78 桃香がNTRれる?2
ニーナちゃんはノルウェー料理レストランの看板娘だ。お手伝いをよくやる子だけど、店に帰っている様子はない。ニーナちゃんの親は、ニーナちゃんのお手伝いをなしにして、俺と一緒にいさせている。
ニーナちゃんがお店の手伝いをしないのは、親にとってはダメージと言えばダメージだろう。だが後でニーナちゃんが俺のお嫁様になるのを期待して我慢しているのだ。
磨莉奈の実家は破産寸前。ヤバい状況なのだが、小金をもらったところでたかがしれている。
起死回生のために、磨莉奈を俺のご奉仕に専念させようとしている。
千紘姉さんは孤児だから、家族とお金はない代わりに負債もない状態。
藍はよくわからないが、多分普通のサラリーマン家庭。足を引っ張る家庭の問題はなさそう。
やっぱり桃香だけが家庭の事情に足を引っ張られている。
「おじい様の決めたルールですから、私はどうにもできません。幸斗様が桃香様を気の毒に思うならパパ活を大目に見てあげたらいいでしょう」
「うう……ジジイめ。アホなルールを設定しやがって。公平なようで、全く公平じゃねえ」
俺は歯軋りする。パパ活を大目に見ろって、んなことできるのはNTR好きの男だけだろ。俺は違う……多分。
桃香はパパ活で時間を取られてしまい、俺と過ごせる時間が減る。
家族ガチャに外れた桃香を補正してやらないと、ゲームが成立していないと思う。
柚子香ちゃんの難病をハズレと見なすのは失礼なのかな。俺の思考は千々に乱れて、どうしたらいいのかわからない。
そして桃香がオッサンに汚されると思うと悶えそうだ。
俺の金を桃香に渡してやろうかな。俺が桃香を金で買うみたいで非常に抵抗感があるんだけど。
「好きな女性が他の男といるのを見ると、嫉妬で狂いそうでしょう。ですから私は幸斗様に桃香様の尾行は止めた方がいいと申していたのです。やれやれ」
氷室さんがかぶりを振る。氷室さんのせいじゃないから怒るなと言いたげだ。
確かに俺は桃香を好きになって来ている。その桃香が、オッサンといるのを見るとおかしくなりそうだ。桃香がオッサンといるのは金のためであって、心を許しているわけじゃないってわかっていてもだ。
ファミレスにいる桃香は色々と料理を注文したみたいで、たくさん皿がテーブルに並ぶ。
桃香は、フォークで美味しそうにパクパク食べる。オッサンに「あーんして」なんかはやってない。
桃香は自分の食器の物しか口に入れないように徹底しているように見える。
「よし桃香、オッサンには触れるな」
俺はハラハラしながら見守っている。
オッサンが話しかけるたびに、桃香が笑う。
俺には桃香が笑顔を取り繕っているようにしか見えない。
キモいオッサンに話を合わせるのは苦痛だよな。
俺はファミレスに駆け込んでいって、オッサンをぶちのめし、桃香を助けてやりたい。
でもやったら、桃香が俺にパパ活を知られたとわかって気まずい思いをするはずだ。俺は衝動をぐっとこらえる。
「しかし、俺は今岡市なんかでパパ活が行われているなんて思わなかったよ。田舎で、狭い世界だから、オッサンは知り合いに見られるとか心配しないのかな」
「多分、あのオッサンは別の市や町からやって来てるんでしょう。知り合いに見つからないよう多少の気を遣っているはずです」
「小賢しいまねしやがって……田舎の小都市でもパパ活が行われるなんて、日本はどんだけしょぼい国に成り下がったんだ」
「日本はもともとゴミの国ですよ。団塊の世代の雇用と年金生活を守るため、就職氷河期を引き起こし、若者をブラック労働の低賃金でこき使う。桃香様みたいな貧困家庭の女の子には体を売らさせる。都会も地方も状況は同じです」
氷室さんの口調には、昨今の政治に対する怒りが籠っている。
冷酷な氷室さんでも、日本の現状は目に余るんだろう。
日本で正義っていう言葉は死語。バレなきゃどんなゲスいことをしてもいいって感じで、欲望のままに生きたもん勝ち。
貧乏はつらいよな。俺も貧乏だったから、桃香の気持ちはよくわかるつもりだ。
桃香は2時間ほどオッサンとしゃべっていた。オッサンは金の入った封筒を桃香に渡す。桃香はファミレスを出て行く。
支払いは残ったオッサンがやるんだろう。
「パパ活が食事だけの場合は、飲食代に加えて、1時間1200円がこの辺りの相場のようです」
氷室さんが呟く。
魅惑の金髪ギャルにして、デケェの持ち主である桃香の値打ちからすると安いと感じてしまう。
しょせん体を売らない限り、大した金は得られなさそうだ。薬代に何十万円もかかる時があるってのに。
ますます嫌な予感がする。
本作の短編版
『1兆円持ってる俺は、ギャンブルで無双して美女にデレられてしまう~日常的に美少女を競わせてリアル版ウ〇娘やってるようなもんだからね』もお読みいただきますとありがたく存じます。
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