“おそろい”を贈るね
久しぶりに作ったので拙い文章ですが読んでいただけると幸いです!
お姉ちゃんとお兄ちゃんへ
学園は楽しいですか?ぼくは最近体調が良くなってきました。もう少ししたら退院できるって先生が言ってました!
退院したら、僕も毎日一緒に学園に通えますね!
姉さんと兄さんと校舎が違うのは寂しいけど、同じ敷地内だから大丈夫。それに、るかくん達もいるから頑張るね!
追伸。今朝、窓際にある桜の枝で、咲きかけの蕾を一つ見つけました!とっても可愛い淡いピンク色でしたよ。こんど見に来てくださいね!
亮太より
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3月上旬。まだ雪が残るけど、最近は春の暖かさがうかがえる、今日この頃。久しぶりの春風と共に、手紙が1通届きました。
「わぁ!!亮太が退院するのね!お祝いしなくちゃ!!ねえ、一緒に何か贈り物しようよ!」
「花鈴姉落ち着いて!確かにに楽しみで仕方ないのは分かるけど、テンション高すぎ!」
「えー?奏多が落ち着きすぎなんだと思うけどー?ほら、あれ見てよ。父さんが喜びすぎて母さんをリフトしてるよ?」
「本当だ…母さんも満面の笑みだし大人しくリフトされてる……」
母さんは体重を結構気にしてるから、どんなに父さんのテンションが高くてもリフトは断固拒否していたのだ。
それだけ亮太の退院が嬉しいのだろう。
ついでに、姉のテンションも高すぎる。
亮太は僕の六つ離れた弟で、とある病気でしばらく入院していたのだ。そのせいで学園の初等部にはほとんど行けていない。けど、塾講師の方に来てもらったり、僕や花鈴姉の友達と会いに行ったりしたので勉強の方はバッチリだ。
中等部へ進学するのと同時に復帰することになるだろう。外部生と似たような感じなので、気を使ったり使われたりする心配もない。
本当によかった。花鈴姉を落ち着かせる役割に徹していたけど、僕だって心配だったんだから。
「奏多はお祝いに何を贈るかもう考えた?」
「うん、大体は決まってるよ」
「えっ!何々!?」
「んー、まだ秘密…花鈴姉は?」
「私?まだ全然決めてないよ〜。というか、奏多は決めるの早すぎ!あっそうだ、明日選ぶの付き合ってよ!」
「いいよ、亮太のためにいいもの見つけないといけないね!」
翌日、電車で三駅ぐらいの大きめなショッピングモールに二人で来た。
「うーん。どうしようかなー?」
「これとかどう?書きやすいんだ。僕も使ってるし」
棚に並んでるシャーペンの中から一つ取って隣の花鈴姉に見せた。カラーバリエーションが結構豊富な上に書きやすいというものだ。
「ん?これって……あった!…やっぱり!これ、私も使ってるよ〜、おそろいだね!」
「え!?そうなの?全然知らなかった」
「私、黄色使ってるよ」
「僕は赤だよ」
「じゃあ、亮太はその二色を混ぜた色で、オレンジとかどう?」
そのまま、そのシャーペンに合う文房具をいくつか選んだ。
その後、僕からのお祝いの買う番になった。僕が考えていたものは、広い文房具コーナーの端にあった。
「日記帳に栞かぁ、奏多はセンスがいいねぇ。まったく、羨ましいかぎりだよー」
「あはは、ありがと」
「それにしても、日記って懐かしいねー」
「そうそう、昔の僕も花鈴姉から日記帳もらって嬉しかったから。だから亮太にもって」
「うわーん!なんなの!?私の弟が健気で可愛すぎるよ〜!!」
「…大袈裟だなぁ」
「それほど嬉しいの!」
花鈴姉から日記帳を貰ったのは、亮太が生まれる一年前。僕が五歳になった時だった。
貰った時は、それはもう嬉しくて日記帳を抱いて寝たほどだった。今でも良く覚えている。
その日以来、僕はその日記をずっと書き続けている。
「そういえば……実はね、私があげたあの日記帳にはちょっとした秘密があるんだけど…気付いた?」
「え?知らない。その秘密ってなに!?」
「ふふふ、それはですねぇ〜〜、日記帳の最後のページはイラストだったでしょう?」
「?…うん、あれってたしか花鈴姉が描いてくれたんだよね。僕、あの絵好きだよ」
「ありがとー!」
最後のページのイラストは、木陰で様々な動物達がピクニックをしているというものだった。ただ、全体的に大きく描きすぎたようで少し見切れているいる動物がいる。
花鈴姉のいつものうっかりだ。基本的に、花鈴姉はわりとぽやっとしていておっちょこちょいだ。かるいドジともいう。
「それがどうかしたの?」
「うん。見切れちゃってる動物いたじゃない?その理由を大きく描きすぎたからって言ったけど、本当はそうじゃないのよ?私の日記帳のイラストと繋がってるのよ」
「えぇぇーー!?全く気づかなかった!」
「そりゃそうでしょ、言ってないもん」
衝撃の事実が発覚。イラストが繋がっていたとは…
僕は花鈴姉の日記を見たことないから気付くわけがないとはいえ、結構驚いた。
「そういば、なんで今まで言ってくれなかったの?」
じとぉ
「驚く顔が見たかったからだよ?あの時に言ったら、驚くっていうより喜びの方が大きそうだだったんだもん」
「そうだけど…」
「私だって日記帳をあそこまで喜ぶのは予想外だったのよ……」
「とにかく、嬉しい。あの日記帳もっと大事に扱う」
我ながら、シスコンだよなー(もちろん亮太の事も大好き)って思う。
まあ、花鈴姉もなかなかブラコンだとは思うけど。
「花鈴姉、お願い。せっかくだから亮太への日記帳にもイラスト描いてよ。僕も手伝うから」
「もちろん!」
その後、亮太へ手紙を書いた。
3月上旬。蕾があとわずかで咲きそうなとき、病室に1通の手紙が届く。2人からの手紙を見て、笑顔の花が咲く。
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亮太へ
私たちからは、退院のお祝いとして“お揃いのもの”を贈るわ。
私たちで描いた、最後のページは結構力作よ?見るのを楽しみにしててね!
貴方のことが大好きな姉より
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愛する亮太へ
僕たちからの贈り物、見たらぜったいびっくりすると思うなぁ〜
花鈴姉と一緒に選んだから結構気に入ってもらえると思うから、期待していいよ!
兄より
読んで下さった方ありがとうございます!
ついでにポイント評価と感想いただけるととても嬉しいので、どちらか片方でもいいので良ければして行ってくださいo(^-^)o