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夕空の中の…

ちょっとBL風味かも?いや、微妙なところです。友情かな??

書いていて今一、クロードの気持ちが解りません。

とある日の事である。


グリザスは気がついたら、夕日の中、ススキがキラキラ煌めく草原の中で立っていた。


おかしい…。


さっき、ベットで眠りについたばかりではなかったのか?


これは夢なのか。


ふと、顔を触ってみれば、肌の感触がある…。


肩まで伸ばしていた髪が、感じられる。


身体は黒の鎧姿だが、200年ぶりにグリザスは、人間の姿に戻っているようだった。


空は夕焼け。橙色が夜が忍び入る深い藍色へと溶けていく。


― ああ…この色はまるでクロードの聖剣のようだ。―


実際に見せて貰ったことは無いが、聞いた事はある。


何故、この姿でこの場所に居るのか、なんとなく見当がついた。


背後から見当をつけた男から声をかけられる。


「グリザスさん。」


振り向けば、クロードが立っていた。


「お前が呼んだのか…。」


「グリザスさんって、そんな顔をしていたんだ。美男ってより、男前の方かな。」


「お世辞をどうも。男前でも何でもない。その辺に転がっているような顔だ。」


グリザスの言葉にクロードは笑った。


「面白い事、いいますね。ちょっとそこの岩に腰かけましょう。」


「俺は地面でいい。」


クロードを岩に腰かけさせて、自分はその目の前の地に、腰を下ろした。


草地なので、汚れとか気にならない。


「で?話があるから呼んだんだろう?」


「俺、どうしたらもっと貴方を守ってあげられるんだろうって…」


「いや、十分、世話になっていると思うが…。お前には頭が上がらない位に。いや、お前だけじゃなくて。フィーネにも騎士見習いの仲間達にも、聖女様にも…皆、良くしてくれて、俺は今、幸せを感じている。有難うって言えるのはなんて幸せな事なのだろうか。ディオン皇太子殿下にも感謝をせねばなるまい。俺に生きがいを与えてくれた。」


グリザスの言葉にクロードは。


「貴方って本当にいい人ですね…。」


「そんな事はない。200年前は、味方とはいえ、人と深くかかわらなかった。関わったとしても、横で死んでいく人間を見るのは辛いからな。いい人なんかじゃない。自分の事しか考えられなかったのだから…。まして今だって。俺は何も返せていない。剣技を教える事くらいしか出来ない…与えて貰ってばかりだ。」


そして、クロードの方を見つめながら。


「お前には十分、面倒を見て貰っているし、助けて貰った。俺の事はあまり気にしないでくれ。」


「気にしなくていいんですか?」


「え?」


「気にしなかったら、寂しいくせに。」


クロードがクスクス笑う。


グリザスは両腕を組んで。


「それなら、少しは気にしてくれ。それでいいか?」


クロードは頷いてから、立ち上がる。夕陽が沈んだのか、闇色が濃くなる空…。星が瞬き始める。


「俺の聖剣が、なんで夕空のようなのか、解りますか?」


暗くて相手の顔が見えない。


「俺は貴方を守ります…。大事な友達だから…。あ…でも今からやる事をアイリーンにばれたら、大変だな。俺、半殺しの目に合うかも。」


楽しそうに笑う。


グリザスも立ち上がると。


「だったらやらない事だ。俺は自分の身は自分で守る。」


「決めたんです。ね?一緒に、ディオン皇太子殿下の作る国を見ましょう。だから、死なせたくない。アマルゼの呪いに対抗する為にも…。」


クロードから黒い炎がバァっと湧き上がる。


それは一気にグリザスを包み込み。直撃を受けたグリザスはそのまま倒れ、気が遠くなった。




翌日、普通に朝が来て、いつものごとくの日常が始まる。


昨日の事は夢だったのか、元の死霊の姿にグリザスは戻っていた。


フィーネが、癒しのパワーを送りに8時、きっかりにやってくる。


「おはようございます。グリザス様、癒しのパワーを送りますね。」


「ありがとう。いつも。」


手を握り締められ、気を送られればいつものごとく、身体が温かくなり癒される。


クロードがその時に、扉をノックしてから入って来た。


「おはようございます。フィーネ、いつも偉いね。」


フィーネは腰に手を当てて。


「えへん。グリザス様のお陰で、早く起きれるようになった私は偉い。」


「うんうん。偉いよ。あ、そういえば、近いうちに俺達。アマルゼ王国にディオン皇太子殿下のお供で行くらしいよ。」


フィーネがわくわくしながら。


「私も行けるの??」


「グリザスさんの身体の具合を見ているフィーネも連れていって貰えるかもね。」


「なーんだ。かもね。って…つまんない。」


グリザスがクロードに向かって。


「アマルゼの呪い関係か?」


「そうらしいよ。詳しい事は俺も良く解らなくて…後で皇太子殿下から説明があると思う。」


「ところでクロード。昨夜の…」


「え?昨夜のって??」


「いや、なんでもない。」


昨夜のあの生々しい、夕日の中での会話は夢とは思えなかった。


何か隠している…。


クロードは、いつものごとく、鎧の清掃を布を持って丁寧にやってくれる。


「アマルゼの呪い、解決するといいですね。」


フィーネも頷いて。


「この間の化け物、怖かったもん。でも私、頑張った。化け物が来てもチュドーンして、グリザスさんを守ってあげるんだ。」


グリザスはちょっと凹んだ。


何故、俺は守られる側なんだ??なんか、ディオン皇太子殿下も姫君のように守れだなんて言っていたし…


クロードもグリザスに向かって。


「俺も、守るから…。グリザスさん。だから、皆と一緒に騎士団で頑張りましょう。」


「二人ともありがとう…。」


それにしても、クロードは自分に何をやったのか…。故意に隠したように感じられる。


何とも言えぬ気持ちを抱えるグリザスであった。


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