感情 怒り
彼は怒りを制御できない人間だった。
だからいつも怒りにふりまわされていた。
怒りは強大な力をもたらしたけれど、彼はその力によって次第に破滅していく。
感情にまかせて、怒りを発散した彼。
多くのものを壊してしまった彼の周りには、人がいなくなってしまった。
結果、彼は一人ぼっちになった。
だが、争いの世が始まった時。
彼は一人ではなくなった。
多くの人が、力を求めていたからだ。
だから、彼はほんの少し幸せになれた。
身の回りに人がいて、幸せになれた。
それはマイナスがあったゆえのプラスだったのだろう。
マイナスがなかったら、プラスにもなりえなかったもの。
しかし、それは幸せだった。
すると彼は、怒りを段々制御できるようになっていった。
彼は思い出す。
昔その彼は、人より強い力を持った子供だった。
人と違う事が気になってしょうがなかった。
そのため、幸せでなかった。
余裕がなかった。
だから、怒りを制御できなかったのだ。
しかし、幸せになり余裕を持つ事ができるようになった今は、怒りに振りまわされる事はなくなっていた。
彼は人に求められて、人と共に生きていった。