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クロードの心(さらに追及してみたぜ。byミリオン)

その日の夜の事である。

クロードが食事を終え寮の自室に帰ってくると、ミリオンが両腕を組んで部屋で仁王立ちして待ちかねていた。


「うわっ。驚いた。よく俺の部屋が解ったね。」


「占いの得意なスーティリアに調べて貰った。で、一つ気になった事があってな。

魂の分割についてだ。ってお前の部屋、狭いな。」


書き物机とベットを置けば、後はスペースはない。騎士団見習いの部屋は皆、こんな感じだ。


クロードが窓際の机の椅子を差し示して。


「とりあえず、その椅子で我慢して下さい。俺はベットに座りますんで。」


仕方なくミリオンは書き物机の前の椅子に腰かける。


で、クロードに向かって。


「グリザスに魂の分割の魔法の必要あったのか?いくらお前が転移魔法が不得意とはいえ、何か他の方法があったんじゃないか?あれではまるで…」


「あれではまるで何です?」


ミリオンは立ち上がると、屈みこみ、クロードの顔を間近で見つめ。


「独占欲…。そうだろう? いや、支配欲?」


クロードはにっこり笑って。


「支配したいんだったら、魂の支配の魔法を使えばいいじゃないですか。あれを使えば、言いなりになりますよ。もっとも、人間に使うのは禁止されていますけど…。」


「じゃ…何なんだよ。お前が死んだら、あの男に生きるのを許さない。っていう感じなんだが。お前が死んだって、あの男に生きる権利はあるだろう?いかに死霊とはいえ。」


「だって、魂の分割の魔法の制約が、そうなっているんですから仕方ないじゃないですか。現状、アマルゼの呪いからグリザスさんを守るには、一番いいと思ったんです。」


「しぶといな。いい加減に認めろよ。」


「何がです?」


「特別な想いを抱いているってな。グリザスに。」


「え?????」


クロードは考え込むように。


「ほんと、友情ですよ。マジで。」


「だったら、もし、グリザスに口と口で、こう、キスみたいな何かしてやらなけりゃならない場合。躊躇なく出来るか?」


クロードは頷いて。


「この間、それ、やりましたよ。当り前じゃないですか。緊急事態に何、躊躇あるんです?」


「それじゃ、騎士団見習い達の仲間いるだろう?そいつらに対しては?」


「そりゃ出来ますよ。大切な仲間ですから。当然です。」


「それじゃ、ローゼンの奴には?」


ミリオンの問いに、クロードは考え込むように。


「何です?それ何かの罰ゲームですか?」


「酷いねぇ。それ。それじゃ俺がそうなった時は。」


「躊躇なく、とどめを刺します。生き返らないように、釘を心臓に刺した方がいいのかな。」


「うわっ。お前、そういう奴だったのか。黒い所がディオンに似てるな。」


クロードは笑って。


「ディオン皇太子殿下も黒いんですか?」


ミリオンは髪をポリポリ掻いて。


「ああ、たぶん、黒い所あると思うぜ。後、ガキっぽい所も。一緒に居て楽しいけどな。

俺にとっては最高の友だ。」


ふと、話を逸らされた。そんな気がした。


「おい、話は戻るが…。本当に友情なんだろうな。」


「やけに食い下がりますね。貴方こそ、グリザスさんが気になるんでしょ?」


「俺に男色の趣味はねぇーーー。はっきりいって女が好みだ。」


「はいはい。ミリオン、魔国のあっちこっちに彼女いるから、ね。飽きてついに男に走ったのではないかと。」


「あああああああ…そう思われていたのか。」


フラフラしてミリオンは。


「俺、帰るわ…。お前に口で勝てる気がしねぇ…。」


「え?俺ってそんなに口がうまいのかな…。」


魔法陣を展開してミリオンは帰っていった。




友情なんだけどな…。


ただ…この歳になるまで、騎士団に見習いで入団するまで、俺に自由はなかった…


いつも、何かに縛られて…。


恋だって、6歳の時に。初めて好きになったのは。フローラの方…


アイリーンには絶対に言えないけど。


でも。いつの間にかアイリーンが俺の恋人認定されてた。


姉にも…フォルダン公爵にも…もう、結婚するもんだと決まっていた。


今、思えばサルダーニャ姉上は、第一魔国の魔王の座に就きたかったのだから、俺を第二魔国のアイリーンに押し付けるのが都合が良かったのではないかと思えるんだよな。

望めば、第一魔国の魔王になれたかもしれないけど…


騎士団に見習い入団して、初めて目標が出来た。


ああ…皆と一緒に正騎士になるんだ。いずれ近衛騎士まで上り詰めるんだ。


これが、欲というものか…。今まで諦めていた、欲しいという物なのか…


心の底から幸せだった。


勿論、アイリーンの事は好きだけど…騎士団の事を反対されるのは、嫌だった。


羽を生やして、突き進みたい。自分の生きる道を…


グリザス・サーロッドについては…


― 友情だって言っているけど、欲しい物の一つかもしれないな…だって、あんなに強い、凄い黒騎士を…そして魂が俺なんかよりずっと、まっすぐな男を…欲しいと思うだろう?

アイリーンは俺の魂が綺麗だって言ったけど…グリザス・サーロッドの魂はもっと美しい。

愛だの恋だのって疑われたけど…どうなんだろう? 彼は物じゃないけど…物欲?? ―


何だか解らなくなってきたけれど、クロードは思った。


大事な友達である事は確かだと。


夕闇が迫る中、ぼんやりと物思いにふけるクロードであった。


「何だかはぐらかされまくった…玉砕した…。魔国の可愛い女達に慰めて貰おう。」byミリオン


だそうです。(笑)

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