●7章のあらすじ
エリオンは魔王城でひとり、ネクロザールの死体を前に、前世を振り返った。
ネクロザールが聖王アトレウスであり、自身が聖妃アタランテであった過去を、思い出す――。
聖王アトレウスと聖妃アタランテが世に出る前――。
ゴンドレシア大陸の二十国のひとつアルゴス国は、大国だった。
この当時、飢えや干ばつなどの災害が起きると、竜のお告げで生贄を出していた。
アルゴス国ティリンス村の村長の娘アタランテは、竜の娘と呼ばれ、人の傷を癒し心を操る不思議な力を持つ。その力で、生贄の儀式で群衆の悲しみを癒していた。
ある生贄の儀式に、幼馴染の魔法使いヒッポメネスと参加した。アタランテの両親であるティリンス村の村長夫妻タラオスとメロペは、二人を結婚させようと望んでいた。しかし、アタランテは結婚を渋っていた。儀式でアタランテは、王の護衛アトレウスと出会う。
アタランテとヒッポメネスは、アルゴス王メレアグロスに呼び出される。
アタランテは妃になれと命じられた。
この世界の王位は世襲制ではない。竜が魔法使いを選び、優れた魔力の持ち主が王や村長となる。
アタランテの両親ともに魔法使いだった。このためメレアグロスは、アタランテに子を産ませれば、その子が竜に選ばれた王になると考えた。
メレアグロスにはすでに王妃と孫がいる。アタランテは嫌がるが、幼馴染ヒッポメネスは、長年アタランテに素っ気なくされた恨みから部屋を出る。
メレアグロスのアルゴス一の魔法に誰も逆らえない。アタランテが諦めたとき、王の護衛アトレウスが駆け付け、彼女を救う。
翌朝の玉座の間で、メレアグロス王と王妃、重臣、アトレウス、アタランテが揃う。
アトレウスはアタランテへの愛を告白して、メレアグロスを挑発する。
怒るメレアグロスはアトレウスに炎の魔法をぶつけた。アタランテは不思議な力で、メレアグロスの魔法からアトレウスを守る。
賢者ランペイオスが竜のお告げを聞いた。竜の娘アタランテが選んだ男アトレウスを王にすると。
メレアグロスは魔法の力を奪われ、北の荒れ地に飛ばされた。
アタランテはアトレウスと結ばれ、王妃となった。王となったアトレウスは、国政改革を始める。
アタランテは前王妃デイアネイラの孫娘クリュメネと薔薇を眺めて過ごす。彼女は王宮の機織り女たちの力を借りて、王の衣を織りあげた。
北の荒れ地のメレアグロスの元に向かうアトレウスに、衣を渡す。
実は、魔法使いの村長たちが連合してメレアグロスを担ぎ出すとの噂を聞き、対抗するためアトレウスは出発したのだ。
アタランテは女戦士キュニスカと共に百人の戦士と魔法使いの部隊を連れ、アトレウスの元に駆け付ける。
アタランテの織った布に込められた力が、アトレウスを炎の竜の攻撃から守った。百人の戦士たちの協力とアタランテの心を操る力で、魔法使いたちを捕まえた。
反逆の首謀者は、アタランテの幼馴染ヒッポメネスだった。ヒッポメネスは、アタランテの父であるティリンス村の長タラオスが預かることとなった。
メレアグロスは許され、北の荒れ地から王宮に戻った。
戦士の長エケモスは前王妃デイアネイラの弟で、長年王宮を支えた一族だ。
アトレウスはエケモスから、貴重な黒鉄の剣を強引に手に入れた。剣は貴族が独占する宝だったが、彼は黒鉄の力を国中に広める夢を抱く。
アトレウスはアタランテに、幼い頃、母が生贄にされたことを明かした。
戦いから半年後、アタランテは長男イドメネウスを出産した。デイアネイラはクリュメネを連れてアタランテの元を訪れ、イドメネウスの誕生を祝った。




