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全員揃ったパーティー3

〜前回までのあらすじ〜

社会勉強編、スタート!!!


「ノア様が私と仲良くするのはメリットもあるのですよ?」

「……どんな?」

「ノア様は男爵令息ですが私は侯爵令嬢!身分的に私が上になりますわ!婿入りすればノア様は侯爵になれますのよ!」

「……」


 ……なんだろう、身勝手すぎない?あまりにも自分の身分を盾に相手に一方的に押し付ける会話にイライラが止まらない。


「ノア様だって色んな女性に言い寄られて大変でしょう?私を婚約者にすれば大事な人がいるからと一蹴できますのよ!」

「そんなことのために君を婚約者に?」


 はっと鼻で笑って一蹴されている雰囲気を感じた。あまりにも馬鹿馬鹿しすぎて相手にしていられない……そんな声も聞こえてきそうな態度だった。


 そしてそれ以上はやめてくれノア殿。治癒能力を売りに無理やり婚約まで漕ぎ着けた女が今盗み聞きしてるから。その技は私に効く。


「あとは……そうね、ノア様ほんとは甘いものがお好きなんでしょ?」

「「……??」」


 多分今思わずノア様と私のリアクションは被ってしまったと思う。急に甘いもの?なに?怖いんだけど。さっきからこの子言ってることが一方的すぎて狂気を感じる。


 ……もしかしてこの子が最近パーティーで男性に声をかける子?なんとなく直感だけどここまで激しいアピールをする子は他にいなさそう。


 ノア様とやらからため息が聞こえてくる。そりゃこんなモンスターの相手をしてたらため息もつきたくなるだろう。


「別にどうでもいいだろう」

「あら、否定はされないのね?私知ってますのよ堅物で真面目で有名なあなたも甘いものには目がないって。人目を気にして甘いものは食べないようですけれど」

「……それで?」

「身分が低いゆえに見聞を気にして人前では好きものが食べれないのでしょう?地位が上がれば甘いものを食べることができますのよ!」


「「……」」


 気が合うなノア様。無言だけど私も同意見だ。


 さっきからこの子、一方的に好意を押し付けてるし唯一持ってる弱みとして甘いものが好きなのをバレたくないだろうって言ってるけどそれほど弱みと言われるほどの情報ではない。もしかしてこの子、他にも弱みを握ってるつもりで男性に言い寄ってる……?


 顔は覚えておいた方がいいかもとどうにか2人の姿を見ようとバルコニー前の廊下の壁ギリギリまで近づく。けど絶対私もバレるんだよね……さりげなくバルコニーから出れば目立たないかな……


「そもそも、男性で甘いもの好きって気色悪いですし知られたくありませんよね」

「……」


 は?思わずここから逃げ出すことをやめて顔も知らないご令嬢に苛立ちを募らせる。


「やっぱ男性にはカッコよくあって欲しいわけですよ。強くて自分にだけ優しくてスマートで恋人の願望があれば全て叶える……そう言う人がかっこいいんですよ」

「ではそういう男に言い寄ればいいだろう」

「ノア様そのものではありませんか!まあ思ったよりも身分が低いですけど……うちに婿入りして頭角を表せば爵位も上がるでしょうし!」

「……そうか、君は小説家に向いてるかもな」


 ノア様の皮肉にも決して怯んでない令嬢はもう現実を見れていないのがわかる。明らかに拒絶されているのにも関わらず全く気づいていないらしい。

 

「……さっきから私に興味がないそぶりをしてらっしゃいますけど演技なのでしょう?」

「……は?」

「私ほど可愛くて地位のある人間は貴重ですのよ!貴方みたいに顔と真面目が取り柄だけの男爵令息に好意を寄せてやってるんだから少しは嬉しそうにしなさいよ!」


「それはおかしいんじゃない!?」

 さっきまでのどうやって気にされずに逃げるかを忘れ、バーン!と2人の前にヒーロー役のように飛び出した私。もう我慢できない……!


「黙って聞いてれば地位だ顔だ……!失礼にも程があるわ!」

「な、なんのよあんた!」


 目の前に姿をさらしていざ顔を見れば確かに可愛い。乙女ゲームで基本モブですら綺麗な顔をしているこの世界の中で明らかに制作者が頑張って作りました!と言える見た目をしている。が、性格があまりにもお粗末だ。


「別にどんな地位や顔だっていいじゃない!理想通りの好みじゃなくたって!貴方はまるで買い物感覚で殿方を見てるようだけど地位が高かろうが低かろうが人間にはいいところも悪いところもあるでしょ!本当に好きならその人の全部好きになるべきなんじゃないの!?」

「はあ!?あんたには言ってないし興味ないんだけど!」

「貴方が誰に言い寄ろうとどうでもいいけど、相手を貶して自分をよく見せようとする人間なんてお里が知れるのよ!」

「ムカつく…!なんなのよあんた!」

「そこまでだ」


 凛とした声にヒートアップしかけてた私と彼女の言い争いが終わる。もちろんその声は先ほどまで淡々と彼女の相手をしていた彼の声だ。不思議と彼の言うことに従おうと思ってしまう魔法だと


「今日は魔法学院入学前の顔合わせという大事なパーティーだ。俺はパーティーに戻る」

「そんな……!」

「いい加減にしろ。国の存亡に関わることだからと無理やり俺をここまで引っ張ってきたのは君だろう」


 ジト目で彼女を見つめてしまう。え、そんな大層な嘘をついて口説こうとしてたの?一世一代の口説きだったってこと?


 ノア様とやらがこちらを見る。


「そして君。盗み聞きは感心しないな」

「……おっしゃる通り……ですが、バルコニーで休んで勝手に始めたのはあなたたちです……」


 ごめん、盗み聞きは悪いと思ってる。けど勝手に始めた方も悪いと思うんだ。つい言いたくなってしまって言い返してしまう。


「ふっ……この状況で言い返すその度胸……まあいい。君に免じてこの事は無かったことにしよう」

「はあ!?この私がっ」

「そもそも俺は君みたいに色んな男に言いよる品のない女は嫌いなんだ」

「なっ……!」


 今度こそ言葉を失ったご令嬢は目の前の麗しい男爵令息を見つめることしかできないようだ。見た目いいのに性格が残念すぎて確かにその魅力も半減に見える。

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