とあるカフェにて2
〜前回までのあらすじ〜
よう分からんことを聞かれた
「……ノア様ですか?」
「そうだ、……言い寄られていただろう」
眉を寄せながら聞かれたけど感情がよく読み取れない。どう言う感情?幼馴染にちょっかい出したと思われている?
……いや待てよ。ここはノア様に好意を寄せてる風に演出した方がいいのでは……?王子ルートに行くのも怖いから好意をちらつかせてとりあえず今はレオン様と円満婚約破棄に向けて頑張るいいチャンスなのでは……。
「……ノア様見てびっくりしました。あまりにも人外レベルのイケメンすぎて。というか、」
そうだ、これ1番気になってたことだ!覚醒したように目を開き目の前のイケメンに詰問をする。
「そうですよ!聞こうと思ってました!」
「騒がしい」
「騒がしくもなりますよ!カフェのに行った時、王子がくるって言ってたのはノア様のことですよね!?」
「そうだが?」
「なんでノア様が王子って教えてくれなかったんですか!?」
おかげで王子ルートも怖くて避けてたのにガッツリ関わっちゃったじゃん!声だけしか聞いてない状況で顔知ってても無理があったけども!
きょとんとしてまるで不思議な生物を見るかのような視線を向けられる。やめてそんな目で見ないで。
「……かなり前に王子のノアとは幼馴染と言っただろ?まあ婚約者になったばかりの頃でその時しか言ってないが……」
セレナー!!!!!あんたどうでもいいレオンのことばっか情報を集めて日記に書いたりするのはいいけどこっちは心入れ替えた絶対で記憶喪失とは言ってないんだからもっとあんたの記憶書いて!どんだけレオン様にしか興味なかったの!?おかげで会うまで王子ってわからなかったしびびったわ!
「あまりノアには興味なさそうだったからあまり言わなかったが王子だってことは学院では言うなよ。」
「ちょっと納得いかないですが分かりました。……まあとりあえずノア様すごく素敵な人でしたけども……」
あのパーティーのノア様を思い出しながら魅力を語りだす。あの銀髪の髪と赤い目は神秘的だったなぁ。私が元日本人で見慣れてないっていうのもあるけどこっちの世界に来てからもなかなか銀髪は見ないもんなぁ。こちらの世界でも希少そうだ。さすが王族。イエス王族。
「は?」
「え?」
まだまだテーブルの上に鎮座してるお菓子を手に取ろうとすると目の前のあまりにも殺伐とした風景にお菓子を落としてしまった。
目の前の男もなかなかの男前なのだが、さすがイケメン、キレ顔も様になっていて驚きだ。というかめっちゃ怒ってる。なんで?やっぱ幼馴染に手を出すなと言うこと……?我慢して!ヒロインとあなたをくっつける必要があるから……!!!婚約破棄するためにもノア様ラブコールさせて!
「あの威嚇してる獣のように振る舞っておきながらたまに見せるあの笑顔や人懐っこさを見てしまうとギャップでやられちゃいます。ノア様かなり好きです」
「君は私の婚約者ではないのか?」
「そうですけど私とレオン様はお友達のはずです。なので他に好きな人ができちゃうのはしょうがないです」
「不貞行為に当たるのでは?」
なるほど。確かに私たちの本当の関係はさておき、親同士が婚約を認知している限り第三者の目があるのだからそう簡単には他の人とは恋愛はできないだろう。
「じゃあ婚約解消しますか?それでお友達を続けるのはどうでしょう?」
ぽろっと出た言葉だった。
勘違いしないでほしい。これはレオン様にヒロインとくっついてほしい気持ちと若干私の中でノア様に魅了されてしまった気持ちと目の前にいる感情が読めない男が望んでいそうなことをくみ取った気持ちがフュージョンして発せられた言葉なのである。
レオン様の目が見開かれる。その表情もいいな……。ごちです。
「君は本当にあの日から変わったな。それはもう私のことは好きではないと言うことか?」
「お慕いはしておりますがレオン様とは対等でいたいので場合によってはそれも仕方ないことなのではないかと思っています」
「慕っていれば婚約解消などと言わないのでは?」
「相手の気持ちが伴っていないのに婚約をするのは良くないと思いまして。むしろお友達でレオン様も煩わしいと思っているならありじゃないですか?それこそノア様にもそのようにおっしゃっていたのでしょう」
正直婚約を解消してもいいのだけれど妙にレオン様がつっこんでくる。どんなにめんどくさい人間もいざ離れるとなると名残惜しさを感じている?この欲張りさんめ!!!
「レオン様、友人として助言しますとあなたは清楚で優しくてもしあなたが落ち込んだ時も叱咤激励できる強さを持っている女性がお似合いだと思うのです。」
そう、ヒロインと。おねがいだからくっつけ。お金なら積むから。そして近くで応援させてお願い
「ずいぶん具体的だな?まるで実際にいるみたいだ」
「あなたみたいに完璧な人間もいるので探せばいるはずです!あなたに見合う女性が!来年あたり!」
机に手をついて食器を揺らすほど熱弁してしまう。早くヒロインと出会ってあの感動的なスチルを見せてほしい。ヒロインにも早く会いたい。
絶対に可愛くて清廉で優しい人に違いない。もうレオンとくっつくべきでしょ!レオン様だって私のこと嫌いなんだからむしろ喜んでくれるはず。そう嬉々として提案したのにも関わらずこの男は――……
「断る」




