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死後の世界


・・・目が覚めると俺は真っ白な空間にいた。

(ここはどこなんだ?俺は一体?)

「フォッホッホッ!君は死んだんじゃよ!ワシは神じゃ!」

その声と同時に目の前に白髪の老人が現れた、手には杖を持っている。どこからどう見ても神。神の横には美しい女性「女神」?までいる。

「テンプレじゃん!!!」

俺は思わず叫んでしまった。

引きこもりニートが死んでいかにもの「神」が現れるなんてテンプレ以外の何者でもない。


「・・・もしかして異世界転生ですか?」

俺の「異世界転生」の言葉に神様がピクリと眉を動かした。

「神様、わたくしから説明いたしましょうか?」

隣の女性が答える。

「フォッホッホッ!よろしく頼む!毎回同じ説明するのは面倒じゃからの」

「はい。わたくしは神様の秘書をしております天使のルシファーです。」

「ルシファー?!って堕天して悪魔になったんじゃ?えええ?じゃここは魔界?えええ?」

「ふふふ、よくご存知ですね。確かにわたくしは若い頃、ちょっと悪さをして堕天いたしましたわ。けれど天界が人手不足になり神様に呼び戻されましたの。神様の隣で秘書として生まれ変わった気持ちで勤めさせていただいてますの。」

「人手不足?」

俺が聞くと、秘書天使は

「あ!人手不足ではなくて天使手不足でしょうか?」

・・・そんなことではなくて何で人手不足になって堕天使が戻されたのかを知りたいのに。




「そういう意味ではなくて、あ、説明続けて下さい」

話をまとめると

「神様」は亡くなった人間の中から一定数を天界と現世の狭間に呼び出し「願い」を聞き入れることになっているらしい。天使秘書いわく「ノルマ」があるのだそうだ。

天界に行きたいのか、生まれ変わりたいのか。などなど。犯罪者や現世での行いが悪かった人間は「閻魔大王」の元へ送られ裁判を受けることになるらしい。

その「願い」ここ数年変わってきてるそうなのだ。

「転生したい」と願う人間が急増してるらしい。

そういえば、俺達の世界では「異世界転生モノ」と言われるアニメ、漫画、小説などが流行っている。アニメなんかは1クールに何本も異世界転生モノが放送されている。

俺も、転生するならどんな能力を授けてもらおうとか、俺ツエエエエーで無双したい、とか、農業系のスキルでスローライフもいいなぁとか、色々妄想したものだ。

「確かに、転生ブームですからねぇ。それと人手不足が関係あるのですか?」

「それが大有りよっ!!!」

天使秘書が声を荒らげる。

「こりゃ、昔の悪い癖が出てるぞ?」

神様に注意されて天使秘書は声のトーンを落とし続ける。

「転生は「面倒」なんです。めんどくさいんです。」

さっき神様も面倒だから秘書に話させるとか言ってたな。天界はめんどくさがりが多いのか。

秘書が続ける。

「転生者にはその世界で不自由しないように能力を授けます。」

キタキタキターテンプレーーー!


転生者は「監視」が必要なのだそう。

「能力」を乱暴に使いすぎてないか監視しているらしい。能力を使いすぎてその世界のバランスが崩れそうになった場合「バランス調整」も必要になってくる。

例えば「勇者」に転生した者の能力が高すぎる場合、魔物の数を増やしたり魔王を強くしたり。

逆に魔王に転生した者の力が強すぎる場合、勇者を転生させたり、勇者召喚に力を貸したりするらしい。

神様といえど一度転生させた者の「能力」を奪ったり、命を奪うことはできないのだそうだ。

「いくつかの世界が転生者によって滅ぼされかけたのぅ」

神様がつぶやく。

「か、神様の責任てはありませんからっ!転生者が俺ツエエエエーやりたいがために無茶苦茶やっただけですからっ!」

「え、つまり、その監視とバランス調整に人手が必要だということですね?」

「そうじゃ。天使の数は限られておる。転生を希望する者が増えれば増えるだけ天界はてんこ舞いじゃよ」

「・・・神様も大変なんですね。」

俺が言うと「そうじゃろ?そうじゃろ?ワシも大変なんじゃ」

神様が少し涙ぐんでるように見えたのは気のせいか?


「元はといえば転生者が増え始めた頃、めんどくさくなって一人の転生者にものすごーく強い能力を与えたのじゃ。その転生者がものすごーく進化して、元の世界に分身体を置くこと、さらには異世界と元の世界を自由に行き来出来るようになり、異世界での出来事を小説にして・・・それが爆発的にヒットして、その後フィクションとしての異世界転生モノが流行るようになったのじゃ・・・・そして倍々で異世界転生希望者が増えて・・・・グスン」

(・・・つまりめんどくさくなった神様がチート過ぎる能力を与えてしまったのが原因か。神様泣いてない?)


「それで、お主はどうする?転生か?お、お主も転生を希望するのか?」


確かに、俺はアニメが好きで異世界転生モノもたくさん見てきたし、憧れもした。

けれど、新しい世界で1からやるのも「めんどくさい」そう、俺もめんどくさががり屋なのだ。

なんせ、ニートだからな!


「・・・・いや。転生はめんどくさいっす」

「なら天界か?天界が良いのか?」

「・・・・え?仕事山ほどあるんでしょ?それもめんどくさいっす!」


「え?え、じゃ、生まれ変わり?」

「・・・・赤ん坊からなんてめんどくさいこと死んでも嫌です。

って俺死んでますけどね(笑)」


俺はいつの間にかあぐらをかいていた。

話が長いし、めんどくさくなってきたからだ。

「お前ーーー!神様に向かってなんという態度!」

天使秘書が声を荒らげるけれど知ったことではない。お前神様の前では無力じゃん?


「じゃ?じゃ?何を希望するのじゃ?めんどくさいことは抜きじゃよ?」 

「いや別になにも。このままでいいっす。」

「死ぬ前には戻れないぞ?このままとは?」

俺は決めた。

「このままここにいます!なんか腹も減らないし眠くないし、体力も


減ってない気がするし、このままここにいたらダメっすかね?」


「貴様、ワタシの仕事を奪う気か!!!」

天使?秘書の顔がみるみる赤くなる。角まで生えてきたよ。こいつ、やっぱり悪魔なんだな。怒ると本性が出るのか。

「そんなつもりは無いですけど、出来れば転生なんかしないで楽に生きたいです。」

天使?秘書は、さらに何かを言おうとするが神様にギロリと睨まれて黙り混む。

「コホン。どうじゃ、これから49日の間、お主には「アトランティス」に行ってもらおう。そこで色んな物を見て、色んなことを聞いてこれからどうするのかを考えるのじゃ。」


「アトランティス?!海に沈んだとされる超古代文明じゃないっすか?!!俺、好きなんですよ。古代文明とか、UFOとか、宇宙人とか!!そんなところあるんですか?何をすればいいんですか?どんなところなんですか?」

俺が矢継ぎ早に質問し出すと神様が一言。

「ワープ」


俺の意識は徐々に薄れていった。

気を失う直前に聴こえて来た言葉。

「・・・・これはめんどくさいことになったのぅ」

めんどくさがり神様の独り言だった。





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