☆2日目☆アトランティス観光と選ばれた理由
「ただ、説明するだけじゃ面白くないにゃ。観光しながらお話するにゃ」
賢くて可愛いチャトラ(親バカ)の提案で観光に出かけることになった。
俺が泊まっていたのはモニタールームや天使見習いの宿舎、食堂などがあるアトランティスの中心地にある塔だった。一階は役場の様な造りになっていて、ここで住民登録や、観光ビザの発行、住民からの陳情を受け付けているらしい。
アトランティスは異世界人にとっては一大観光地でもあるのだ。
「地球人はアトランティスに観光には来れないの?逆に地球へ観光なんてしないの?」
「んーーーー」
チャトラはちょっと困った顔をして答えた。
「地球は渡航禁止区域にゃ。地球人は好戦的で・・・それに・・・」
言葉に詰まっている。本当に答えにくそうだ。
「そんなことより、みーたんがなんで神様に選ばれたのか、その話をしようにゃ!」
俺たちは塔から出て、放射状に伸びる道を歩いていた。
町並みは中世ヨーロッパ風、異世界アニメで見るファンタジーな町並みそのものだった。
露店もたくさん並んでいて、食べ物や、お花、食器や衣類なども売られていた。
チャトラは話を続ける。
「みーたんはネ、ワタシを拾ってくれた。だから選ばれたの!」
「え?それだけ?」
チャトラは上目遣いに俺を見上げながらニコニコ笑っている。
(くーっ!可愛いッ!!!)
「さっき、異世界人は地球上へは渡航禁止って言ったにゃ?でも例外もあるにゃ。転生する資格のある人間を見つけること。これが私の仕事なんです。」
チャトラ?急に言葉遣い変わってないか?
「ただ、異世界人が変化した動物を助けるだけでは資格は得られません。助けられた異世界人はその後何年もかけてその地球人を観察します。動物を助けても過去に犯罪を犯した人間は閻魔様に地獄に落とされることもありますけどね。蜘蛛を助けた犯罪人の話は地球で有名でしたよね?」
おーい、チャトラー!キャラ変わってるぞーーー!戻ってこーい。
「他にも色々条件はありますが・・・ワタシが和田さんを・・・にゃーーー!猫被るの疲れたにゃー!真面目な話は真面目な口調でってミカエルさんに言われてるのにー!
とにかく、ワタシがみーたんを転生者として神様に推薦したのは・・・」
ドゥルルルルルージャーン!
チャトラはドラムロールの真似をして両手を広げながら
「みーたんと離れたく無かったからでーーーす!!!」ドヤァ!
めっちゃドヤ顔だぞ。チャトラ。
「そんな理由でいいのか?」
「いいにゃ!ワタシはこれでも信用されてるにゃ!ワタシのオススメは間違いないにゃ!」
なんかすんません。俺、神様の提案をどれも拒んでめんどくさいって思われてるぞ。
「みーたん、疲れてない?昨日から色々あって大変じゃない?」
そういえば疲れてるかも・・・
「もう、お昼過ぎたし。今日は早めに宿を取ってゆっくりしないかにゃ?思い出話もしたいし。」
「俺もチャトラ目線の話聞いてみたいな。」
「じゃ!決まりにゃ!明日から色んな種族のところ案内するネ。」
少し歩いた所に宿があった。高級ホテルの様な造り。流石は観光地。
「凄いなココ!」俺は思わず走り出していた。
少し遅れてついてくるチャトラ。
そして、チャトラは俺に聞こえないように呟いた。
「・・・・その他の転生者の条件。孤独であること・・・」
「待ってにゃ~!みーたん!」
俺たちは宿にチェックインして、濃密な夜を過ごすことになる。
と、言っても猫の姿になったチャトラを撫でながら眠っただけだけどね。