猫を撫でる女
V時代に書いた詩です
高い声を、囁いた。
あの子はいつ、自分の背中を忘れたのか?
低い声で、語りかけた。
彼はいつ、あの子の顔を忘れてしまったのか?
あの人の声を、真似てみた。
彼とあの子が背を向けた時、私の瞳孔が開いた瞬間を、彼らはきっと、知る事はないのだろう。
猫を撫でながら、私は今日も夢想する。
次はどれを選んでゆこうか。
猫を撫で続けた手の甲がいくら赤くなろうとも
甘い香りを絶やしてはいけないのだ。
私の中のチェシャが酩酊を覚える迄、
私の瞳孔がどこかのあなたでいっぱいになる迄。
V時代に書いた詩です。
当時は様々な方々の人間関係トラブルが絶えなく、観察するだけのものとしてはある意味面白かったかもしれません。