3 金髪巨乳ギャルがやさしくしてくれる【挿絵付】
俺たちは正門をくぐっていく。
道の右側はグラウンドで、野球部やサッカー部が朝練をやっている。部活動もそこそこ盛んな学校だ。
イマイチ高は校舎がわりとキレイである。
玄関で内履きに変える。
3年生は1階。2階が2年で、3階が1年。下級生は階段を登って行けという年功序列の日本社会の縮図のような学校だ。
階段の前で、千紘姉さんとしばしのお別れをしないといけない。
「幸斗、お勉強頑張ってね」
「はーい」
手を振って、俺は階段を登って行く。
◆◇◆
12時。4限目の終わりまであと10分だ。
腹が空いてくる。
昼飯が待ちきれない男子は授業中に早弁している。机の影に弁当を隠しているけど、教師にはバレているだろう。オッサン教師は男子の気持ちがわかるのか注意しない。
俺も食べたいが、あいにく今日は弁当がない。
いつもは児童養護施設の残り物を詰めた弁当を持って来ているが、時々何も残らない日がある。
日本の将来を担う若者の待遇は年々悪化するばかり。
ガララッ
背後で扉が引かれる音がする。
振り返ると、女子が入ってくる。
揚羽桃香だ。
ロングの金髪で小麦色に日焼けしたギャル。顔立ちはギャル系ファッション誌の表紙を飾れるくらい整っている。
だらしない性格らしく、セーラー服のスカーフをつけていない。
おかげで胸の谷間が見えてしまう。推定Gカップのデケェの持ち主である。胸の辺りに桃が二つ入っているようなものだ。
「こらー またお前か。今何時だと思っているんだ」
教師が呆れている。
「へへ」
桃香は悪びれない。遅刻の常習犯だから。
「出席にはカウントしないからな」
「ちぇっケチ」
桃香はそう言いつつも本気で不満に思っているふうではない。サバサバとした子で、出席日数を気にしているように見えない。
桃香が俺の前の席に座る。右肩にかついでいたリュックを机の上に置いた。
蠱惑的な香りが漂ってくる。桃香がつけている香水だ。
授業中にも関わらずスマホをいじり始める桃香。教師は面倒くさいのか注意しない。
学校に来たり来なかったりの桃香は教室で浮いている。他のギャルどもと友達ではないようだ。苗字のアゲハ蝶のように、ひらひらと飛び回る感じの謎キャラ。
桃香については悪い噂がつき纏う。ヤクザの愛人だとか、パパ活で毎晩遊び歩いていて、午前中は寝ているんだろうと囁かれている。
でも、俺には桃香は悪い女には思えないところがある。前に桃香が登校して来たのに、筆箱を忘れたことがあった。桃香は俺の方に振り向いて、鉛筆を貸してくれと言う。
「なんで横の席じゃなくて、後ろの席の俺なの」と聞いたら、「んー やさしそうだから」とはにかんで答えていた。桃香の笑顔は無邪気で、何の悪意も感じられなかった。むしろ俺を頼りにしている感じだった。
キンコンカンコーン
授業が終わった。
昼休みになって、食堂に行く奴はダッシュする。
弁当組は机をくっつけて一緒に食べようとする。
どっちでもない俺は、とぼとぼと後ろ扉から出て行こうとする。昼飯抜きの日、俺は屋上とかでボンヤリして空腹を我慢するのだ。
「ゆきとー パン食べない?」
桃香が呼び止めてくれた。
振り返ると桃香が菓子パンをつまんで掲げている。
知人の絵師さんから桃香のイラストをいただきました。
(イラストの姿は本文とは直接関係ありません)




