43 相合傘
◆◇◆
翌日。
みんなで学校に行く。
朝ご飯の支度は女の子たちが協力してやってくれた。女の子たちがセーラー服姿でキッチンでかいがいしく働く。氷室さんはいない。
女の子たちは化粧も済ませているという。俺と同居していると、身だしなみに気を遣わないといけなくて大変。
麿莉奈がご飯を焚いてくれて、お味噌汁を作ってくれる。千紘姉さんも卵焼きを作ってくれる。
ニーナちゃんがお皿を用意してくれるし、藍もコーヒーを淹れてくれる。
学生服姿の俺はダイニングテーブルに座って何もすることがない。
美少女がみんなで俺のお世話をしてくれるとは感激。児童養護施設にいた時は、千紘姉さんがやってくれてたけど、4人もやってくれるのはすごい。
桃香だけが起きて来ないから、俺が起こしてやった。
普段学校に来たり来なかったりのだらしない子だからな。出席日数不足で進級が危ぶまれているから、俺が連れて行ってやる。
桃香は眠たそうに目を擦りながら、ピンクのパジャマ姿のまま朝ご飯を食べに来た。すっぴんの桃香も俺にとってはかわゆい。
みんなで朝ご飯とコーヒーを美味しくいただいた後は、歯磨き。
洗面所が3箇所あるから、6人で使っても大混乱にはならない。桃香もセーラー服に着替える。
6人全員でタワマンのエントランスを出る。
今日は雨だ。
女の子たちは傘を持って来た。
「幸斗さんには、ウチが傘を差してあげます」
麿莉奈が俺のそばに寄って相合傘をする。
「ずるいです。わたしもゆきとさんと一緒の傘がいいです」
ニーナちゃん。
「そうだ、あたしもゆきとに傘さしてやりたい」
桃香。
早速、俺の取り合いが始まった。
「ふぅ、でしたら100メートルごとに交代しましょう。イマイチ高まで500メートルほどですから、ちょうど5人で行けます」
麿莉奈が提案。
「ちぇっわかったよー」
桃香が同意したことで、雨の日は俺との相合傘を五分割というルールが加わった。
「順番はジャンケンで決めましょう」
「またジャンケンかよー」
「当然やわー 最後の1人、イマイチ高近くから校舎に入っていくまでが最も価値が高いと思います。なぜなら他の生徒に、幸斗さんと付き合っていることを見せつけられますからね」
麿莉奈が力説。
相合傘をする順番に価値の優劣が発生するとは俺には思いつかなかった。
「おおっ確かに」
「わたしは、ゆきとさんの彼女なのです」
桃香とニーナちゃんがはしゃいでいる。
俺はそんなにうれしいことなのか疑問なのだが。
他の生徒にジロジロ見られて、恥ずかしいことこの上ないと思う。
千紘姉さんは微笑ましく見ている。藍は「幸斗先輩の彼女……そのうち女にされちゃうんだけど」と複雑な表情を浮かべている。
「「「「「最初はグー。じゃーんけーん、ぽん」」」」」
女の子5人が雨よけの下でジャンケンバトルを繰り広げる。
「やった! わたしが勝ったです。順番は最後にしますです」
ニーナちゃんがニコニコ。勝った子が順番を選べるルール。
ジャンケンの結果、順番は藍→千紘姉さん→桃香→麿莉奈→ニーナちゃんとなる。
「言っておきますが、順番は固定ではありません。雨の日ごとに順番をズラします。今日、最後のニーナさんは、次は最初に回ってもらいますからね」
「えええ!? わたしの順番はいつも最後じゃないのですか!?」
ニーナちゃんが麿莉奈に話が違うと怒ってる感じ。おとなしいニーナちゃんが怒るのはとても珍しい。そんなに最後が良かったんだね。
「順番がいつも同じやと不公平やわー 他の子だって、幸斗さんの彼女の気分を味わいたいから。次はウチが最後や」
麿莉奈はびしっと言い聞かせている。
最後の人が先頭に回ることで、次回はニーナちゃん→藍→千紘姉さん→桃香→麿莉奈となるらしい。北陸は雨や雪の日が3分の1くらいあるからな。延々とループすることになりそうだ。
リムジンで登校してもいいんだけど、たった500メートルの距離で車に乗るのもめんどくさい。校門前でリムジンを止めて、美少女5人と俺が降りたらそれこそ目立ちまくる。
「そうだそうだ、ニーナばっかりはズルいぞ」
桃香も同調。
「うう……わかりましたです」
ニーナちゃんが諦める。ちょっとかわいそう。
ひと悶着あって、ようやく出発できる。学校まで近いし、朝のホームルームまではまだ時間がある。
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