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ウィリアム英雄譚  作者: すしタマゴ
第1章 すべての始まり
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3

ウィリアムとヴァルターは、わずか1年でCランク冒険者に到達した。

これは驚異的な成長速度であり、多くの冒険者から嫉妬と羨望の目を向けられた。


この頃、彼らにとって転換点となる出来事が起きる。

それが、イリス、ミレーネ、ダリウスとの出会いだった。


2人はCランクに到達したが、同時に限界も感じていた。

2人だけのパーティーでは負担が大きく、連携の幅にも制約があったのだ。

彼らは魔領域への挑戦を目指していたが、このままでは早死にすることは目に見えていた。


魔領域とは、魔素が濃く、魔獣が跋扈するエリアを指す。

人間が暮らす通常エリアには主に魔物が存在するが、魔物と魔獣には発生や生態に明確な違いがある。


この世界には魔力が存在し、生物の体内にあるものを「魔力」、体外に存在するものを「魔素」と区別している。

どちらも同じエネルギーだが、魔素はあらゆる物質に宿る。

魔術師は体内の魔力を触媒にし、外部の魔素を操作して、炎や雷などの物理現象を生み出す。


Bランク以上の冒険者は、魔素との適合率が高いケースが多い。

一般人の魔素適合率は数パーセントだが、魔術師や才能ある冒険者は数十パーセントに達することがある。

魔素適合率が高いほど、少ない魔力で魔術を扱い、より強力な力を引き出せる。


剣士などの戦士タイプの冒険者も魔素の恩恵を受け、超人的な身体能力を発揮する者がいる。

魔素によって肉体に影響が現れ、一般人よりも強靭な肉体や長寿を得る者もおり、150年以上生き続ける魔術師もいる。


魔物は元々ただの動物だったが、魔素の影響で突然変異を遂げた存在だ。

繁殖し、群れを形成するという特徴があるが、魔獣に比べて単体の脅威度はC〜Eランクに留まる。


魔物の問題はその数の多さにある。

特定の条件で生態系が崩れ、特定の種が異常発生するスタンピードが発生することがある。

魔物のスタンピードはBランク以上の総合脅威度として分類されるが、魔領域に活動の拠点を置くBランク冒険者は地方都市に不在がちであり、スタンピードによって開拓村や地方都市が陥落することもある。


魔獣は群れを形成せず、単独で行動することが多い。

魔素の濃い魔領域を中心に生息し、その脅威度はすべてCランク以上に分類される。

そのため、魔領域に挑戦できる冒険者はCランク以上に限られる。

特に魔領域の中心部にはB・Aランクの魔獣が多く、人外や化け物と称される冒険者でも命を落とす。


過去には300年前、魔獣によるスタンピードが発生したという記録がある。

当時のレグナス大陸は魔獣によって70%が制圧された。

この事件を教訓に、冒険者ギルドが創設され、冒険者によるモンスター討伐が制度化された。

ギルドの調査により、魔物や魔獣の生態が少しずつ解明されてきたが、魔獣の存在は依然として人類にとっての脅威である。


ウィリアムとヴァルターは、魔領域への挑戦の第一歩として、ワイバーン討伐を目指していた。

ワイバーンは単体脅威度Cランク、群れで活動することを加味すると、その総合脅威度はBランクに分類される。しかし、2人だけでは不可能と判断し、新たなメンバーを探していたところ、イリス、ミレーネ、ダリウスと出会った。


イリスはCランクの女性魔術師で、魔素を精密に操作し、詠唱を短縮または破棄して魔術を発動する実戦型の魔術師だ。

通常、魔術には詠唱が必要だが、イリスはその時間を短縮することで戦闘での隙を減らしていた。

詠唱の破棄には高度な魔力操作と精神力が求められ、その技術を持つ彼女は非常に貴重な存在だった。


ミレーネはCランクの回復魔術師だ。

彼女は元々医師を志しており、人体に詳しいため、回復魔術の精度が非常に高い。

回復魔術には大量の魔力が必要だが、彼女はそれを正確に操り、負傷者を治療する。


ダリウスは2メートル近い巨漢で、大盾を使い、敵の攻撃を引きつけるタンク役のCランク冒険者だ。

彼の盾には魔術式が組み込まれ、物理攻撃や魔術攻撃を軽減することができる。

さらに盾の内側には剣が装着されており、隙を見て反撃も行うことができる。


この3人は元々同じパーティーに所属していたが、メンバーの引退により解散していた。

彼らもまた、魔領域への挑戦を目指しており、ウィリアムとヴァルターと目標が一致したことから、新たなパーティーを結成することになった。

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