ダブルデート編3
馬車の中でそれはもう口説かれまくった私は半分魂が抜けた状態で目的地に到着した。出る時も相変わらず当然のように手を差し伸べられた。ドレスに気をつけながら馬車を降りると目に入ってきた景色は――……
「わあ!大きい……!」
目の前に広がるドーム型の建物。噴水も建てられておりアーチのように緩やかな円を描いている。これももしかして魔法なのかな。
植物園の敷地自体も東京ドーム何個ぶんの大きさ?と計算ができないほどに広い。思い返せばこっちの世界に来てここまでの娯楽施設は来たことがなかったのでとてもワクワクする。
目の前の魔法が使われているであろう施設に目を奪われていると後ろから人の気配がする。
「まあ!もしかしてあなたがノアの王子様?」
「ノアにまさか彼女が出来るなんてな」
振り向かなくてもわかる。絶対に従姉妹さんとその後婚約者様だ。もうモロすぎる。分かりやすすぎる。
おそるおそる振り向くと――思わず言葉を忘れてしまいそうな、それはそれは綺麗なお顔×2が出現して時が止まった。
美形すぎる……!従姉妹のお姉様もヒロインに負けないくらい顔面が強い!!!
急に心拍数が上がり思わず心臓を手で抑える。これはノア様があの顔面になったのも頷ける。顔面DNAが強いんだわこの家族!!ありがとう世界!
心の中でガッツポーズをして感動に浸っている中、従姉妹さんと婚約者殿は勝手に交流を深めていく。
「まあ綺麗な髪色!これはもちろん地毛よね?」
「そうだと思うよシアー。髪色を変えるのは変身術で習うからね。この子はまだ入学前だろ?」
「確かにそうね!大人っぽいからつい同級生だと思っちゃった!」
それはもう美形が私の髪やらほっぺたをぺたぺた触るおかげで身動きが取れずにいた。見た目が良すぎる緊張感なのか実は王族で無礼を働かないかの緊張感なのか身動きができない。
この方達も王族……。不敬しちゃダメだ不敬しちゃダメだ……。心の中の○ンジ君が叫んでる。
「おい、俺が連れてきたんだ。ベタベタ触るな」
「やーんノアってばチケット買ってきてくれたの?ありがと!」
「今日は彼女とのデートだろ?あまりそういう顔をするな。せっかくのイケメンがもったいないぞ?」
なんかもうみんながみんな違う方向向いてるんだけどギリギリコミュニケーションになってはいそう。ノア様は嫌な顔してるけど。
どうやら私が従姉妹に捕まっている間にチケットを買いに行ってくれてたらしい。王子様に買いに行かせるってどゆこと??
とりあえず顔だけでなくエスコートも完璧だ!もしまたピュアラブをプレイする時ノア様ルートもやろう。と、意気込んでいるうちにも3人は独特のコミュニケーションを取っていた。もはやこれが王族流のコミュニケーションなの……?
ひょこっと従姉妹さんの婚約者が手を差し伸べながら挨拶をしてくれた。
「あの女嫌いが女と遊ぶのは初めてだろ?気になるな俺も。親戚とはいいつつほぼ家族ようなものだからな。初めましてお嬢さん。おれはこの仏頂面ヅラの義兄にあたるアーサーお義兄さんだよ。気軽にお兄様って呼んでね」
「まあ!アーサー私よりも先に挨拶するなんて!」
可愛らしく唇を尖らせハンサムな婚約者に頬をぷくっと膨らませて怒ってることを見せつけていたその姿が可愛いのなんの。くるっとこちらを向くと女でも見惚れてしまいそうになる笑顔を見せられた。
「私シアー!あなたがノアの王子様ね!会いたかったの!あのノアがパーティーで嬉しそうに帰ってくることなんて一度もなかったからすごく気になって根掘り葉掘り聞いちゃったんだ〜!ねえねえ、名前を教えて?ノアったらあなたの名前教えてくれないのよ〜?」
「別にいいだろう。早く行くぞ」
「何よノア!1人でその子を独り占めしちゃって!姉さんは独り占めするように育てた覚えはないよ!」
「従姉妹であってお前は俺を育ててないだろ」
「まあ!なんてこと言うの!」
……どなたか常識人の方はいらっしゃいますか?カオスな空間すぎて思考停止でお送りしております。皆さんとてもスタイルがよろしくて私の頭の上で会話するのやめていただいてよろしいでしょうか?股下何メートルですか?
右手には私を抱え込むようにエスコートしながら歩くのノア様が、左手には腕を組みながらもはや私ではなくノア様にアタックしているシアー様がいらっしゃる。
なるほど、一筋縄で行かなさそうな方達だ。絶対に気づかれないようにため息をつきながら植物園の入り口に向かった。
コロナになってしまって更新が遅れました。健康第一。




