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ウィリアム英雄譚  作者: すしタマゴ
第1章 すべての始まり
4/23

4

5人でパーティーを結成してからは、快進撃の連続だった。


5人それぞれが特別な才能を発揮し、的確な連携で次々にモンスターを仕留めていった。

前衛ではダリウスがモンスターの注意を引きつけ、攻撃を受け止める。

ヴァルターは遊撃として急所を突き、一撃で仕留める。

中衛ではウィリアムが前衛を強化し、敵の弱体化を図る。

さらに、投擲でモンスターの体勢を崩し、隙を作る。

イリスは魔術で牽制し、時には強力な魔術で敵を撃破する。

前衛の2人が瞬時に離脱することで、中衛のウィリアムとイリスが空いた射線から攻撃を放ち、モンスターを混乱させることもあった。

後衛にはミレーネが控え、全員が彼女を守りつつ、負傷した仲間を即座に回復させ、戦線に復帰させた。


5人はついに、Cランク魔物の頂点であるワイバーン討伐に成功。

ワイバーンの素材で新たな装備を作り、余った素材を売却して活動資金を得た。


念願の魔領域挑戦の準備が整い、彼らは活動拠点をストームヘイブンに移すことにした。

ストームヘイブンはオルドリア王国の南方に位置する城塞都市で、王都に次ぐ国内第2の都市である。


城塞都市とは、対魔獣を想定して設計された堅牢な都市であり、魔領域の前哨基地としても機能する。

Bランク以上の冒険者が多数在籍し、魔領域からもたらされる貴重な資源や素材の取引が盛んで、経済活動が非常に活発だ。


ストームヘイブンのさらに南方には、大陸屈指の広大な魔領域が広がっている。

観測できる範囲で約800万平方キロメートルもの広さがあり、その奥には未解明の禁域も存在するとされている。


オルドリア王国は魔領域攻略を国策とし、ストームヘイブンには多額の投資が行われている。

冒険者向けの支援活動や優遇制度が充実しており、国内外から多くの冒険者が集まる拠点となっている。


ストームヘイブンを統治するのは、レディ・ヴィクトリア・ブラッドレッド伯爵だ。

ブラッドレッド一族は、デューク・レオナルド・グリフィス公爵の傘下にあり、ヴィクトリアは一族の代表としてこの都市を治めている。


さらに彼女は、クリムゾン・シンジケートという商会グループを率いており、この商会は大陸屈指の大手として様々な事業を展開している。

魔領域から得た資源の貿易事業、都市間を結ぶ交易路や定期便による物流、モンスター素材を使った装備品の製造販売、宿泊業や飲食業、さらには研究開発への投資など、多岐にわたる事業を手がけている。


また、私兵団を有しており、警備や護衛、戦闘要員の派遣事業も展開している。

これらの事業によって、彼女の影響力は国政や軍事分野にまで及んでいる。

特にストームヘイブンでは、経済活動を通じてクリムゾン・シンジケートと関わりを持たない者はいないほどだ。

都市がもたらす莫大な利益はすべて伯爵の元へ集約されている。


5人はストームヘイブンを拠点に、いよいよ魔領域へと挑戦を始めた。

彼らはそこで実力を遺憾なく発揮し、多くの功績を残した。

順調にBランクへと昇格し、数年で最高ランクのAランク冒険者にまで上り詰めた。


そして、そんな彼らに転機が訪れる。

ヴィクトリア伯爵からクラン設立の支援を申し出られたのだ。

クランは数百名を超えることもある冒険者の集団であり、クラン設立は冒険者にとっての最終目標の一つでもある。


クランを設立する最大の利点は、活動の安定性だ。

パーティーは主要メンバーの脱退や負傷により活動停止のリスクを抱えるが、クランなら他のメンバーが代わりにその役割を担い、安定した活動が可能となる。


さらに、知名度と実績を持つクランはギルドを通さず、直接依頼主から依頼を受けることができる。ギルドを介さない依頼は、手数料や仲介料が不要で、依頼主にも冒険者にもメリットがある。

大口の依頼や警護、キャラバンの護衛といった高額案件も、クランであれば対応が可能だ。


こうした理由から多くの実力者がクランを設立し、引退後は経営に専念する道を選ぶ。

しかし、クラン設立には厳しい審査があり、リーダーやメンバーの身元調査や犯罪歴の確認が入念に行われる。


さらにクランは活動内容を毎月当局に報告し、年に一度は監査を受ける義務がある。

財務状況や犯罪組織との関係を調査され、基準を満たさない場合はクラン資格を剥奪される可能性があるため、慎重な管理が求められる。

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