっている。


 ちらりと盗み見するとノア様もこちらを見たのかバッチリ目が合ってしまった。

「……!?」

 目が合うと思ってなくて思わず思い切り目を逸らしてしまうがついまた見てしまった。


「……!」

 

 まだ頬が赤いが真っ直ぐにこちらを見ているノア様と目を合わせる。今度はお互い目を逸さなかった。真摯な瞳が真っ直ぐ私を貫く。鼓動がうるさい気がする。私がピュアラブの攻略キャラと恋愛をするなんて怖いからできないけどそれを抜きにしても魅力的な人すぎる。

 

 そのことについてまたリム様たちに揶揄われたけどしばらくついドキドキしてしまった鼓動は収まりそうになかった。

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