●大陸の伝説
前作で登場した伝説をまとめました。こちらも本文で適宜触れるので、読み飛ばしても大丈夫です。
二千年前。聖王アトレウスは聖妃アタランテと共に、ゴンドレシア大陸をひとつの国として治めていた。人々は聖王の慈愛のもと、平和で豊かな暮らしを享受していた。
聖王と聖妃の子孫は代々、王として大陸を治めていたが、千年前、大陸が乱れ分裂する。
この混乱を収束させたのが、聖王アトレウスの生まれ変わりと称する男、ネクロザールだった。
しかし彼は大陸を統一した途端、多くの幼子を生け贄に捧げるなど、過酷な圧政で人々を苦しめる。
青年エリオンはこの事態を憂い、大陸中の古老たちから聖王アトレウスの伝説を聞き集めた。彼は、ネクロザールは聖王の生まれ変わりではなく魔王だと、暴いた。
エリオンの教えによって目覚めた七人の勇者は、ついに魔王ネクロザールを倒した。
そしてエリオンの教えはエリオン教として、ゴンドレシア大陸に広まった。
七人の勇者は故郷に帰り、国を建てた。大陸の王たちは、みな勇者の子孫である。
勇者セオドアは、ネールガンド国を建てた。
七人の勇者のうち唯一の女性勇者カリマは、ラテーヌ国を建国した。
六人の男勇者は故郷で妻を娶ったが、女勇者カリマは処女のまま身籠る。彼女の産んだ娘がラテーヌ国を継いだ。
なおエリオンは、独り身のまま生涯を終えた。
異説 エリオンの恋人
ロマンス小説の大家テイラー女史は、エリオンとカリマが恋愛関係にあったとする小説を発表した。
女史の物語では、エリオンとカリマの間に産まれた娘が次代のラテーヌ女王となる。
異説 ネクロザールの正体
近年、魔王ネクロザールの残酷な所業とされていた子供の生贄の遺跡が、聖王アトレウス時代のものと同定された。
この結果からメアリは、魔王ネクロザールとは真実、聖王アトレウスが転生した姿ではないかと、ロバートに打ち明けた。現在、この仮説は公にされていない。